プロ棋士でもある著者がプロ棋士の日常風景を記していく人気の(?)シリーズ第5作。時代は平成2年から3年というから、今(2003.1)より12、3年前の話ということになる。それなのに読んでいて面白いのは、やはり題材のよさなのだろう。
プロ棋士の何気ない言動も楽しいし、取り上げられている将棋はどれも「なんかいい」将棋ばかりだ。読み物としても棋書としても楽しめる。本書はそんな稀有な本である。
個人的には、コラムでも取り上げた大山の▲6九銀が印象に残っている。こんな凄い将棋は他にないし、こんなドラマを作れる棋士は大山しかいないだろう。
その他にも、羽生が順位戦で叩きのめされる話(笑)や藤井の奨励会時代の話、石田-加藤戦の泥試合など、見所を挙げていったらキリがない。
肩に力を入れて読む本ではないが、できれば一気に読んで欲しい。臨場感が違ってくるだろうから。