20世紀の頃(と書くとすごい昔に感じる(笑))、『振り飛車党宣言』というシリーズがあった。若手が振り飛車の最新研究を披露するという試みで、個人的には実戦譜が多く研究が薄いのであんまりだったのだが、それでもなかなか好評だったと思う。
今回は「21世紀の若手」とも言うべき面々が、最新研究を披露してくれている。
内容は昔のままで、一人ずつ2本の講座、自戦記、次の一手、実戦譜という構成。
今回の講座は、
- △6四銀、△5三銀左の急戦(▲4六歩と突いている形=▲4六角の反撃がない分居飛車が得)
- 藤井システムっぽい形からの居飛車穴熊、ミレニアム対策
- 居飛車穴熊(含松尾流)vs△4四銀型
といったところ。
急戦対策は必要だし、ミレニアム対策はあんまり棋書も多くないし、vs松尾流は渡辺本を超えてる部分もある(ちょっとだけ言うと、△4五飛▲2四飛に、△4九飛成としないで端を攻める。この手は渡辺本に載っていない)ので、四間飛車党であれば迷わず買い。居飛車党も、四間飛車側の手の内を知るという意味で読んでおいてもいいだろう。
ただ、前シリーズを踏襲しているせいもあって、解説自体は少ないし、そもそも基本定跡は扱っていない。あくまでも基礎が判っている人が読む本になっている。そういうところを合わせて考えると、初段くらいまででは少し読みづらいかもしれない。