出版当時は大変な反響を巻き起こした『定跡外伝』の続編。と同時に、今まで毎コミが出版した棋書のフォローにもなっているというのがおもしろい。ようするに、定跡とちょっと違う局面、意外と触れられていない裏定跡を紹介する本である。
私自身は定跡ヲタなところもあるのでこういう本は読んでいて楽しいのだが、でははたしてどれだけの需要があるかと客観的な視点で見ると疑問ではある。
見開き単位で一つの局面、というかなり制約されたレイアウトの中で解説をしているので、棋譜がかなり長々と載る。それを追っていける、もしくは盤駒を出して並べて鑑賞できるレベルの人向けの本である。これは需要はそう多くないよね。
前作は居飛車対振り飛車のみだったが、今回は矢倉や横歩取りなども取り上げられている。その分、よりお得感が強まった気がする。脇システムや8五飛戦法外しなどは、まさに定跡「外伝」という感じで非常にいい。
その定跡を知っている、ということが前提になるので100%有段者向けなのだが、たとえわからなくても級位者にも一度は読んでみてほしい。将棋のおもしろさ、奥深さがよくわかる良書である。