2003

コーヤン流三間飛車の極意 持久戦編

コーヤン流三間飛車の極意 急戦編・持久戦編 (プレミアムブックス版)
著者 :中田 功
出版社:マイナビ出版
出版日:2017-02-28
価格 :¥3,520(2024/09/01 06:24時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

前回、急戦編で三間飛車党の心をぐっと掴んだ(<そぉかぁ?)コーヤンの持久戦バージョン。元々、『島ノート』に書かれていた「中田功XP」は対居飛車穴熊だった。今回、そのXPの詳細な解説がついに読める! そう思った読者も多いはずだ。白砂もそうだった。

ふざけんな! 騙しやがったな!
これじゃただの真部流ぢゃねーかよぉっ!!

いやマジで。
期待はずれ。

少し真面目に解説すると、対左美濃と対居飛車穴熊が載っている。穴熊は3枚穴熊と4枚穴熊とに分けて解説しているが、とにかく全ての考え方は「▲4五歩から▲4六銀」というもの。これ、真部流だよねぇ……。
内容について言えば、▲4六銀型に左美濃に組むというのはそれだけで相当に味が悪い(▲4六銀と△2三玉の近さを考えてみれば判る)ので、三間飛車が有利になりやすいというのは判る。かなり作った手順もないではないが、▲3五銀や▲2三角といった捨て駒は作ってるっぽいけど既に手筋になりつつあるので、初段前後の人には参考になると思う。
穴熊の方は、もう少し詳しく解説して欲しかった。3枚穴熊と4枚穴熊とに分けて解説するという発想は評価できるが、それにしても解説が薄い。突っ込んだ解説を本書に求めている人は多いはずだ。
また、後ろの方に、穴熊の攻略方法について解説しているページがある。
囲いの崩し方、みたいな本を見ればだいたい書いてあることではあるが、定跡解説とプラスされているのでお得感はある。級位者は参考になるのではないだろうか。

三間飛車の解説書は少ない。それゆえに、ディープな解説を求めている人は多いと思う。もう少し、それらの声に答えて欲しかったと思う。

『コーヤン流三間飛車の極意 XP編』を出してくれたら、上の批判は即刻撤回するけど(笑)

P.S.ご指摘がありましたが、これXPだそうです。失礼いたしました。

作成日:2003.05.21 
三間飛車

消えた戦法の謎 あの流行形はどこに!?

消えた戦法の謎: あの流行形はどこに!? (MYCOM将棋文庫 10)
著者 :勝又 清和
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-05-01
価格 :¥916(2024/08/31 16:51時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

流行の戦形は常に移り変わる。今は中座飛車と藤井システムが将棋界を席巻しているが、かつては森下システムや塚田スペシャルが棋界の中心だった。
しかし、現在では誰も指していない。
あの戦形はどこに行った?

……というコンセプトで生まれた本書。はっきり言って「買い」である。
例えば、塚田スペシャルが消えた理由。詳しくは本書を読んでほしいが、谷川の△8二飛の自陣飛車の変化まで知っている人は少ないだろう。知らなければ、指されたときに負けてしまうのに、である。
消えた戦法は、やっぱりどこか欠陥があったのである。極端に言えば、プロの世界でつぶされた瞬間、その戦法は奇襲扱いになってしまうのだ。
奇襲戦法につぶされるのはバカらしい。ぜひとも本書を読み、戦法の移り変わりを知ってほしい。

どうでもいいことかもしれないが、本書に「風車」が登場する。その消えた理由は「新風車に移行したから(正確には「千日手がイヤになったから」なのだが(<おいおい……))、この部分、賭けてもいいが著者の勝又4段は伊藤7段に取材していない。また、別に最初から事情を知っていたわけでもない。
『風車の美学』を抜き書きしたのである。
読んでみると、なんの工夫もないさまがかえって笑える。確認してみてほしい。

作成日:2003.05.14 
全般

東大将棋横歩取り道場 第五巻 続8五飛戦法

横歩取り道場 第5巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-03-01
価格 :¥200(2024/09/01 05:09時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

