2005

新・振り飛車党宣言! 1

新・振り飛車党宣言! 1
著者 :佐々木 慎
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2005-09-01
価格 :¥202(2024/09/01 21:34時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

20世紀の頃(と書くとすごい昔に感じる(笑))、『振り飛車党宣言』というシリーズがあった。若手が振り飛車の最新研究を披露するという試みで、個人的には実戦譜が多く研究が薄いのであんまりだったのだが、それでもなかなか好評だったと思う。
今回は「21世紀の若手」とも言うべき面々が、最新研究を披露してくれている。

内容は昔のままで、一人ずつ2本の講座、自戦記、次の一手、実戦譜という構成。
今回の講座は、

  • △6四銀、△5三銀左の急戦(▲4六歩と突いている形=▲4六角の反撃がない分居飛車が得)
  • 藤井システムっぽい形からの居飛車穴熊、ミレニアム対策
  • 居飛車穴熊(含松尾流)vs△4四銀型

といったところ。
急戦対策は必要だし、ミレニアム対策はあんまり棋書も多くないし、vs松尾流は渡辺本を超えてる部分もある(ちょっとだけ言うと、△4五飛▲2四飛に、△4九飛成としないで端を攻める。この手は渡辺本に載っていない)ので、四間飛車党であれば迷わず買い。居飛車党も、四間飛車側の手の内を知るという意味で読んでおいてもいいだろう。
ただ、前シリーズを踏襲しているせいもあって、解説自体は少ないし、そもそも基本定跡は扱っていない。あくまでも基礎が判っている人が読む本になっている。そういうところを合わせて考えると、初段くらいまででは少し読みづらいかもしれない。

作成日:2005.10.26 
振り飛車全般

駒落ち新定跡

駒落ち新定跡: すべての駒落ちをひとつの戦法で戦う、新発想の定跡書! (スーパー将棋講座)
著者 :高橋 道雄
出版社:創元社
出版日:2005-05-01
価格 :¥505(2024/08/31 17:15時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「面倒な定跡を覚えるより、平手感覚で指していった方が駒落ちは簡単!」というコンセプトで、平手定跡で駒落ちを指してしまおう、という本。
矢倉、四間飛車、三間飛車穴熊の3つの戦法が解説されている。

6枚落ちで三間飛車穴熊というのはどーなのよ? と言う気もするが(笑)、内容がどうこうというより、そもそも駒落ちがあまり指されていない現状で、どれだけ本書の価値があるか? という疑問がまず先に立ってしまう。
『定跡なんかフッとばせ』でも『最強の駒落ち』でも、ベースは駒落ち定跡だった。あくまでも、「既存の定跡内での勝ちやすさ」を追求するものだったわけだ。本書の場合は、平手の陣形に組んでから攻めるため、必要以上に玉が固い。
駒落ちのよさ、というか意義は、あくまでも「判りやすい形での寄せ方攻め方受け方を習得する」ことにあるはずだ。平手では上手方はかなり手を抜かないと勝負形にはならないし、そもそも寄せ形を作るまでの手数がかかってしょうがない。駒落ちは、そのプロセスをすっ飛ばして、いきなり「その部分」に行ける。だからこそ勉強になるのだ。
本書の指し方は優秀だ。それは間違いない。おそらく下手はかなり楽に勝つことができるだろう。なにしろ、攻撃力のない上手相手に自玉は矢倉や美濃や穴熊なんだから(笑)。
しかし、それでは駒落ちを指す意味がない。間違えたら反撃され潰され、「こう指しちゃいかん」と悟ることが駒落ち将棋の意義なのだ。

駒落ちを定跡通りに指す必要はないと思う。定跡を覚えることが最終的な目標ではないのだから。
ただ、2枚落ちくらいまで戦力に差がある場合、本書の指し方はなんの勉強にもならない(極論だが)と思う。
で、そういう観点で改めて本書を見た場合、戦法そのものに面白みがないし、自玉に対する憂いがほとんどないため手順にコクがない。となると、本書を「読む」層はどこなんだという根本的な問題が沸いてくる。

と、ここまで落としといてからフォローを入れるのもなんだが(笑)、戦法そのものは優秀だし、勝ちたいのであればこういう戦法を選択するのも悪くない。
その昔、大学の将棋部の合宿で駒落ちが指されていた頃、4枚落ちに対して四間飛車穴熊にして勝っている人がいた。リーグ戦の1勝をほしい、という状況でなら、そういうのもアリだと思う。
……上手の先輩はかなり怒りながら指してたけど(笑)。

