その他

秘伝 大道棋

蘇る秘伝大道棋
著者 :湯川 博士
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2001-04-01
価格 :¥2,542(2024/08/31 22:34時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

いわゆる普通の詰将棋とは別のルートで栄えた詰将棋のジャンルに「大道詰将棋」がある。道端で将棋盤を広げて、道行く人に詰将棋を出して解けたら商品をあげる、というものである。私は見たことがないが、10年くらい前に暴力団がらみの記事で紹介されていたのを目にしたことがある。

大道詰将棋は「手を出してもらう」という命題があるため、詰みそうで詰まない、でもちゃんと詰む問題であることが重要になってくる。もっと直接的な表現を使えば,客が引っかかってくれてしかも景品を渡す必要もない問題ということである。
様々な方法の中で一番うまくいったのは「中合」と「素抜き」であった。

 例えば、この詰将棋を解いてもらいたい。答えは▲2四香△1二玉▲2三金以下の5手詰ではない。▲2四香「△2三銀合」以下の15手詰である。この△2三銀合が中合いの手筋だ。

本書では、様々な種類の大道詰将棋を持駒の種類によって分類し、その中合と素抜きのメカニズムを解説している。
これを読んでじゃあ実戦が強くなるかと言われるとそんなことはないが、一つの知識として覚えておきたいことではある。

付記:本書は『甦る秘伝大道棋』として2001年に復刻された。

作成日:2001.07.20 
詰将棋

勝負の視点

勝負の視点: 研究と実戦の間
著者 :青野 照市
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:1995-11-01
価格 :¥1,282(2024/08/31 22:34時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
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何だかすっかり評論家になってしまった青野九段の評論集。

プロの実戦譜を題材にその心理状態まで分け入って詳しく解説したり、読みの本質的な部分の解剖を試みたりと、『読みの技法』青野版という感じの作りになっている。
一度に読むのはちょっと苦しいが(私は文体がちょっと……)、例えば通勤通学の合間にパラパラとめくるのには適している。将棋を指さない人たちなどには特にお薦めである。本書を読んでいると、将棋を指さなくても指している「頭」が作られていく気がする。

ちなみに、『勝負の視点』にある「サリエリに見る天才の嫉妬」は、中原と米長をモーツァルトとサリエリの関係に喩えた評論で、これは将棋ペンクラブでなにかの賞を受賞したはずである。

作成日:2001.07.20 
読みもの

王様殺人事件

王様殺人事件: 極上の詰将棋ミステリー (MYCOM将棋文庫SP)
著者 :伊藤 果
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-10-01
価格 :¥30,800(2024/08/31 15:14時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

伊藤7段の詰将棋を、推理小説作家でもある吉村達也が解説した本。文字制限を一切考えず、解説をするためだけに解説をするので、詰将棋の魅力を存分に味わえる。こういう本がもっと出てくると、詰将棋の魅力がもっと伝わると思う。
作品の方は伊藤果らしいものばかりで、合駒やソッポ行きなどがふんだんに出てくる。感覚が破壊される危険性があるので、やりすぎは禁物かも(笑)。

将棋世界誌での丸山名人バッシングなどで物議を醸した吉村達也だが、白砂はそれ以前に推理小説作家としての吉村達也の姿勢が大きらいなので(爆)、できれば別の人に解説してほしかった(笑)。

作成日:2001.07.20 
詰将棋

勝敗を分けるもの

勝敗を分けるもの: 勝負の視点2
著者 :青野 照市
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:1999-07-01
価格 :¥600(2024/09/01 00:15時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『勝負の視点』の続編のような本。青野がいろんなところで書いたものを集めたものである。

前作もそうだが、青野の将棋観がよく表れている。将棋についても一局の勝負どころを詳しく解説してあり、観戦記としても十分に楽しめる。

作成日:2001.07.20 
読みもの

看寿賞作品集

看寿賞作品集
著者 :詰将棋パラダイス
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:1999-11-01
価格 :¥2,990(2024/09/01 02:56時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

看寿賞というものをご存知だろうか?
『詰将棋パラダイス』という詰将棋専門雑誌で、その年のもっとも優れた作品に対して贈られる賞である。昔は「その年の全ての作品に」だったのだが、10年前くらいから「その年の『詰パラ』誌掲載の作品に」と変更になってしまった。いろいろ事情があるのだろうが、なんかプライドを捨てた感じで厭な気分になったのを覚えている。

そんな話はさておき、そういう「ベスト作」ばかりを集めた本なので、ハズレの筈がない。自然な実戦形から趣向作、超長手数作までありとあらゆるジャンルの作品が揃っている。この一冊で、詰将棋は全て判ると言っても過言ではない。
解説がもう少しついていればなぁ……とも思うが、この内容だけに仕方がないのかもしれない。この作品群のよさが判るのであれば、立派な詰将棋マニアだと言えるだろう。

作成日:2001.07.20 
詰将棋
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