この点は、利点にも欠点にもなりうるリーチの一大特徴です。
欠点は後ほど解説するとして、ここでは利点について解説します。
少し話がそれますが、よく「リーチを掛けると相手にテンパイを教えアガリづらくなるから、ダマテンできるならリーチを掛けない方が良い」と言う人がいます。
私はこの考え方には全面的に反対します。
「ダマテンが卑怯で、正々堂々とリーチを掛けるべきだ」といった、くだらない感情論が理由ではありません。もっとちゃんとした理由があるのです。
仮に相手からリーチが掛かったとして、その時あなたが満貫のテンパイをしていたらどう対処しますか? 多くの人が、多少の危険(に思える)牌を捨ててでもアガリに向かうでしょう。
局の中盤を過ぎたのに、あなたの手牌がどうやってもアガリに遠いようならどう対処しますか? 多くの人が、相手にリーチが掛かっていようといまいと相手に安全(と思える)牌を捨てるでしょう。
このように、結局のところ打牌を選択する基準となるのは自分の手牌進行と巡目であって、相手のリーチの存在などは二次的理由に過ぎないのです。もちろん、相手のリーチが基準になることもないとはいいませんが、その場合でも「相手にリーチが掛かった。自分の手牌はテンパイしそうもない。ならば、守備に回るか」というように、結果としては自分の手牌と相談した上で打牌を決めていると思います。
これを逆に考えるなら、自分がリーチを掛けた場合でも、相手に対しての影響がさほどでないとも言えます。
影響がないのであれば、相手のことはとりあえず棚上げにして自分に対する効果を考えるべきです。
自分に対する効果とは?
言うまでもなくそれは点数的効果です。リーチには得点を2倍にする効果があります。
以上から、
「リーチを掛けるとアガリづらくなる」
「ダマテンできるならリーチを掛けない方が良い」
という考え方に意味がないという結論が導き出せるのです。Q.E.D
さて、話を元に戻します。
相手に確実にテンパイを教えるとはいえ、それが相手に及ぼす影響はさほどでもないことはお解りいただけたと思います。
しかし、それと同時に、先程も説明した通り「局の中盤過ぎなのにテンパイにほど遠い」または「テンパイしても点数的に高い手になりそうもない」人に対しては、ある程度の影響を及ぼすことは間違いありません。
そこで、
大原則1に見合う手牌であれば、待ちの善し悪しに関係なくどんどんリーチを掛けて、ツモアガリするまでの時間を稼ぐ |
という戦術が考えられます。
相手が守備に回ってくれたなら良し、フリコミをしてくれたならなお良し、ツモアガリできたならもっと良し、といった感覚でリーチを利用するわけです。