2002

分かる・役立つ 速効!矢倉の手筋

分かる・役立つ速効!矢倉の手筋
著者 :飯塚 祐紀
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-04-01
価格 :¥1(2024/09/01 03:49時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

矢倉戦で生じる代表的な手筋、攻め筋について解説している本。
よくある▲2四桂のぶち込みや▲4一銀の引っかけといった基本手筋、理想形に組んだあとの攻略といった、身もふたもない言い方をしてしまえば「矢倉素人のための初級解説本」。しかしそれゆえ、矢倉党の級位者には参考になると思う。

なんで▲4一銀と金に当てる手が常に急所となるのか。どうして序盤の組み合いで漫然と指してはいけないのか、本書を読めば、喰らったときの破壊力からそれは察せられるはずだ。かなり後手にはサンドバッグになってもらっているので(笑)都合のいい指し手も少なくないが、本書のような「手筋」を喰らうと陣形というのはあっけないほどモロい。また逆に攻略も可能だ。プロやアマ高段者が固そうに見える玉をあっという間に丸裸にしてしまうのは、こういった手筋を常識のように使っているからなのだ。

本書を読めば有段者になれるとは思ってはいけない。強くなればなるほど、お互いに手筋を知っているから、それをやられないようにやられないように指していくからだ。しかし、初段にはなれる。級位者と段位者の最大の違いは、これら手筋を活用できるか否か、といっても過言ではないからだ。
先にも言ったとおり、都合のいい指し手がけっこうあるので本書だけでは上達は望めない。しかし、基本手筋を知るうえで本書は格好の教材になるだろう。

作成日:2002.04.25 
手筋

東大将棋ブックス四間飛車道場 第4巻 4五歩

四間飛車道場 第4巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-04-01
価格 :¥52(2024/08/31 17:04時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

すでにシリーズとして認知された感のある東大将棋シリーズ。今回は▲4五歩と仕掛けていく形について解説している。
振り飛車側は▲2四歩に△同歩といくか△同角といくかに分かれるが、本書では△2四同角の変化がかなり詳しく掘り下げられている。出版時にかなり新手が出て、それに刺激されたためだろう。分量としては△2四同歩の方が多いが、変化の底の深さは△2四同角に軍配が上がる。
うしろの方には、もはや懐かしい感のある二枚銀などの急戦も載っている。米長流4六銀なんて久しぶりに聞いたなぁ(笑)。

作成日:2002.04.12 
四間飛車

将棋倶楽部24万局集

将棋倶楽部24万局集: 棋譜データベース
著者 :久米 宏
出版社:ナイタイ出版
出版日:2002-03-01
価格 :¥6,480(2024/08/31 15:28時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

最近はネットで将棋を楽しむこともできるようになったし、棋泉や柿木のデータベースに棋譜をぶち込んで研究に生かす人も出てきた。まさに電脳研究(笑)の時代に突入したわけだが、そんな中、ネット将棋最大手の将棋倶楽部24が24万局という膨大なデータ集を発売した。

なんといっても本書(?)のウリは、アマ強豪の棋譜がたくさん収録されていることだ。プロの場合、指し手は相手の狙いを殺す方向に走りがちだし、少しの有利でも「有利」と考えたりするところがあるので微妙な機微はアマチュアにはわかりにくい。それよりは、同じアマチュアであるアマ強豪の棋譜の方が参考になるかもしれない。
また、当然のことながら変態戦法もたくさん載っている。定跡書の少ない形でも、数百局単位で棋譜を手に入れることができる。有段者ならこの素材だけで十分すぎるほどの研究ができるだろう。

おそらく図書館に行けば本は置いてある。コピーはやろうと思えばできるが、それは著作権法違反になるのでやらないように(←図書館職員より)。

作成日:2002.03.25 
実戦譜集

谷川の21世紀定跡 2 横歩取り8五飛戦法編

谷川の21世紀定跡 2 横歩取り・8五飛戦法編
著者 :谷川 浩司
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2002-03-01
価格 :¥131(2024/09/01 07:46時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

ついにというかやっとというか、谷川が8五飛戦法を解説した。
とはいっても最新変化がずーらずら……というわけではない。むしろ今までの定跡をまとめたものに近い。そういう意味では、類書であり良書であるものがいくつか出ているので、そちらを参考にした方がいいだろう。

わざわざ谷川をかつぎ出したのは、プロローグにあると思う。
約30ページを割いて、今までの8五飛の歴史について簡単に触れている。その中で、谷川自身の考えたことや指し手の意味などを結構詳しく書いてくれている。

これが面白い、と思った人は買い。
そうでない人は別の本で十分だと思う。

作成日:2002.03.25 
横歩取り

東大将棋ブックス矢倉道場 第4巻 新3七銀

矢倉道場 第4巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-03-01
価格 :¥125(2024/08/31 18:50時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

第3巻と同じ3七銀型ではあるが、こちらは少し変態チックな変化を解説している。変態戦法系といっても、脇システムや6五歩突きというプロの対局に出ている立派な指し方である。まぁ、森下は『現代矢倉の思想』で脇システムを「今後主流になることはないと思っている」とバッサリ切り捨てていたが(笑)。
一方、アマチュアにとっては知りたい変化でもあるだろう。特に脇システムはハマると一発だし一気に終盤までなだれ込んでいく。知っておいて損はないし、知っているからこそ引きずり込んでいくこともできる。今までこれらの戦法についてはあまり光が当てられていなかったので、『定跡外伝』感覚で読むこともできるだろう。

とはいっても『定跡外伝』よりもはるかに読みにくいことは約束できる(<してどーする)。本書も、やはり自信がない人は手を出さない方がいい。もっとわかりやすく書かれた本はいっぱいある。本書ほど詳しく書き込まれた本がないのは寂しい限りだが……。

作成日:2002.03.15 
矢倉
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