将棋世界に連載されていた「関西本部棋士室24時」をまとめた本。
また、冒頭に結構なボリュームの棋士座談会がある。正直、この部分だけでも十分に読む価値があると思う。特に「将棋」より「棋士」が好きな方は必読。
メインの連載は、意外と言うと失礼だが豊富に実戦例を紹介している。また、題材についても『対局日誌』と同じく、読んで楽しめるものをということからか逆転やねじり合いの将棋を多く取り上げている。棋士の控室に入り込んで観戦しながら検討している様を追体験できるようなもので、こちらは「将棋」が好きな方にも読んでもらいたい。逆転術や競り合いでの勝ち方、腰を落とした受け方など、実戦感覚が身につくと思う。
あと、これもよくあるものだが、連載にあたってつけられた注釈が意外とツボだった(笑)。北浜が移籍したりとか、そういえばそうだったか……と思ったりして。
時に棋士の(特に糸谷の?)お茶目な一面も覗けて、将棋も強くなれて、こうやって一冊にまとめたものを読んでみると意外といい連載だったんだなぁと認識を新たにした。合う合わないはあると思うので、ひとまず立ち読みか図書館で借りるかして、肌に合ったらじっくりと読んでみる、というのがいいだろう。