2004

最強の棋譜データベース 将棋倶楽部24

将棋倶楽部24最強の棋譜データベース: 24万局を超える棋譜データを1枚のCD-ROMに凝縮!
著者 :久米 宏
出版社:成甲書房
出版日:2004-09-01
価格 :¥1,100(2024/08/31 14:50時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

棋書というよりはCD-ROMといった方がより正確だと思うが、将棋倶楽部24で指された棋譜を24万局以上集めたという膨大な棋譜データベース。以前にも出ていたような気がするので、これは第2弾ということになるのだろうか(<第3弾だったらどうしよう(笑))。
「本」の部分は、CD-ROMの使い方や検索方法、24の使い方などが書かれている。24を知らない人、「棋泉(検索ソフト)」を使ったことのない人は、これを読めば一応は使いこなせるようになるだろう。
あとは、第一回近将カップの観戦記と、24上位者リストが載っている。

観戦記は少しレイアウト等が読みにくかったが、プロアマ入り乱れての戦いだけになかなか面白い将棋が多かった。
個人的には、中田功が3九玉型三間飛車を指していて、思いっきり「XP」と紹介されていたのを読んで少し鬱になった。くそうこっちから読んどけば……(笑)

検索機能を利用して端攻めの攻防を勉強するとか、定跡の「その先」を知る、というのは、言われてみればなかなか面白い勉強法だ。棋譜はとりあえずは信頼できる程度に強い人のものが揃っているので、実戦特有の「強い」手順が体系的に学習できる。ただ、それをみんながみんなやればいいかというとそういうものでもないと思う。特に級位者レベルであれば、そんな勉強方法よりは素直に棋書を読んだ方が手っ取り早いだろう。

ある程度の棋力があって、「棋譜並べ」ができる人なら垂涎のアイテムだと思う。
そうでない人は、この6,800円は別のことに使った方がいい。

作成日:2004.10.13 
実戦譜集

コーヤン流三間飛車 実戦編

コーヤン流三間飛車 実戦編 (新プロの将棋シリーズ 2)
著者 :中田 功
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-09-01
価格 :¥1,929(2024/09/01 06:44時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

急戦編、持久戦編に続いて、今度は実戦編と銘打ったコーヤン三間飛車シリーズ。東大道場シリーズといい、ここのところやけに三間飛車が注目を浴びている。
おそらくその一因の一つとなっているのがこのコーヤンこと中田功の存在で、プロの間で非常に評価が高い三間飛車党である。「実戦編」ということで、これはマニアが待ち望んでいた実戦集かと思いきや……。

実戦譜は後ろの方に固まっていて、棋譜もついている。
しかし、この本は実戦譜集ではない普通の定跡書である。

本の半分は、今まで出版した急戦編、持久戦編のフォローになっている。時間が経って結論が変わったもの、書ききれなかった変化などをここで改めて詳解している。
また、「実戦」の部分も、解説されているのは組み合った後からで、中盤から寄せまでの解説となっている。序盤の駒組みについてはほとんど触れられていない。

これで「実戦編」と出版してしまう出版社にまず驚いたが、内容は非常に濃く、面白く読めた。ギリギリの部分での優劣を解説しているため、初段くらいでは少し難しいのではないかと思う。旧来の定跡を知っている人が、ここで新定跡を手に入れる。そんな感じの本だ。

実戦解説を部分的にしたのも、好意的に見れば「見たいところだけを集中的にたくさん解説する」という表れなので、これはこれで評価できると思う。
一冊の本として出版をする場合、序盤はどうしても似たような手順になりがちなので、解説部分に書く事がなくなって(笑)いきおい棋士の人となりを紹介したり対局時の精神状態を解説したりと「ムダ」なものになりがちだ(笑)。それをバッサリと省いて解説したいところだけ解説をしたと考えれば、合理的ではある。白砂はどちらかと言うと「よみもの」と捉えているので(だから観戦記や自戦記は好きだけど棋譜集は嫌い)、そのムダな部分をどう捌くかというところが見たかったりするあまのじゃくではあるのだが(爆)。

作成日:2004.10.02 
三間飛車

羽生の法則 Volume3 玉桂香の手筋

羽生の法則 Volume3
著者 :羽生 善治
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2004-09-01
価格 :¥1,430(2024/08/31 18:31時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

すっかり定着した法則シリーズの第3弾。今度は玉桂香の駒に焦点を当てている。
コバケン本と微妙に構成を変えているのは何か意味があるのだろうか……?

