2003

勝てる将棋格言36

勝てる将棋格言36: プロの実戦に学ぶ妙手 (将棋必勝シリーズ)
著者 :青野 照市
出版社:創元社
出版日:2003-08-01
価格 :¥1,000(2024/09/01 14:20時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

格言というものには、先人の知恵と経験が詰まっている。
そのため、将棋においても、格言というものは「指針」になりうる。
本書は、そんな「役に立つ」格言を集め、解説している本である。

良く言うと(爆)

 悪く言ってしまうと、

くそ(笑)

 なんというか、本当の意味で実戦的な格言という感じがしないのである。そりゃあ「歩のない将棋は負け将棋」というのは形勢判断をする上で役に立つ格言かもしれないけど、そんな格言よりももっと役に立つ実戦的な格言はあるんじゃないだろうか?
非常に意地の悪い表現をしてしまうと、いかにもプロの「将棋を教えています」的なお仕着せ感というか教科書的な匂いがする。実戦ってそういうものじゃないよね。

もっとも、逆の見方もある。
最近、そういう「むかし言い古された格言」というのが、どれくらい今の若い人に知られているかを考えた時、また、将棋をはじめて間もない人達のことを考えた時、網羅的に(といっても36コだけど(笑))格言が載っているような本というのは必要かもしれない。

しかし、本書がその役に立てるかというと非常に疑問だ。

というのも、なんかやけに内容が高度なのだ。
初段くらいが対象かもしれない。少なくとも、将棋をはじめて間もない人たち向けの内容では断じてない。
教科書的かつ網羅的なカタログであるのなら、入門書としての本だなと判る。しかし、この本の内容では少し高度だと思う。

一度は目を通してみるのもいいかもしれないが、分厚いし、途中で挫折してしまうかもしれない。購入の前に、できれば中身をチェックしてみることをお勧めする。

作成日:2003.08.25 
全般

定跡なんかフッとばせ

定跡なんかフッとばせ: 駒落ち必勝法 (MYCOM将棋文庫 13)
著者 :湯川 博士
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-06-01
価格 :¥1,198(2024/08/31 17:15時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

毎コミの復刻文庫シリーズの一編。
6枚落ち、4枚落ち、2枚落ちの解説をしている。分量的には、2枚落ちの解説に半分以上を割いている。

本のコンセプトとしては、「難しくてわけ判んない定跡を覚えるより、むしろ玉を固めてバンバン攻めてこうよ」といった実戦的なものになっている。そのため、2枚落ちでは2歩突っ切りの難しい定跡ではなく、銀多伝を中心に解説している。
個人的には定跡ヲタクなんで(笑)、こういう本は読んでいて楽しい。駒落ち版『定跡外伝』だと思えば間違いないだろう。
ただ、現在どれだけ駒落ちが指されているかということを考えると、本書の需要がどれだけあるのかどうかは疑問だと思う。昔であれば、プロに駒落ちで教わる、なんていう話はよく聞いたんだけれど、今はあまりそういう勉強法を取っている人も少なくなっただろうから。

将棋というゲームの面白さを考えたいのなら、本書はぜひとも読むべきだと思う。定跡書の功罪や実戦での心構えなど、平手戦でもためになる要素はいっぱいある。
そういう「よみもの」として捉えるべき本なのかもしれない。

作成日:2003.08.25 
駒落ち

東大将棋ブックス横歩取り道場 第7巻 3三角戦法

横歩取り道場 第6巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-05-01
価格 :¥948(2024/09/01 05:09時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

横歩取りシリーズ最終巻は3三角戦法。内藤9段の空中戦法でおなじみの戦形である。現在こそ8五飛戦法に押されてしまってはいるが、その存在が否定されたわけではない。

正直な感想を述べると、そんなに目新しさは感じなかった。
8五飛戦法の台頭のせいで、3三角戦法にもいくつか新しい指し方や手筋が生まれたとは思う。しかし、それこそ『羽生の頭脳』からどれくらい進化したんだということを考えると、その停滞具合が少し悲しい。プロは最新形しか研究しない、というのは、ある意味真実なのかもしれないなぁ。

巻末にはチャートもついていて、それだけでお得かもしれない。
横歩取りだからこれで済んだものの、四間飛車だったらどうなるんだ……? などと、つまらないことまで考えてしまった(笑)。

作成日:2003.08.25 
横歩取り

振り飛車ワールド 第4巻

振り飛車ワールド 第4巻
著者 :毎日コミュニケーションズ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-07-01
価格 :¥620(2024/09/01 09:48時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

もう4冊目か……と少し驚いてしまった。なかなかの刊行ペースだと思う。「矢倉ワールド」や「横歩取りワールド」を出したとしてそれくらい勢いが続くんかい、と考えると、やっぱり振り飛車というのはアマチュアの人気戦法なんだな。
今回はインタビューが鈴木大介と加瀬純一、指定局面が棒銀、千葉の講座は5七銀右急戦、その他のエッセイ、講座というラインナップ。

鈴木大介のインタビューはなかなか面白かった。創元社での定跡解説っぷりそのまんまの人である(笑)。いや、誉めてんのね、これ。これからも頑張ってほしいと思う。
棒銀の方はそんなにインパクトがなかった。これは本文にも書いてあったが、指定局面の設定自体がちょっとまずかったと思う。新手爆発、という感じではなかった。千葉の講座は相変わらずのクオリティで、安心して読める。バンカナたんは例によって写真が2枚(笑)。

今後、どういう方向に進むのか(例えば10巻くらい出たとして、なんかその先が続かなそう……)気になるが、そんな先のことは置いといて、十分に楽しめると思う。
正直、本にするような話かなぁ……と、いい意味でも悪い意味でも思うんだけど。

作成日:2003.08.25 
振り飛車全般

四間飛車で居飛車穴熊退治

四間飛車で居飛車穴熊退治 (将棋必勝シリーズ)
著者 :鈴木 大介
出版社:創元社
出版日:2003-07-01
価格 :¥521(2024/08/31 15:52時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

鈴木大介です。
創元社です。

結果は、見えてますね?

 というコメントになるはずだったのだけど……(<はずだったんかい)。

すまん。

 この本、結構いいよ。

題材としてはタイトル通り対居飛車穴熊。先手番では浮き飛車を、後手番では△4四銀型を解説している。
特に浮き飛車については、あの久保が「厭な変化があるのでもう指しません」とか言ったとか言わないとかいうくらいなんか厭な筋があるらしいのだが、もちろんそんな変化は素通り。相変わらず豪快に決めてくれてます(笑)。
ただ、かなり形が限定されているので、四間飛車道場ほどではないにせよかなり突っ込んで変化が書かれている。本書を理解して四間飛車で穴熊に挑んで、それで負けてしまったら相手が強いと諦める以外にない、というくらいきっちりと解説してあるのだ。

浮き飛車形にしろ4四銀型にしろ、上級者でなくても指していける簡単な形なので、そういう「決まった形」をうまく料理した本だと思う。こういう戦法は、一手違うともうだめーというのではなく、形や狙い筋を理解するのがむしろ肝要なので、創元社+鈴木大介という「本筋のみ直球勝負」という作り手陣容とは相性がよかったのだろう。

下は5級くらいから上は3段くらいまで、かなり「使える」本になっている。

作成日:2003.08.25 
穴熊
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