root

羽生の将棋実戦〈詰め&必死〉200 羽生マジックに学ぶ終盤の手筋200題

羽生の将棋実戦詰め&必死200: 羽生マジックに学ぶ終盤の手筋200題
著者 :森 鶏二
出版社:日本文芸社
出版日:2004-03-01
価格 :¥300(2024/08/31 18:54時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

キーワードとなる単語が多すぎて題名を見ただけではどんな本だか判りにくいが、実戦で生じた詰みや必死を次の一手形式で出題する、という本。手筋、という言葉はない方がいいと思う。
手順は単純な一本道からかなり骨のある難解なものまで(量はおいといて)あるが、実戦ということでかなり盤がごちゃごちゃしている。単純な部分図より、それだけで難しくなっていると言えるだろう。まず状況を把握するのに時間がいる。
詰みと必死をいっしょくたにしてしまったのは評価したい。問題数が足らなかったからいっしょにしただけかもしれないが(笑)、即詰みと必死は密接に関連している。いっしょでもなんら問題はない。
前例があった気もするが、せっかくだから、詰みと必死の問題をバラバラに入れても面白かったかもしれない。それだけで、「詰みも必死もある」「詰みがある」「必死がある」「詰みも必死もあるが必死をかけると詰まされる」と選択肢が広がり、一気に有段者向けの問題となるだろう。「詰みの問題」と言われるから詰みを考え、「必死問題」と言われたから必死を読む、というのは、やはり実戦の読み方とは違う。
対象棋力は有段者ではないようなので、こんなことを言ってもなんなんだが。

前例があるタイプの本だし、買って読むほどのものかどうかは疑問だ。かといって立ち読みで済ますにはそこそこ骨がある。図書館で借りられるようならそれがベストだろう。

作成日:2004.04.06 
終盤・寄せ

振り飛車ワールド ’04 第2巻

振り飛車ワールド ’04 第2巻
著者 :毎日コミュニケーションズ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-03-01
価格 :¥247(2024/09/01 09:48時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

内容はこんな感じ。

  • インタビューは中原と中田功
  • 指定局面対局は居飛車穴熊vs藤井システム、▲3五歩からの急戦と藤井システムからの急戦
  • 石田流講座はvs左美濃
  • 千葉の講座は右4六銀戦法
  • その他いろいろ

個人的には、中田功のインタビュー部分だけでもこの本は買い。戦術的なものも人間的なものも、どちらの部分も読んでいて楽しめた。
指定局面対局は、四間飛車道場の15巻とほぼ同じ形。一応、最新の研究ということで、有段者は読んでおいて損はないだろう。しかし、この急戦が成立しているようなら、藤井システムはやばいんじゃないのか……? 千葉の講座も急戦だったし、もはや対穴熊だけを考えていればいい時代は終わったのかなぁ。

ここのところ、本シリーズの対象棋力が上を向いてきた気がする。今まではもう少し全方位的だったように思うのだが、気のせいだろうか。

作成日:2004.04.06 
振り飛車全般

羽生の法則 2 金銀の手筋

羽生の法則 Volume2
著者 :羽生 善治
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2004-04-01
価格 :¥217(2024/09/01 09:47時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

羽生の手筋本シリーズ第2弾。
今度は金銀にスポットが当てられている。これで玉金銀だったらコバケンになっていたところだ(笑)。
本の作りは、前回と同じく見開き。

白砂の評価を見ていただければ判るが、今回の本は前回よりもかなり簡単になっている。
例えば銀では、金のナナメ後ろから引っ掛ける筋だとか、△2四玉△1四歩△2三歩△3四歩の形で▲2二銀と打つ筋。金だったら△6七金に▲7九金と千日手で粘るとか、飛車打ちに金ではじくとか。もちろんある程度高級な(?)手筋も紹介しているが、基本はこのくらいの難易度の解説が続く。
初段の人が力をつけるために読むのではなく、初段になるために読む、という本だと思う。

歩の手筋の場合、数が多いということもあって、さらっと紹介するだけでも結構なボリュームになるし初段くらいの人でも「ためになる」のだが、金銀の手筋というのはさほど多くないので、どうしても内容が基本的なものになりがちだ。それが、同じ編集方針でありながら、本書が前書よりも対象棋力が低くなっている原因だろう。
もちろん、棋力の低い人を対象にしているからいい本ではない、ということではない。愛棋家全体の棋力の底上げも重要なことだ。本書はそれに十分貢献できる良書である。