内容は今までと同じく、駒の特徴を生かした手筋を紹介している。
序盤から活躍する駒ではないので、必然的に中盤から終盤、寄せにかけての解説になっているが、まぁこれは仕方がないだろう。既存の棋書でも解説されている手筋が多いが、初級者から初段くらいまでの人には参考になると思う。

玉の手筋については「早逃げ」ばかりだったが(笑)、これも駒の特性上仕方がないか。いくつかは玉の利きの多さを生かした手筋もあったが、基本的には「早逃げすることで玉の安全度グーンとあぁーっぷっ!!」という手が多い。好意的に見れば、こういう手筋は知っていてもなかなか指せないので(白砂がそうです)、前へ前へと出がちな級位者にはいい薬になるのだろう。

少し気になったのは、玉の手筋と桂香の手筋とでは、手筋感というか雰囲気というか、そういう「感覚」が違うのではないか、ということ。
飛び道具という意味もあるし、攻め駒の桂香と受けないといけない駒である玉とではやはりコンセプトが違う。これらが混ざってしまっている構成はどうかな……? と思った。やっぱり飛角桂香でひとまとめとしたコバケン本の方が、流れとしてはスムーズに読めるのではないだろうか。
もちろん、丁寧に解説してあるという点では評価できるし、本書が駄作というわけでは決してない。
ただ、なんとなく、前例があるからムリヤリ編成を変えたようにも思えるので、そんなことしなくても本書の価値は変わらないのに……と思ったので。

作成日:2004.09.24 
手筋

三間飛車戦法 軽快に豪快に一気に寄せきる

三間飛車戦法: 軽快に豪快に一気に寄せきる (将棋必勝シリーズ)
著者 :鈴木 大介
出版社:創元社
出版日:2004-07-01
価格 :¥200(2024/09/01 09:47時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

四間飛車やゴキゲン中飛車でおなじみの鈴木大介が、今度は三間飛車の解説を書いた。
創元社+鈴木大介というラインナップ、予想通りの(爆)仕上がりになっている。

内容としては、三間飛車vs急戦、左美濃、居飛車穴熊の三種。
相変わらず都合のいい解説は健在で(笑)、例えば左美濃や居飛車穴熊では無防備に△7四歩と突いて飛車のコビンを攻められるとか、急戦もやや危なっかしい手順で「これにてよし」で終わったりしている。
しかし、急所は判りやすく解説されているので、取っ掛かりの一冊としては悪くないと思う。この辺り、いつものツクリという気がしないでもない。

少し気になったのは、本書は本当に鈴木大介が書いたのか? ということ。どうも今までとは文章の調子が違っているように思えるのだ。
今までの「鈴木節」は、文体というよりは手順が豪快というか粗雑というか、まぁそこはそれいいじゃん振り飛車が勝てば、みたいな感があったのだが、本書の場合、手順というよりは文体でその豪快感を出そうという雰囲気がむんむんしている……気がする(笑)。いや、それだけ形容詞を使えるようになったと言えばそうなのかもしれないが、それよりはむしろゴーストが鈴木大介感を出そうとしてすべりまくった結果に見えるのだ。まぁ、いまさらゴーストを問題にするのもなんかどうでもいい気がするが、少し気になったので。

作成日:2004.09.14 
三間飛車

注釈康光戦記

注釈康光戦記 (最強将棋21 #)
著者 :佐藤 康光
出版社:浅川書房
出版日:2004-08-01
価格 :¥2(2024/08/31 20:33時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

著者の自戦記をまとめた本。
ただし、書名に「注釈」とある通り、ただ今までの原稿をまとめただけではない。著者にインタビューをして、内容の疑問点や当時との感覚の違い、自戦記より更に突っ込んだ著者の意見などを各章末にまとめている。なんとなくヲタっぽいというか「注釈で笑いを取る」的な感じはなくもないが、本書の主題は間違いなくそこにある。

自戦記を雑誌などに掲載する場合、あまりに個人的に突っ込んで内容に言及するわけにはいかないし(それはそれで面白いと思うが)、時間が経ってそれを読む場合、将棋の結論が変わっていたりしてそのまま内容を鵜呑みにもできなくなる。そういったフォローが、まずこの「注釈」によってなされている。
それだけではなく、インタビューを通じて、著者の将棋、棋士に対する考え方などにも触れている。
棋士はそんなに文章がうまい人ばかりではないし、自分の意見をうまく表現できないこともある。しかし、編集がその辺りをうまく誘導尋問(笑)することによって、当人がただ書く以上の濃い内容を引き出せている。実際、著者の考える「将棋」「棋士」「センス」といった内容が、非常に判りやすく、そして面白く書かれている。

自戦記そのもののレベルも非常に高いのだが、むしろこの「注釈」の部分を読み取って欲しい。
アマ高段になって、もう一つ棋力が伸びない人。そんな人には是非とも勧めたい。きっと「足りない何か」がなんなのか判るはずだ。

作成日:2004.09.02 
実戦譜集
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