奇襲、というよりはなんだか『定跡外伝』に近い内容で、有段者からすると有名な指し方が多い。それでも、初めて見る人にとってはなかなか面白い手順だと思う。
個人的な話になるが、本書で紹介されている偽装棒銀(2六飛の形から銀が出て行く戦法)については、少し形は違うが後輩の塚本と少し研究したことがある。なかなかに優秀な戦法だと思われるが、実際に指すのは「勇気」がいるのではないだろうか。
また、先手▲6五角戦法は有名なハメ手で、端歩を突いていることにより横歩取り△4五角戦法をより強力にできるというものである。ただ、これは大元の横歩取りの変化を知らないと飛び込めないので、初段くらいではおそらく指しこなせないだろう。
創元社らしい「変化をなるべく書かない」装丁の中、うまく工夫していると思う。同社の本の中では、どちらかというと上のレベル向けに書かれた本である。