東大将棋四間飛車道場シリーズ第15巻は藤井システムvs急戦。
▲5七銀と上がった居飛車側が、穴熊に囲いに行くのではなく、▲3五歩、あるいは▲4六銀~▲3五歩と仕掛ける形を解説している。竜王戦の羽生-森内戦で出てきた形、と言えば、判る人も多いのだろうか?
こういう急戦は当然考えられてもいいところで、記憶では十年位前の『将棋世界』に武者野(だったと思う)が書いていた記事を読んだ記憶がある。その当時はまだ藤井システムも今ほど市民権がなく、「山田道美だったらこうやって急戦で潰しただろう」みたいな文章があったように思う。まぁ、それは置いておくとしても、藤井システムの異様な陣形を見れば、一目仕掛けたくなるところだろう。
振り飛車側にもいろいろな「寝技」の選択肢はあり簡単ではないが、初段くらいのシステム党相手になら十分に通用する急戦策ではないだろうか。
類書があるかと思っていたが、意外と多くなかった。
『島ノート』には急戦は1つしか載っていないし、『四間飛車の急所』も△6二玉型の急戦は載っていない。調べたところ、『最前線物語』に1章数ページ分と、『振り飛車ワールド』の千葉講座にあっただけだった。
これを考えれば、システム党も手元に置いて損はない本だと思う。
それぞれの急戦策は関連しているようで独立している部分も多いので、要は1冊に3本の急戦策が載っている本と考えればいい。それぞれの変化は多くてもタカが知れているので、本シリーズの「クソ編集」でも十分読みこなせる。
シリーズには珍しく、初段くらいの読者にも薦められる本だ。