意外とB級戦法の本というのは少ないものだが、本書はB級以前の、まさに「奇襲戦法」を題材にしている。
なにしろラインナップが、
- 原始中飛車
- 端角中飛車
- 石田流
- 鬼殺し
- 急戦向かい飛車
- 強引向かい飛車
- 阪田流向かい飛車
- 鬼六流どっかん飛車
- 角頭歩
- パックマン
である。なんだかとても懐かしい感じがした(笑)。
基本的には、最初に奇襲成功のパターンを紹介し、そのあとで奇襲対策を紹介している。ものすごく大雑把に言ってしまうと、『超急戦!!殺しのテクニック』のような作りである。
図面をふんだんに使っているのでとても読みやすいが、ページ数の割に変化が薄い気がするのはそのせいなのだろうか。正直なところ、「実戦で使えるか?」と疑問に思ってしまった。本気で変化を書こうと思えば3冊分くらいにはなる気がするので、これだけいろいろな奇襲戦法を紹介しているのであれば仕方がないところだろうか。
最近では、角交換四間飛車とかゴキゲン中飛車とか、プロの将棋が変態戦法化している感すらある。また、ネットの普及や棋書の充実により、アマチュアでもプロはだしの本格的な序盤を指すようになっている。そのせいか、本書の戦法達を久しぶりに目にして、本当に本当に懐かしさを感じた。有段者の方、立ち読みでもいいから本書を手に取ってみてほしい。
初級者の方は、本書を読んでみて、一度指してみるのもいいと思う。こういうのは将棋ソフト相手よりは対人の方が有効なので、ネット将棋などで。道場などに行くと嫌な顔をされるかもしれないですしね(笑)。いや、それ以前に、いまだにこういう戦法一本の御仁がいっぱいいるかもしれないな(笑)。