さて、マイコンを抱えて意気揚々と凱旋帰国(<違うぞ〜)した白砂。早速マイコンを箱から出して接続です。
元々そんなに配線の数が多いわけでもなし、接続自体はすぐに完了。電源を入れて、早速始動です。
ヴぅーん……という低いファンの音とガリガリガリガリ……というFDDの読み込み音が部屋にこだまします。マイコンに全く興味のない母や弟まで画面の前に座り込んで、一家4人で立ち上がるのを待っていました(笑)。
やがて、なんたらかんたら……という英語(白砂は英語が毛虫よりニガ手)が出て、最後に
READY
「やったぁ〜!!!」
こうして、白砂のマイコン生活がスタートしたのです。
しかし壁はすぐにやってきました。
初めての起動開始後、すぐに簡単なBASICのプログラムを打ち込んで喜んでいる白砂に、マニュアルを読んでいる父が言いました。
「3+5はどうやって表示させるんだ?」
え゛!?
「だから、マイコンだったら計算できんだろ。どうやって計算させるんだ」
い、いや、それは……。
ここで「そんなもん電卓ソフトを起動させてさぁ……」と考えた貴方! 甘すぎです(笑)。
この当時のマイコンには、添付されているソフトなんてモノはありませんでした。それだけではありません。ハードディスクってものが存在しないんです。つまり、ゲームをするにもワープロをするにも表計算をするにも、ぜーんぶそのたんびにFDDを読み込ませて実行しないといけなかったんです。
というわけなので、計算なんてものはどうすればいいのか……。
まさかプログラムを組んで……? いやいや、そんなバカバカしいことはしないぞ。というか、そもそもマイコンを電卓代わりに使うなんて発想がバカバカしいぞ……。
「ぷりんとを使うんだってさ」
混乱している白砂に、マニュアルのページを繰りながら父は教えてくれました。
「PRINT 3+5。で、リターンキーを押すと答えが出てくるんだって」
やってみました。
PRINT 3+5 Return
8
ををっ、ちゃんと出たっ!
しかし、この出来事は少なからずショックでした。プログラムなんかについては白砂の方がよく知っていたんでしょうが、こういう使い方について白砂は全く気を回していませんでしたから。
プログラムだけでなく、せっかくマイコンを買ったんだから、そのポテンシャルを全て引き出すような使い方をしないと。せっかくなんだから骨までしゃぶりつくさないと……。別に父はそういう意図で質問を発したわけではないんでしょうが、考えさせられました。
マイコンは子供部屋に置かれました。
とは言っても弟には使いこなせない(当時弟は小5。ちょっと敷居が高いですね)代物でしたから、実質使っているのは白砂1人でした。学校から帰ってくると食事の時間までマイコンの前に座り、食事が終わったら寝るまでプログラムのお勉強という日々が続きました。この時期だけは好きな読書もお休みで、読むものといったらパソコン雑誌だけといった状態です。
そんなある日。
いつものように『マイコン』を読み耽る白砂に、とんでもない広告(記事?)が飛び込んできました。
X1-turboIII、堂々発売!
がが〜ん!!
あとちょっと待ってればよかったのか……。
しかし、まだまだ広告は続いています。
ゲームに特化したX1-G、同時発売!!
ががが〜ん!!
こんだけ新製品が続いたら、X1-turboIIは値段がバカ下がりになってお買い得になったんじゃないのかぁ〜(泣)
そしてとどめの一撃。
最新の16ビットパソコン、X68000。近日発売!!!
もうどうにでもしてくれ……(号泣)
正に衝撃の事実。実に、白砂がX1-turboIIを手に入れてから僅か3ヵ月後の出来事でした(泣)。