もっとも、羽生には高段者向けの本を書いて欲しいなぁ……という欲求もある。
本書を「棋士・羽生善治」が書く意味は、棋書という観点で見ればほぼ100%ない。売上がよくなる(だろう)、という「羽生ブランド」としか思えない。
仕方がないのかもしれない。でも、ちょっとなぁ……と思ってしまう。

作成日:2004.04.05 
手筋

振り飛車破り超急戦ガイド

振り飛車破り超急戦ガイド (パワーアップシリーズ)
著者 :深浦 康市
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2004-03-01
価格 :¥401(2024/09/01 09:48時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「振り飛車破り」と名がついているが、全ての振り飛車に対応している本ではない。
ゴキゲン中飛車▲5八金右の超急戦と、対藤井システムに▲3五歩から▲4六銀と急戦で挑む形。それと、かなり古いが後手三間飛車に対する急戦の解説をしている。
こうやって文字にすると「随分とかたよった戦法に絞ったなぁ」という気になるが、しかし、これで振り飛車対策はほぼ万全という現実(笑)。今のプロの目が、いかに藤井システムとゴキゲン中飛車に集中しているかが判る。

本書の特徴は「終盤編」をつけたことです、というのが、本書のウリの一つになっている。
定跡書で「~にて先手よし」となっていても、そこから勝ち切れない人もたくさんいる。そこで、定跡書の終わりから実際に勝ちに持っていくまでの考え方や指し方を解説する、というものだ。
わざと意地悪い言い方をしてしまえば実戦譜をつけただけなのだが(笑)、こういう姿勢は評価していいと思う。高段者は自分で実戦譜を並べて会得するのだろうが、3段くらいまではなかなかそういうことはできない。棋譜の裏側、行間が読めないからだ。こうやって偉そうに言ってる白砂もそんなもん読めないんですけどね(笑)。
だから、仮に実戦譜に解説をつけただけのシロモノであったとしても、文章にして棋書という形で提供してくれるのはありがたいと思う。

本当は級位者にも読んで欲しいと思うが、さすがに採り上げた戦法が難しすぎる。強くは薦められない。そのため、☆1つ少なくしている。
また、本書の内容は東大将棋シリーズとかなりかぶる部分があるので、有段者はそちらを読んだ方がよりいいと思う。そのため、かなり評価を落としている。

作成日:2004.04.05 
振り飛車全般

東大将棋ブックス中飛車道場 第2巻 ゴキゲン中飛車本格急戦

中飛車道場 第2巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-03-01
価格 :¥278(2024/09/01 09:48時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

東大将棋ゴキゲン中飛車シリーズ第2弾。
第1巻は▲5八金右からの超急戦だったが、本書は▲4八銀から銀で攻めていく普通の(?)急戦形。『島ノート』に載った、飛車先を2五まで突かない急戦も紹介されている。

今後の予定との兼ね合いかもしれないし、変化の量のせいで仕方がなかったのだろうが、似ているようで微妙に違う攻め筋がたくさん出てくる。銀が出て行く場所が違ったり飛車先を保留しているだけなのだが、それだけで将棋はガラリと変わってしまう。その「ガラリと変わってしまう」という面白さをうまく出せれば、単なる解説書としてではなく棋書としての厚みも出ると思うのだが(『四間飛車の急所』のような感じだ)、まぁそれを本シリーズに求めるのはヤボというもので。
読む時には、そこらへんにも気を配って読むと、意外と楽しめるかもしれない。
編集の悪さにアタマが痛くなってくるかもしれないが(笑)。

研究したものがすぐ実戦に出る、というくらいプロはよってたかって研究し実戦で使っているので、本書の攻めも「どこかで見た感」が非常に強い。で、よく考えてみると週刊将棋だったり将棋世界で採り上げられていたものだったりして、そういう点では、個人的には新手感があまりなかった。
とはいえ、東大将棋ブックスは辞書事典としての機能が強いので、それらいろいろなところで紹介された記事がまとまっていればそれで十分だろう。

作成日:2004.04.05 
中飛車
広告