「羽生ブランド」の一冊、という感じがした。正直なところ。
羽生の将棋に対する考え方というのは、意外と目にする機会が多いように思う。おおげさな表現をすると、その内容がそのまま載っている。予想通りの一冊、である。
その「カタい」作りから、将棋の本と言うよりはビジネス書として位置づけた方がいいと思った。まぁ、このシリーズの既刊内容を見ればそんな持って回った言い方をしなくてもわかる当たり前の話ではあるのだが(笑)。ちなみに、既刊については裏表紙の折り返しに出てます。
内容は、勝負に関する事項──表題の「大局観」であるとか、精神力、運、セオリーなど──について羽生が自身の視点で語る、というもの。ざーーーっくり極端な約し方をしてしまうと、精神力って大事だよね、便利なものを過信しちゃダメだよね、といった感じの、まぁ典型的な「非論理賛美(白砂の造語です)」である。
誤解のないように言っておくと、羽生は別に論理が大事ではない、精神力がすべてであるといっているわけではない。ここは大事なところなのでハッキリ言っておく。
ただ、これまたありがちな話なのだが、
- 論理は大事
- 論理がすべてではない
- 非論理的なものは大事
- 非論理なものがすべてではない
という4つの面があったとして、だいたいにおいてこういう本で強調されるのは2と3である(笑)。やっぱりその方がウケがいいんだろうか。
場所によってはそれがものすごく強調されすぎたところもあったので、そういう点でも「これホントに全部羽生が書いたのかなぁ……」と思ってしまった。