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超急戦横歩取り

超急戦横歩取り (将棋最強ブックス)
著者 :高橋 道雄
出版社:創元社
出版日:2011-08-19
価格 :¥858(2024/09/01 09:52時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

横歩取りというか横歩取らせというか……後手番から見た横歩取りの本。すべて先後が逆になっている。なので、▲6五角戦法は△4五角戦法だし▲7七桂戦法は△3三桂戦法のことである。目次を見て「なんでここで7七桂戦法が?」と思ってしまったのはナイショだ(笑)。

内容は、横歩取りの基本を押さえる、というより、メインストリームではないハメ手定跡っぽいものを抜き出して解説している感じである。内容も『定跡外伝2』とかぶっている部分も多い。
ただ、創元社らしい「図面大きくいっぱい」なので、横歩取り初心者でも面白く読めると思う。相横歩△2七角戦法などもあるので、3段くらいまででも十分に楽しめるだろう。

一方、△3三桂戦法などについては、奇襲一発でハイおしまい、みたいになっている。△3三桂戦法は相振りっぽくなる地味ーな戦法でもあるので、本書だけで指しこなすのは難しいかもしれない。

個人的には、相横歩の▲4六角の変化を懐かしく読んだ。
白砂が大学生の頃だったと思うが、この手は青野が指した新手で、この頃『近代将棋』誌の観戦記は盛り上がっていたものだ。普通▲8二歩△同銀▲5五角と打つところを、▲4六角△8二角▲同角成△同銀▲5五角とすれば1歩省略できる。メカニズムを一言で説明するとそういうことなのだが、この論理的な構造はすごいと思った。で、じゃあ後手は△8二角以外に応手がないのか、誌上ではいろんな変化が飛び交っていた。確か「横歩取りは生きている」の連載もあったように記憶してるんだけどどうだったかなぁ……。白砂が定跡ヲタになったのはこの体験もあったのかもしれない。

横歩取りの「面白さ」をうまく抜き出した、創元社の仕事らしい良書と思う。

作成日:2011.09.03 
横歩取り

マンガ版 将棋入門

マンガ版 将棋入門:はじめてでもすぐ指せるようになる!
著者 :藤井ひろし
出版社:創元社
出版日:2010-07-21
価格 :¥1,100(2024/09/01 14:19時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

タイトル通り、マンガで書かれた入門書。
駒の動かし方からルール、「詰み」の概念、手筋、玉の囲いなど、マンガなので分量は限られているが、要領よくまとめられている。

以前から「子供用に漢字にルビを振っていながら子供にわからない単語を使うな」という話をしているが、マンガにすることでその制限をかなり緩くできるのはいい点だ。
例えば、金の特性を説明する際、「金は斜め下が弱点。なので、一番下にいる方がいい。一流の剣客がカベを背にして背後からの攻撃を防ぐのと同じ」というような説明をしている。「一流の剣客」だの「背後」だの言われて子供が判るとは思えないが、カベを背にして刀を持って立っている絵を見せれば何を言わんとしているのかは子供でも判るはずだ。ついでに言うと、その話からつなげて「玉の守りも背後と側面のカベを利用しよう。だから玉は端の方に囲おう」と持っていったのはうまいと思った。そのときに▲6八銀▲4八銀の「無敵囲い」を引き合いに出して、「でもこれだと前から左右から攻められるからよくない」という解説をしたのもよい。

全体的に、マンガという「かけあい」で話が進んでいくため、書いてある内容は理解しやすい。
ただ、説明が非常に「部分図的」なので、ではまったくの初心者がどうやって1局指そうか、という話になったときには本書は全く使えない。限られた紙数で説明をするのは難しいというのはよく判っているつもりだが、その辺りはもう少し工夫してほしかった。たとえば6ページくらいで、序盤はこんなことを、中盤はこんなことを……という説明をはさむだけで、だいぶ構成が「しまった」と思うのだ。

オールマンガで説明(棋譜すら出てこない(←棋譜という存在の説明はちゃんとある))している本というのはそれだけで貴重だし、慣れた作家さん(藤井ひろしという作家はこういう入門書系のマンガを数多く出している)だけに非常にリーダビリティの高い本に仕上がっている。
低年齢の、それこそ小学1年生でも読める将棋入門、という点ではとてもよい本だと思う。
ちなみに、42ページ問2の4二飛は龍が正しい。飛車だと、▲3一馬を△同玉と取られて詰まない。

作成日:2011.08.31 
入門

一人で学べる! 小学生のための将棋入門

一人で学べる!小学生のための将棋入門: 基本をしっかり身につけて、思いのままに戦おう!
著者 :佐藤 康光
出版社:日本文芸社
出版日:2009-05-01
価格 :¥1,045(2024/09/01 14:19時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「著者:佐藤康光」となってはいるが、まぁ間違いなくゴーストだと思う入門書。一応、佐藤とおぼしき先生役のイラストがあったり、実戦譜で久保を棒銀で吹っ飛ばす棋譜を使っていたりと、それなりに「佐藤康光」を前面に出してはいる(笑)。

駒の動かし方から各駒の特徴、序盤中盤終盤での戦い方、戦法解説、詰め将棋など、基本的なことはこの一冊でなんとかなると思う。
特に戦法解説については、相掛かり、矢倉、角換わり棒銀、角換わり腰掛け銀、筋違い角、横歩取り、四間飛車、居飛車穴熊、三間飛車、ツノ銀中飛車vs玉頭位取り、メリケン流向かい飛車、升田式石田流、ゴキゲン中飛車、相振り飛車と、これだけラインナップが揃っている。もちろん見開きで駒組みまでという簡単なものではあるが、指し始めの案内としてはこの程度で十分だろう。むしろ広く網羅してあることで、どんなタイプの子供にも対応しているとも言える。やはり「形」を知りいろいろ指してみるというのも重要だろうから。

