羽生善治の必殺の一手100 羽生マジック傑作選 五冠獲得と早指しの妙技
羽生の勝った将棋を集めて、次の一手形式で出題する。題材は、藤井竜王との激戦を制したあの竜王戦を基点として、そこから遡って100局分の将棋である。まぁ最近の将棋と言ってもいいだろう。
単純な次の一手だけではなく、そこに至るまでの簡単な解説と、巻末には実戦譜が収録されている。羽生の実戦譜集だと思って購入するのもありかもしれない。
図書館に入荷されたので手にとってみたのだが、はっきり言って難しい。さくさくっと見ただけではあるが、2/3くらいしか判らなかった。
しかも、解説がかなり不十分。中盤くらいの将棋を題材にして、正解手とそこからはっきり良くなるまでの棋譜を書き、なのに図面が投了図。なんじゃそれは(笑)。図面がない上に手の意味もあんまり説明してくれないので、手順を頭の中で追えない人は盤に並べて確かめるしかない。それか読み流すか(笑)。
とはいえ、たかが(と敢えて言ってしまう)次の一手に盤駒を引っ張り出してくるとも思えないし、級位者が手順を追えるとは思えないので(頭の中の盤をきちんと動かせたら、初段は確実にあると白砂は思う)、きっと級位者の人は読み飛ばすことになると思う。つまり、この本は「読者を選ぶ」。
評価の方は、そういうことを考えて上のようになっている。有段者にはお勧めかといえばそんなに強く勧められるものではないが、既存の次の一手よりは遥かに骨がある。
ただし。
羽生マジックは、あんまり出てこない(笑)。看板にでっかい偽りあり、だと思う。