羽生善治の入魂の一手100 前人未到の七冠獲得へ
『羽生善治の強襲の一手100―新人王戦から名人戦・竜王戦勝利へ』と同じく、羽生の実戦譜から次の一手を出題するという形式の本。前出書と同じく、やはり問題というよりは読みもの・記録ものに近い。
『羽生善治の強襲の一手100―新人王戦から名人戦・竜王戦勝利へ』と同じく、羽生の実戦譜から次の一手を出題するという形式の本。前出書と同じく、やはり問題というよりは読みもの・記録ものに近い。
「<終盤の魔術師>森 雞二九段が羽生マジックの決め技100を次の一手形式で出題解説」ということなのだが、あまりそんな感じはしない。むしろ羽生の今までの歩みをまとめた、という趣の方が強い。
内容は題名のとおり次の一手が100問。難易度はまちまちで、解説もあまり詳しいとはいえない(そもそもあまりスペースがないので)。
やはり、100問解いて強くなろう! ではなく、100問ながめて羽生の足跡をたどろう、という本だ。
もちろんそれで悪いというわけではないのだけれど。いろいろな意味で損をしているような気がする。
元々は対藤井システム用に開発した戦法を、総合的な振り飛車退治戦法に昇華させたのがこの「引き角戦法」である。
角道を開けないことで、振り飛車からの角筋の脅威から逃れている。また、変態戦法の「平美濃返し」のような感じで玉を囲っていくので、持久戦にも対応できる。
内容は、まず通常の四間飛車について解説し、続いて中飛車、向かい飛車と続く。朝日オープンで登場した藤井-羽生戦は向かい飛車で、本書にもその解説が一部載っている。
「話としては面白い」というのが一読しての感想で(笑)、冒頭羽生の言葉ではないが、飛車先不突きがあるなら角道不突きがあったっていいじゃないか、というのはまぁわからなくもない。烏指し戦法と違うのは現代には穴熊を代表とする「玉を固める」という思想があることで、これにより単純な奇襲戦法から立派な変態戦法に昇格したと言ってもいい。
ユニークな戦法だと思うが、「玉を固める発展性があるから有利」とか、意外と地味な部分が多いので、初段くらいの棋力では指しこなすのは難しいような気がする。高段者はやる方もやられる方も必須。一度は目を通しておくべきだ。
中飛車で初手から▲5六歩と突いていく、変態チックな面白戦法の解説書である。正直に告白すると著者を知らなかった(<すいませんすいません)のだが、なかなか面白く読めた。
新ゴキゲン中飛車も初手が▲5六歩だが、こちらのワンパク中飛車は早い段階で▲7七角と上がり、ゴキゲン中飛車というよりはヒラメ戦法の味で指していく形である。
簡単によくなる(ホントか?)角交換型から始まって、左美濃、居飛車穴熊といった持久戦、ナナメ棒銀などの急戦、果ては相振り飛車までと、一通りの形は揃っていそうだ。
ただし、かなり強引な……と言って悪ければ豪快な手順が多いので、実際に本書の手順で指せるのかというと怪しいところもある。この辺りは「解説用」ということで、戦法の気分を味わうにとどめるへきだろう。
初級者は中飛車が大好きで、実際これで結構勝ててしまうのだから面白い。早道は一つの戦法を集中的に指すことで、ぜひとも使ってほしい変態戦法だ。
上級者は逆に、後手を持ってつぶされない指し方を研究してみよう。
「光速の寄せ」で名を馳せる谷川の寄せ解説本。もともと谷川の著書は一定以上のクオリティを持っているが、本書は格別。殿堂入りにしても文句ない名シリーズである。
5巻セットの1巻目は居飛車から見た振り飛車退治の本。基礎知識編で美濃囲いと穴熊囲いの特徴を学び、手筋編で崩し方を、即詰み編で詰み手筋を次の一手形式で解説する。
非常に内容が濃く、実戦で生じやすい形がよく出てくる。本書の手筋を知っているかいないかだけでかなり勝率が違ってくるだろう。しっかりと体系化された良書だと思う。