その他

新・対局日誌 第7集 七冠狂騒曲(上)

新・対局日誌 第7集
著者 :河口 俊彦
出版社:河出書房新社
出版日:2002-09-01
価格 :¥410(2024/08/31 20:17時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

もともと、この『対局日誌』という本はどう読んでいいのか判りにくい、という面がある。いや、判りにくいというと失礼な話で、要するにいろいろな読み方ができるということなのだが。
単純に考えれば、日々のプロ棋士の横顔、表に出ない素顔を見られるという本でもあるのだが、同時にプロ将棋のエッセンスをうまく散りばめているので、手筋集としても面白く読める。白砂がよくコラムで取り上げるのはそういう事情もあるからだが、というわけで、単純な分類分けができない珍しい棋書である。

今回の話は羽生が七冠を取れるかどうか……という辺りの話で、もう結末は判っているのだが(笑)谷川が最後にふんばって七冠は達成されなかった。しかし、その辺のことをいかにも著者らしい視点と語り口で綴っている。
これが嫌い、という人ももちろんいるだろうが、白砂はそんなに気にならない。年寄りの戯言部分は「はいはい」って感じで読み流している(笑)。

作成日:2002.09.30 
読みもの

将棋名人戦 第60期

第60期将棋名人戦―名人丸山忠久・挑戦者森内俊之
著者 :毎日新聞社
出版社:毎日新聞出版
出版日:2002-07-01
価格 :¥2,819(2024/08/31 20:33時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

なんか「小物同士の対決」っぽかった名人戦の(ファンの人ごめん)観戦記を集めたもの。特別に編まれたものではなく、新聞に載ったのをただ集めただけ(に見えるんだけど……違うのかな?)という構成は、個人的にはあまり好きになれない。観戦記時点では結論が出なかった形に新型が出るとか、いろいろ観戦記-出版までには間があるわけで、その間をまったく埋めない手抜きの構成はどうかと思う。
まぁ、竜王戦なんかもこの形式は踏襲しているようだが、むちゃくちゃ言っちゃえば、新聞に載っていてタダで読めていたものをかき集めただけで1,800円というのは詐欺だろー(笑)、とまで思ってしまうのだ。

将棋自体は、そこそこに面白かったと思う。
全体的に(第3局の大トン死を含めて)丸山名人に読み抜けが多かったような気がするが、当時随分と不調説が囁かれていたし仕方がないのかもしれない。それよりも包み込むような全体を細やかに読んでいる森内新名人を誉めるべきだろう。
ある程度定跡の最先端を行っていた部分はあるので、有段者はそこら辺を追いかけるのが楽しみになるかもしれない。図面は全体的に少ないので、できれば盤駒を出して並べていただきたい。

作成日:2002.07.15 
実戦譜集

新・対局日誌 第6集 大山伝説

新・対局日誌 第6集
著者 :河口 俊彦
出版社:河出書房新社
出版日:2002-06-01
価格 :¥817(2024/08/31 20:17時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『将棋世界』に連載されている「新・対局日誌」を1年間分まとめたものを出版するシリーズ。6冊目は大山名人がガンに倒れ、しかし復帰してプレーオフにまで進んでしまったという凄い年のものだ。サブタイトルの「大山伝説」はまさに伝説としか言いようがないだろう。おそらく、もうこんな棋士は出ないんじゃないのかなぁ。
A級順位戦最終戦、対谷川戦の▲6七金は永久に語り継がれる妙手だろう。プレーオフの対高橋戦もよかった。惜しくも負けてしまった将棋で、著者は「もう休め、の神様の配慮だったのかもしれない」と言っているが、大山はそんなこと思わなかったろうなー。少なくとも、もしそうなんだとしたら将棋の神様を恨んだだろう。そういう人だよねきっと(笑)。

ちなみに、この高橋-大山戦。『月下の棋士』で、主人公氷室将介vs大原名人(もう明らかに大山がモデルだぁね)の激戦として使用された。マンガ自体は荒唐無稽なものなのだが(笑)、おおげさではあるけど棋士の魅力を引き出した名シーンだと思う。機会があったら一度読んでみてほしい。
一度でいいけど(爆)。

作成日:2002.06.30 
読みもの

新・対局日誌 第5集 升田と革命児たち

新・対局日誌 第5集
著者 :河口 俊彦
出版社:河出書房新社
出版日:2002-04-01
価格 :¥914(2024/09/02 11:58時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

プロ棋士でもある著者がプロ棋士の日常風景を記していく人気の(?)シリーズ第5作。時代は平成2年から3年というから、今(2003.1)より12、3年前の話ということになる。それなのに読んでいて面白いのは、やはり題材のよさなのだろう。
プロ棋士の何気ない言動も楽しいし、取り上げられている将棋はどれも「なんかいい」将棋ばかりだ。読み物としても棋書としても楽しめる。本書はそんな稀有な本である。

個人的には、コラムでも取り上げた大山の▲6九銀が印象に残っている。こんな凄い将棋は他にないし、こんなドラマを作れる棋士は大山しかいないだろう。
その他にも、羽生が順位戦で叩きのめされる話(笑)や藤井の奨励会時代の話、石田-加藤戦の泥試合など、見所を挙げていったらキリがない。

肩に力を入れて読む本ではないが、できれば一気に読んで欲しい。臨場感が違ってくるだろうから。

作成日:2002.04.30 
読みもの

将棋倶楽部24万局集

将棋倶楽部24万局集: 棋譜データベース
著者 :久米 宏
出版社:ナイタイ出版
出版日:2002-03-01
価格 :¥6,480(2024/08/31 15:28時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

最近はネットで将棋を楽しむこともできるようになったし、棋泉や柿木のデータベースに棋譜をぶち込んで研究に生かす人も出てきた。まさに電脳研究(笑)の時代に突入したわけだが、そんな中、ネット将棋最大手の将棋倶楽部24が24万局という膨大なデータ集を発売した。

なんといっても本書(?)のウリは、アマ強豪の棋譜がたくさん収録されていることだ。プロの場合、指し手は相手の狙いを殺す方向に走りがちだし、少しの有利でも「有利」と考えたりするところがあるので微妙な機微はアマチュアにはわかりにくい。それよりは、同じアマチュアであるアマ強豪の棋譜の方が参考になるかもしれない。
また、当然のことながら変態戦法もたくさん載っている。定跡書の少ない形でも、数百局単位で棋譜を手に入れることができる。有段者ならこの素材だけで十分すぎるほどの研究ができるだろう。

おそらく図書館に行けば本は置いてある。コピーはやろうと思えばできるが、それは著作権法違反になるのでやらないように(←図書館職員より)。

作成日:2002.03.25 
実戦譜集
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