花村流実戦将棋
花村九段の書いた自戦記。
ファンだから買っただけで、そうでなければ単なる自戦記として読みもしないだろう。1976年の本である。題材も古い。
ちなみに、私はこれを帯広の古本屋で買った。新婚旅行の最中である。
その時は確かなんやかやで5,000円分くらいの古本を買ったと思う。ついでに言うと、その時に買った一番怪しい本は『幻のツチノコを探せ』である(爆)。
花村九段の書いた自戦記。
ファンだから買っただけで、そうでなければ単なる自戦記として読みもしないだろう。1976年の本である。題材も古い。
ちなみに、私はこれを帯広の古本屋で買った。新婚旅行の最中である。
その時は確かなんやかやで5,000円分くらいの古本を買ったと思う。ついでに言うと、その時に買った一番怪しい本は『幻のツチノコを探せ』である(爆)。
花村9段追悼記念として出版された本である。
随筆と実戦譜解説で綴られており、特に実戦譜は花村流の面目躍如で十分に楽しめる。勉強として読むのではなく、楽しむために読んでほしい。
個人的に一番気に入ったのは米長の書いた文章。
花村九段は下戸で、酒は全然飲めないらしい。ところが珍しく呑んで酔っ払って、みんなが麻雀をしている横で寝入ってしまった。
ところが。
しばらくすると突如「キョウコ、イクヨ」と叫んだらしいのだ。
寝言である。ちなみに、京子とは奥さんの名前。一体どんな夢を見ていたんだか……。
ところがところが、麻雀を打っていた面々、後ろで見ていた米長らは花村九段の体内、というか体外の異変に気づく。なんと、その寝言と共に「夢精」をしたというのだ。時に花村50歳。
「50にしてこの若さ。あの元気な大先生がこんなに早く逝く(白砂注 シャレか?)とは私にはとても信じられないことであった」
と、米長の文章は結ばれている。
森下8段の出した矢倉の実戦集。
なんで買ったんだろう……。
たぶん、花村9段の弟子、ということで、森下8段には注目していたのだろう。棋界通なら「花村の平手千局ぶつかり稽古」はよく知っているだろう。
内容はと言えば「実戦集」としか言いようがなく、自戦記が50局と棋譜がたーんと載っている。
これを並べて、それで急所をつかんで理解できる棋力の人には薦められる。もちろんそんなのは高段者に限られるだろうから、そのために評価はこうなっている。
実戦譜はこういうものだということは判っているのだが、級位者にも判りやすい実戦譜というものはないのかなぁと、本稿を書くにあたってちょっとだけ考えさせられた。
てっきり定跡書だと思っていたのだが、郷田の実戦譜を元に振り飛車を攻略する方法を解説するというものだった。なので「対振り飛車」ではなくてこちらに入れている。
実際のところ、実戦譜を元に振り飛車破りを解説するというのがどれくらい役に立つかは疑問だと思う。白砂自身が「本で将棋を覚えた」タイプだから仕方がないとも思うのだが、その辺がどうも判らない。
特に、郷田である。
まぁ、郷田だから実戦譜を見たいという要求もあるのだと思うが(そしてそれが発刊の理由だと思うのだが)、できればトッププロであれば理論的な定跡として振り飛車悪しを証明して欲しい。
「振り飛車悪し」は少々おおげさだが、本のコンセプトが振り飛車破りなのだから、それくらいはしてもいいんではないだろうか。
郷田の本、ということで期待したのと、そのギャップが大きいためにやや点が辛くなっているのかもしれないが。
佐藤自身の実戦から居飛車穴熊対藤井システムの将棋をピックアップし、振り飛車破りの奥義を伝授する本。
……というと聞こえはいいが、申しわけないが白砂には「売らんかなの本」にしか見えない。ホントに申しわけないが。
やっぱり、白砂は実戦譜集に対しての評価が低いんだと思う。それは否定しない。でも、「ここで▲7七桂としたのは疑問で、▲7七銀は少しおかしかった」と言われて、その後の変化がさらっと流されて、その疑問の後の指し手がえんえんと続くというのは納得できない。
いや、そういう本も必要だとは思う。しかし、わざわざ「康光流振り飛車破り」と、トッププロの名前を挙げておきながら実戦譜だけでお茶を濁すと言うのはなんだかイヤだ。もっとも、実戦譜集はトッププロの名が冠されていなければ誰も買わないだろうから、仕方がないのだが。
研究は若手、トッププロは実戦譜、というのはなんだか寂しい。せっかくトップにいるのだから、その研究を見せて欲しい。でもまぁ、研究は若手の方が熱心か……(笑)。