青野2ch名人がいろんなところで書いたエッセイをまとめたもの。
将棋と違う世界の話を将棋にからませつつ、うまく話を転がしていくので、将棋を知っている人にとってはとても読みやすいエッセイになっている。また、昔の将棋界の話なども、実体験として非常にリアルに書かれていて(塾生の頃の話とか)、逆に将棋を知らない人が読んでも面白いのかもしれない。さすがにもう「将棋を知らない人」の気持ちは判らないので断言はできないが。
青野先生の人柄を反映しているかのような読みやすい文章と、選材のうまさで、あっという間に読めてしまう。まぁ、選材について言えば、「ドーハの悲劇」なんて言うのは勝負を知らない人の言葉で、知っている者にしてみれば必然の結果、とか、大丈夫なのかと思うものもないわけではなかったが、基本的にはのんびり面白く読めると思う。個人的には、盤駒の話が面白かった。
かなり前(2014年現在から見て10年以上前)に書かれたものではあるのだが、普遍的な内容が多いので、今の将棋ファンにも、というか今の将棋ファンにこそ読んでほしい一冊といえるだろう。