将棋でよく使う用語を集めて解説した本。
将棋用語だけでなく、将棋界用語、詰将棋用語、盤駒作成用語まで網羅している。
「辞典」という感じではなく、やっぱり「事典」。説明が非常に細かく丁寧だ。
「名棋士の談話室」と名づけたコラムページが非常に充実していて(下1/3が全部そう)、一つ一つの言葉について島、森内、佐藤、羽生、中原、米長の各氏が解説している。
ここを読むだけでも十分に面白かった。
もう一度読みたいかというと微妙なので買う価値があるかと言われると困るが、言葉の定義を知ることも重要な上達法の一つだと考えているので、初段くらいまでの人なら手元に置いておいて損はないと思う。有段者なら、知っている言葉ばかりだろうから値段=コラム代ということになるだろう。
ちなみに白砂は、「肩銀」「兜矢倉」という言葉と、盤駒作成関連の用語が判らなかった。なんだよ肩銀って……。
少し気になったのが、あとがきの言葉。
どうやらこの本、最初は伊藤果と編集とで出版する予定だったらしい。ところが、言葉の解釈について揉めたようで、伊藤果はいわば「舞台から降りた」形となっている。
伊藤果ということを考えるとおそらく詰将棋用語関連での行き違いだと思うのだが、なんでそんなことになってしまったのかを考えると少し寂しい。