作成日:2005.07.17 
駒落ち

相振り革命 3

相振り革命 3
著者 :杉本 昌隆
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2005-05-01
価格 :¥200(2024/09/01 09:43時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

前2冊の『相振り革命』『新相振り革命』が非常に好評だった著者の相振り解説本第3弾。
最近、相振り飛車が流行しているので、そういう意味でもタイムリーな本だ。

内容は△3三角戦法の周辺がほとんど。矢倉に組む、組ませないというかけひきである。完全に相振りの主流は矢倉と美濃になった感がある。もう金無双はほとんどない(実際にそういうわけではないことは本書を読めば判る)。
端歩をどうすべきかとか囲いの強弱といった「知りたい話題」や、相振り阻止の▲8六角、糸谷流などの奨励会員の得意戦法まで、かなりいろいろ網羅されている。
その代わり、基本的な相振りの知識についてはほとんど語られていない。まず前2冊で基礎を固めて、有段者が応用編として本書を読む、といった体裁になっている。

非常に濃密な内容で、理解するのに多少時間がかかるかもしれない。白砂の場合は理解というよりは古い感覚を取っ払うのに苦労させられた(笑)。
しかし、本書を読めば最新の相振り感覚が身につくことは間違いない。有段者の相振り党は絶対に買い。特に毎コミは足が速い(すぐ品切れ絶版になる)から、読まなくてもいいから手に入れておくほうがいいと思う。
逆に初段クラスまでであれば、本書に書いてあることを真似するより、金無双三間飛車からガンガン攻めていった方がいいだろう。そうやって攻め勝ったり切らされて負けたりして、体で「相振りの距離感」を覚える方が先だ。

作成日:2005.07.17 
相振り飛車

手筋の達人 2

手筋の達人 2 (MYCOM将棋文庫SP)
著者 :武者野 勝巳
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2005-06-01
価格 :¥529(2024/09/01 06:56時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

昔に出版された『感動! 手筋術(振り飛車編)』『感動! 手筋術(居飛車編)』を合体したもの。前回の矢倉編に続いて、今度は居飛車振り飛車対抗形の手筋を紹介している。
ほんの半年前に『感動! 手筋術(振り飛車編)』を600円で買った白砂の立場は一体……(泣)。

内容は入門的なものからかなり高度なものまでいろいろ。前著と同じく、題材が古いので多少の違和感はあるかもしれない。ただ、基本的な手筋の「構造」というのはどんな形でも通用するものなので、手筋を解説するという目的でならこれでも十分だろう。
有段であれば常識という手筋も多い(というかほとんど)だろうから、そういう人は立ち読みでも十分。初段までの人なら、一度目を通して「目を養う」価値はあると思う。

作成日:2005.07.17 
手筋

すぐに使える将棋の手筋 上

すぐに使える将棋の手筋 上 (週将ブックス)
著者 :週刊将棋
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2005-06-01
価格 :¥200(2024/08/31 18:31時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

駒別に手筋を紹介する本。週刊将棋に連載されていた記事を編集しなおしたものだ。
連載時には(図略)が多かったので、図面が入っただけでもありがたい(笑)。

内容は意外と高度で、基礎的な部分は『羽生の法則』などに任せて応用に徹したということなのだろう。「よく見る手筋」というよりは、「意外な手筋」を集めた感じがする。そのため、白砂くらいの棋力でも十分に面白く読める。もちろん、話のマクラとして簡単な(すぐに気づきそうな)手順のものも紹介しているので、級位者でも安心して読めるだろう。
とりあえず上巻ということで、歩香桂銀の手筋を解説。下巻は金角飛玉ということか。

今までの毎コミ手筋本というと「1項目見開き2ページ」というのが通例だったのだが、本書では「1項目4ページ(見開き2つ分)」となっている。正直言ってはじめはとまどったのだが(<なぜ?)、読み進めていくうち、個々の解説にはこれくらいのボリュームがあっても問題はない。むしろこれくらいの方がいいなぁ……と180度印象が変わってしまった(笑)。
実戦的な手筋を満載する毎コミらしい本だ。

作成日:2005.07.17 
手筋
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