東海の鬼

作成日:2001.07.20
東海の鬼 花村元司伝
著者 :鈴木 啓志
出版社:マイナビ
出版日:2012-02-14
価格 :¥2,174(2024/08/31 16:24時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

花村9段追悼記念として出版された本である。
随筆と実戦譜解説で綴られており、特に実戦譜は花村流の面目躍如で十分に楽しめる。勉強として読むのではなく、楽しむために読んでほしい。

個人的に一番気に入ったのは米長の書いた文章。

花村九段は下戸で、酒は全然飲めないらしい。ところが珍しく呑んで酔っ払って、みんなが麻雀をしている横で寝入ってしまった。
ところが。
しばらくすると突如「キョウコ、イクヨ」と叫んだらしいのだ。
寝言である。ちなみに、京子とは奥さんの名前。一体どんな夢を見ていたんだか……。
ところがところが、麻雀を打っていた面々、後ろで見ていた米長らは花村九段の体内、というか体外の異変に気づく。なんと、その寝言と共に「夢精」をしたというのだ。時に花村50歳。
「50にしてこの若さ。あの元気な大先生がこんなに早く逝く(白砂注 シャレか?)とは私にはとても信じられないことであった」
と、米長の文章は結ばれている。