羽生の法則 2 金銀の手筋
著者 :羽生 善治
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2004-04-01
価格 :¥217(2024/09/01 09:47時点)
(評価:級位者)
(評価:初段~三段)
(評価:四段以上)
羽生の手筋本シリーズ第2弾。
今度は金銀にスポットが当てられている。これで玉金銀だったらコバケンになっていたところだ(笑)。
本の作りは、前回と同じく見開き。
白砂の評価を見ていただければ判るが、今回の本は前回よりもかなり簡単になっている。
例えば銀では、金のナナメ後ろから引っ掛ける筋だとか、△2四玉△1四歩△2三歩△3四歩の形で▲2二銀と打つ筋。金だったら△6七金に▲7九金と千日手で粘るとか、飛車打ちに金ではじくとか。もちろんある程度高級な(?)手筋も紹介しているが、基本はこのくらいの難易度の解説が続く。
初段の人が力をつけるために読むのではなく、初段になるために読む、という本だと思う。
歩の手筋の場合、数が多いということもあって、さらっと紹介するだけでも結構なボリュームになるし初段くらいの人でも「ためになる」のだが、金銀の手筋というのはさほど多くないので、どうしても内容が基本的なものになりがちだ。それが、同じ編集方針でありながら、本書が前書よりも対象棋力が低くなっている原因だろう。
もちろん、棋力の低い人を対象にしているからいい本ではない、ということではない。愛棋家全体の棋力の底上げも重要なことだ。本書はそれに十分貢献できる良書である。
もっとも、羽生には高段者向けの本を書いて欲しいなぁ……という欲求もある。
本書を「棋士・羽生善治」が書く意味は、棋書という観点で見ればほぼ100%ない。売上がよくなる(だろう)、という「羽生ブランド」としか思えない。
仕方がないのかもしれない。でも、ちょっとなぁ……と思ってしまう。