また、最後の章の格言集も、序中終盤をそれぞれ5段階に分け計15段階とし、どのくらいの局面で使うべき格言かを示しているのもいい。
たとえば、「玉の守りは金銀3枚」は序盤3・4・5、「駒損はするな」は序盤3・4・5と中盤1・2・3、「攻めの拠点を解消するな」は終盤2・3・4・5といった具合である。「駒損はするな」は序中盤だけの格言であるとか、序中盤くらいでは拠点の解消よりは駒得を重んじるから「攻めの拠点を解消するな」の格言は使わない、とか、そういう「使いどころ」が判るようになっている。細かい点ながら、実用性は高いのではないかと思う。

欠点としては、170ページくらいと薄い本なのでどうしても個々の内容は薄くなっていること。また、これまた細かいことを言えば、本文の説明に一切太字や強調点がない。そのため、重要なポイントというのがやや掴みにくいかもしれないな……という気がした。ある程度はイラストで補完したり文章で強調したりはしているのだが、子供にそれが伝わるかは難しい。太字や大文字を使うくらいはしてもよかったのではないだろうか。まぁ、それでちゃんと強調できるか? と問われると難しい問題ではあるんだけども……。

薄い本ではあるが、逆に言えばさらっと全体像を掴むには適している本だと思う。
前述の通り、少し文意から内容を汲み取る作業があるので、小学校高学年くらいからが適していると思われる。

作成日:2011.08.31 
入門

小学生将棋名人戦公式ガイドブック―日本将棋連盟公認

小学生将棋名人戦公式ガイドブック: 日本将棋連盟公認
著者 :
出版社:小学館
出版日:2008-03-01
価格 :¥1,000(2024/09/01 14:19時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

小学生名人戦というのがある。年1回、NHKで放送しているので見たことがある人も多いはずだ。また、谷川8段と羽生少年・森内少年が一緒に映っている映像や写真を見た方もいるだろう(本書にも載っている)。
その「小学生名人戦に出よう!」というコンセプトで作られたのが本書である。発行は当然(?)スポンサーの小学館。

当時の最新定跡(石田流・ゴキゲン中飛車・相掛かり3六銀戦法・矢倉3七銀戦法)の解説や次の一手などもあるが、メインはあくまでも「小学生名人戦に出よう!」。なので、羽生や渡辺のインタビューやプロ棋士へのアンケート、大会当日の様子、小学生名人戦の棋譜解説などが見所である。
小学生名人になった、あるいはいいところまで行った子供の中には、プロになっている人がかなりいる(上記リンクから歴代優勝者も見られます)。よって、大会に出ようと思う子供はある程度プロへの憧れもあるわけで、その需要をうまく掬い上げた本だと思った。

いくつか気になったプロ棋士の言葉を載せておく。
一つでも面白いと思ったら、騙されたと思って本書を手に取ってほしい。

小学生名人戦に出ようと思っている子供たちにメッセージを。
勝負だけの楽しさは、おそらく将棋の魅力の半分もない。勝負とは違った面白さに気づいてくれると嬉しい(羽生)←羽生らしいコメントだと思う。

コラムでの一言
小学生の皆さんには「本など読んでないで、指して、指して、指しまくれ!」とアドバイスしたい(田村)←これは本だ(笑)。

人とは違った勉強法について
棋譜を書き写していました(森下)←見えるようだ(笑)。

「小学生将棋名人戦」に勝つための勉強法は?
得意戦法を持つこと(武市)←さすが筋違い角の権威。

同上
詰め将棋を盤に並べて、ただし動かさずに解く(伊藤明日香)←お父様の詰将棋は上達の妨げになると思います(笑)。

大会で戦うときの心構え
詰将棋の本を一冊持って行き、対局前に1問1秒の速さで解き(注:常日頃やっている本なので、当然解答は頭に入っている、ということだと思う)、自分は強いと思い込む(室田伊緒)←いおたんカワイイ。

「小学生将棋名人戦」を戦うみんなへプロ棋士からのメッセージ
普段の練習の成果を発揮する絶好の機会です。皆さんが実力を100%出されることを願っています(谷川)←さすが人格者。

作成日:2011.08.31 
その他の分類

こども将棋 囲いの破り方入門―どんどん強くなる

こども将棋囲いの破り方入門: どんどん強くなる
著者 :
出版社:池田書店
出版日:1996-09-01
価格 :¥1,219(2024/09/01 14:19時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

全編ルビつきの、子供向けの解説本。矢倉・美濃・舟囲い・穴熊の崩し方に加え、少しではあるが中住まいや金無双の崩し方も解説している。

基本的なことを書いているだけなので、初段くらいの人ならばきっとどこかで見たことがある変化ばかりであろうが、子供が自分で勉強するにはちょうどいい難易度だと思う。
カタログ的にうまくまとめてある。
大人であっても、級位者の人であれば一読して損はないと思う。子供向けなので若干くどいと思うかもしれないが、逆に言うとそれくらいわかりやすく記述してあるわけで、普通の(?)囲い崩しの本を読むよりは理解が早いかもしれない。

駒の動かし方を覚え、将棋を指し始めて少し経った子供に読ませるにはピッタリの良書だ。
ただ、古い本なので、手に入りにくいと思う。それが残念なところだ。

作成日:2011.08.31 
入門
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