詰めろ入門、とあるが、要するに必死の本。また、30ページほどだが詰め将棋も載っている。
「おとなのための徹底的終盤入門書!」と折り返しに煽り文句が入っているが、入門にしては実は結構難しい。最初は簡単なのだが、後半に進むにしたがってどんどん難易度や読む手数が上がっていく。「詰めろの一手を考えてください→15手」とか言われたらそりゃあ萎えるよね(笑)。まぁ、長く使えるという意味では一冊のコストパフォーマンスは高いと思うので、入門のつもりで買った人はあせらず読んでほしい。
詰めろを探す、というアプローチは斬新だなと思った。プロの将棋でも、2手開いているから詰めろの連続で押し切る、などという展開は珍しくないが、初心者はまずその詰めろを探すのが一苦労だ。その指針の一つにはなるだろう。
問題点として、本書の場合、実は詰めろと必死の境界線が凄くあいまいで、詰めろを扱っているのに必死問題だったりしている。それだったら、詰めろのかけ方は詰めろの章だけで独立させて、必死問題は必死問題の章に移したほうが分かりがいいと思う。詰めろの解説が90ページあるのに必死の解説が50ページしかないので、ちょっとバランスがおかしい。
そういう細かい問題点はあるものの、なかなかの良書である。
表紙のイラストがちょっと持ち歩きを躊躇させるが、2段くらいまでの人であれば十分実用に耐えうる。また、4段くらいまでの人も、タイムトライアルのつもりで挑戦してほしい。白砂もやってみたが、結構詰まった問題もあった。なかなか骨っぽい本だ。