新・対局日誌 第2集 名人のふるえ
「将棋マガジン」に連載されていた「対局日誌」を書籍化したもの。第2集は昭和62年度。中川・先崎が奨励会から上がってきた年である。もう少し古い人には、芹沢逝去の年、と言えばいいかな。古い。
対局日誌の常で、筆者である河口老師の「おじさん説教」がとてもウザい。それがなくて実戦から取った手筋集、と考えれば非常にいい本である。なので、生暖かい目で見ながら読むべき本だろう。
どうでもいい昔話をひとつ。
P.57から、米長-泉(十段←竜王戦の前身棋戦)戦を取り上げている。終盤、米長が絵に描いたような手筋を喰らって逆転負けするのだが、そのとき、米長はこんなことを言ったという。
「いや、(その手筋を喰らった局面で)私の玉は寄らないと思っていたんだ」
ここから、河口老師は、米長は人と考えることが違う、なんなとんでもないことを考えていて、今回はたまたまそれが裏目に出ただけだなどといろいろと書いているわけだが、実は、これについて、「盤側にへばりついている(開始から投了までずーっと盤側で観戦している人、という意味。普通はちょこちょこ見に行く程度なものらしい)」観戦記者の三宅正蔵が、近代将棋の付録で真相を語っていた。
……で、それは実は……とご紹介できればいいのだが、残念ながらすっかり忘れてしまった。ごめん。
興味のある人は、昭和62年頃の近代将棋の付録冊子を調べてみると載っているはずだ。当時、読んで「なるほど」と思った記憶がある。
もうひとつどうでもいい話をすると、P.68の▲1五角は△1五角の誤植だと思う。
ホントにどうでもいい話で申し訳ない。