東1局の親のA君は、配牌にも恵まれメンゼンテンパイにこぎつけました。「ダブ東をツモればハネマン」などと卓の下で指を折っています。
しかし、改めて自分の捨て牌を見てびっくり。
とを1枚ずつ切っていてしかもその1つは自分のアガリ牌、つまりフリテンだったのです。
しかも、そのを自分の手中の2枚と置き換えたら役満確定のテンパイになっていることまで気が付いてしまいました。
失意のA君を待っていたのは、振り込み、そして親流れという運命だったのでした……。
さて、A君のこの手牌はどんなのだったでしょうか? ドラはなかったものとします。
変化させると
正解の形を解説すると、待ちで、がフリテン。
のツモで、ツモ・メンホン・ダブ東でハネマンだが、の代わりにが入れば確定九連になる。
をツモってハネマン、ということなので、その時点で3飜が確定。ということは残りの飜数は3か4、ということになる。また、ドラなしなので、純粋に手役だけで3・4飜を叩き出す必要がある。
その条件下でどんな手役が作れるのかを考えてみると、まず物理的に作れない役があることが判る。
平和・タンヤオ・ジュンチャン・対々和・チンイツ・混老頭といったところである。
次に、作ることができるが飜数が合わない役も除外する。七対子である。七対子はタンヤオとホンイツ・チンイツ・混老頭としか複合しないが、この場合残っている複合役はホンイツ・チンイツしかない。ホンイツ七対子は5飜なので範囲外となってしまう。
ということで残った役は、
飜牌・イーペーコー・三色同順・三色同刻・イッツー・チャンタ・三暗刻・三槓子
である。
さて、今度は役満について考えてみよう。
「現在とあってが入ると役満」なわけだから、役満の形にはが組み込まれている。
役満を分別すると、
設定条件に合っていない
天和・地和・人和がないとできない、またはがあるとできない
国士無双・四喜和・字一色・大三元・清老頭
となるので、使える役満は九連宝燈・緑一色・四暗刻のみ。
これらの役満が、先に挙げた「元の形のハネマン」とどう対応できるか見てみると……、
九蓮宝燈
イッツー・ホンイツ緑一色
イーペーコー・ホンイツ・飜牌四暗刻
飜牌・三色同刻・三暗刻・三槓子・ホンイツ
となる。
このうち、まず四暗刻については、役満確定である以上四暗刻単騎しかありえず、が「入って」四暗刻単騎になるということから、
という2つしかありえない。
しかし、両方が対子という時に「東をツモアガリする」というのは、
入替前:○○○××× ?
入替後:○○○××× ?(四暗刻単騎)
という形であり、○と×は入れ替わってはいないのだから牌の種類は全く同じ(つまり暗刻)。しかし、入替前の?は以外でなければならず(だとするとどちらかが入替後に4枚になってしまう)、となると○×は共に暗刻としてではなく順子としてでないと使えない。だが、それでアガリになりかつフリテンになるという形はありえないので、四暗刻は不正解となる。
次に緑一色だが、これも「確定」からシャンポン待ちかカンチャン・単騎に限定される。
しかし、こちらもやはりフリテン問題が解決できない。よって緑一色も不正解となる。
残るは九蓮宝燈だが、これはを足す前の形を考えると、
しかありえない。ここにを足して確定九蓮宝燈である。で、ここにとあったわけだから、
という形が出てくる。
これがという複合3メンチャンになっていて、フリテンの条件とも合致するわけである。
役満を絞り込み、入替前の手役も絞り込み、その双方を考えるのが解法なのだが、かなり難問(というよりも複雑)だった。