おなじみ東大将棋シリーズの第5巻。前回は5八玉型だったが、今回は6八玉型を解説している。また、少しではあるが▲5八玉型の最新形▲3六歩型についても触れられている。

相変わらずの編集方針だが、もう買う方も慣れているので間違って手を出すこともないだろう(笑)。完全にブランドが定着した感がある。
▲3六歩という新手についても、よくぞこのスピードでこれだけの情報を集めたなというくらい集まっている。絶対数としてはまだまだだが、出版から逆算すると、ほとんどリアルタイムに近い感じで棋譜を集めているとしか思えない。便利な時代になったもんである。どうでもいいけど、なんとか24万局集のデータを柿木形式にコンバートできないもんだろうか……。ホントにどうでもいい話だし、話題が違うし(笑)。

そろそろネタ切れの感があるこのシリーズ。そろそろ、読者からテーマを募集、なんてことを始めてもいいのではないか? なんてことをちょっと考えた。

作成日:2003.03.25 
横歩取り

東大将棋ブックス横歩取り道場 第4巻 8五飛戦法

横歩取り道場 第4巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-01-01
価格 :¥310(2024/09/01 05:09時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『東大将棋ブックス横歩取り道場 第1巻 8五飛阻止』に続いての8五飛戦法第2弾。▲5八玉型について解説している。
昔は▲6八玉型が多かったように思うが、最近はこの5八玉型ばかりになっているように思う。8五飛阻止に引き続き、横歩取り党にはありがたい一冊だろう。

相変わらず読みにくい……ということはもう言わなくてもいいとは思うが、それでも、ページの上の方に見出しを書き続けていたり、なんとなく努力は伺える。いっそのこと上下ともに使って今どの変化をやっているかが判ればもっと判りやすくなるとは思うが、それはさすがに見づらすぎるか(笑)。
やっぱりいつものように有段者向けであることは間違いなく、辞書か雑誌の企画ものだと思ってさらっと読み流すのがいいだろう。

作成日:2003.03.25 
横歩取り

コーヤン流三間飛車の極意 急戦編

コーヤン流三間飛車の極意 急戦編・持久戦編 (プレミアムブックス版)
著者 :中田 功
出版社:マイナビ出版
出版日:2017-02-28
価格 :¥3,520(2024/09/01 06:24時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『島ノート』ですっかり名を上げた感のある中田の、最新の三間飛車定跡書。四間飛車とゴキゲン中飛車の本はあまたあれど、三間飛車の解説本なんてのはなかなかない。ましてや正統派の三間飛車となると、最後に出版されたのはいつだろうか? というわけで、三間飛車党待望の本。

今回は急戦編ということで、主に早仕掛けの変化について書いてある。その他の急戦についても一応触れられているが、本書の解説にもある通り、元々三間飛車は3筋に飛車を振っているので、四間飛車の変化に比べて一手得している(振り飛車では、角頭を攻められた時、△3二飛と受けることがありますよね。三間飛車は初めから3筋にいるので、その手を省ける=一手得、という意味です)。そのため、それらの変化についてはさらっとしか書かれていない。まぁ、知りたければ先手四間飛車vs急戦の本を見ればいいわけで、それについては上記の通りあまたの本が出ているから本書で触れる必要もないのだろう。
早仕掛けというのは、▲4五歩から仕掛けて、銀を上がって交換して▲3二銀から▲2一銀成、▲1五桂……という例の形で、これについてはかなり突っ込んで書いてある。『定跡外伝2』にない変化もあるので、まさに三間飛車党にとっては待望の書といえる。
図面も多く解説も判りやすいので、中級者から有段者まで幅広くカバーできると思う。初級者から中級者入口の人は『ホントに勝てる振り飛車』を読んでから本書を読むとなおいいだろう。

こうなると期待してしまうのは「中田功XP」で、早いトコ対持久戦を出版して欲しいところだ。
……てぇか、持久戦全盛の時代に、なんて判を押したように急戦が先で持久戦が後なのだろうか? 出し惜しみして売上が伸びるわけでもなし、さっさと期待されているものから出した方が得策だと思うのだが。

作成日:2003.03.23 
三間飛車
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