時のタイトル保持者とコンピュータ将棋ソフトが平手で勝負する。こんな話が現実になったんですよね。渡辺竜王vsボナンザ。本書は、ボナンザ作者の保木さんと対局者渡辺竜王が、「世紀の一戦」前後について語った本である。
まずは保木さんがボナンザ開発の経緯を解説し、続いて渡辺竜王が「世紀の一戦」前後についての顛末を。そのあと二人の対談が入り、最後に二人がそれぞれ思うところを綴っている。
渡辺竜王の指摘はコンピュータ将棋の進歩にとって有用なものになるだろうし、ボナンザ開発の経緯はコンピュータ将棋に興味がある人であればぜひとも読んでほしい。個人的には、最後の保木さんの話が印象に残った。本題とは少し違う気がするんだけども……(笑)。
通常の「将棋の本」ではないが、コンピュータ将棋に興味がある人、コンピュータ将棋なんてまだまだでしょ、と思っている人は、一度手にとってみてほしい。同じ将棋の、けれど少しだけ違う新しい世界がそこにはある。