加藤・谷川・羽生・渡辺・藤井という「中学生の時にプロになった棋士」にスポットを当て、人物像や経歴などを紹介する本。以前、瀬川がプロ棋士になった際にもそういう便乗本がいろいろ出たが、藤井フィーバー(あー表現がおっさんだなー)に当て込んでそんな意図で作られた本の一つなんだろうか。
ただ、書いているのが大川ということもあってか、中身は至極まともな作りになっている。棋譜や図面をほとんど出さず、逆に例えば加藤の奇行エピソードなども極力触れずに、純粋に棋士としての凄さを紹介している。これは好感が持てた。また、プロ棋士になるまでの行程や永世資格の条件、過去のタイトル戦の記録などもうまくまとめてあって、将棋を知らない大人が「プロになるのは大変なんだ」「すごい羽生が○連勝してる」など、データからも感心してもらえるようになっている。
唯一、どうしようもないのだが残念なところと言えば、発行が2017年10月だったことか。羽生の紹介ページで「あと1期で永世竜王だ」と触れられているが、これが永世7冠を持っている、あるいはもっと進んで国民栄誉賞まで話が及んでいれば、もっとインパクトが強かったはずだ。まぁ10月でももう藤井ブームも終わってる感があったと思うのでそれでも遅かったとは思うが、羽生の伝説、それも一番大きな伝説を記すことができるのとできないのとでは大きな違いがあるだろう。ホントにしょうがない話だとどうでもいいことではあるのだが。
藤井を入口にしてプロ棋士、あるいは将棋そのものに興味を持ってもらうためにはちょうどいい一冊だと思う。「指さない将棋ファン」なら持っていても損はない。個人的には「将棋連盟が棋譜を保存するようになったのは加藤が中学生プロになったのがキッカケ」というのが知らなかったので驚きだった。