振り飛車穴熊戦法 軽快にバランスよく攻める

作成日:2014.06.21
振り飛車穴熊戦法: 軽快にバランスよく攻める (将棋必勝シリーズ)
著者 :福崎 文吾
出版社:創元社
出版日:2002-11-01
価格 :¥561(2024/09/01 14:20時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

振り飛車穴熊全般について書かれている本。
序盤の駒組み、中盤での捌き方、終盤のテクニックなど、一通り紹介されている。しかし、四間飛車・三間飛車・中飛車(向かい飛車は序盤のみ)の全てを解説しているため、それぞれの解説はどうしても薄くなってしまっている。また、それぞれの振り飛車について序盤~中盤の解説をする、というのではなく、序盤についてそれぞれ、中盤についてそれぞれ、となっているため、少し散漫な印象も受ける。

と、あまりよくない書き方をするとこういう感じになるのだが、創元社のコンセプト(?)である「興味を持ってもらうためにカタログ的にいい部分を説明する」を考えると、そのコンセプトに沿ってうまくまとめているとも言える。前述の解説方法についても、序盤はこんな感じでやっていきます、中盤はこんな感じです、と、ざっくり雰囲気だけを紹介したいのであれば手法としては「アリ」だろう。
それに、穴熊特有の豪快な手順が多いので、そういう意味でも「こりゃすごいや、指してみよう」と思わせる効果はあるだろう。

細かい注文をつけると、序盤編にはあった欄外のキャプション……と言っていいのかよく判らないがとりあえずこう称する。マンガ雑誌で言う「柱」の部分に、黒で判りやすく題名が書かれているのだ。これが途中からなくなっている。そのため、ページを読んでいるといきなり再度1図から始まってしまっており、少し混乱する。本書はいろんな戦形を解説しているので、これがなかなかよく機能していた。なのでなくなると結構読みづらいのだ。

個人的には、最終章の「終盤のテクニック」がヒットだった。これの最終問題は穴熊の特徴をよく表していると思う。

かなり古い本なので、今更感はあると思うが、これから穴熊を指してみようという初級者にはいい本だと思う。創元社の特徴がいい方向に転がった良書だ。