「ガイド」と聞くと、もう中年オヤヂの白砂は「黄色本」を連想してしまうのだが(笑)、まさにそんな感じの横歩取り8五飛戦法の解説書。
内容は
- 先手中住まい
- 8五飛戦法に対して▲5八玉とする、かなりクラシックな形。それこそ8五飛戦法の黎明期からある形である。ただし、古き皮にもいろいろな新酒が注がれているので、古くて新しい形が楽しめる。
- 新山崎流
- 居玉のまま▲4八銀▲3七桂とする新山崎流。大げさではなく8五飛戦法が絶滅の危機に瀕するほどの実に論理的に構築された形なのだが、今では8五飛側が様々な対策を打ち出している。そのあたりを中心に。
- △5二玉型
- 2012.2現在で最もホットな8五飛戦法の形。まぁ言ってしまえば「目先を変えた手」ではあるのだが、それゆえに微妙な形で△4一玉型では成立しない指し手が成立したりと、おそらくプロ棋士自身が楽しんで鉱脈を探している形である。そういう最新系なので、書き換わる可能性は十二分にある。
- △8四飛型
- 8五飛戦法が指されたことで、旧式(?)の8四飛空中戦(内藤棋聖の十八番であった。ああ懐かしい。というか白砂もさすがにリアルタイムでは知らない(笑))がもう一度クローズアップされた。「8五飛戦法で培った手筋がこっちにも使えんじゃね?」というわけである。なので、それはそれでそこそこ指されている形である。
といったところ。
また、最後に「横歩取り詰将棋」として、8五飛戦法の囲いである中原囲いを詰ます実戦詰将棋が8題載っている。
この戦形を指しているんであれば、詰将棋アレルギーの人もぜひ「見て」ほしい。解答を見てしまっても構わない。知っているのと知らないのでは大違いである。
広い層に薦められる、とても「カタく」まとまっている良書だと思う。