その他

頭脳勝負

頭脳勝負: 将棋の世界 (ちくま新書 688)
著者 :渡辺 明
出版社:筑摩書房
出版日:2007-11-01
価格 :¥38(2024/08/31 15:38時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

渡辺竜王が、将棋を知らない人に向けて書いた「棋士・将棋」解説本。ルールの解説からホームページの紹介、できるだけ平易な解説を試みた自戦記、詰将棋の収録など、意欲作である。

ちくま新書からの出版ということもあり、また、ターゲットが「将棋を知らない人」ということもあるので、できるだけ▲△を使わないで将棋を説明しようという試みだそうだ。確かに、その意志は感じた。
感じたのだが、しかし、じゃあそれが成功しているかというと、うーんどうなんだろう、というのが正直な感想である。自分自身がドップリ将棋に浸かっているせいで正常に判断できないということもあるし、そういう先入観を持ってしまっているせいか、どうも「わざとランクを下げて書いてます」的な空気が出てしまっているように感じてしまった。バカにしてる、とまでいうとそれこそ言いすぎだしそういうことでは絶対にないのだが、そのあたりのさじ加減に失敗している気がする。
じゃあお前にできんのかそれと言われるとできないしorz、それが非常に難しいということも重々わかっている。それについて攻撃するつもりは毛頭ない。前述のとおり、意欲は買うしこれからもこういう方面にも手を出し続けていてほしいと思っている(渡辺竜王はそういうことができる素質を持っているとも思ってるし)。ただ、本書に関しては、ちょっと失敗だったかな……と。

元々がどだい難しいテーマなので、及第点以上ではあるのかもしれない。ただ、どうにも肌に合わなかった……というのが正直なところである。客観的な書評でなくて申し訳ない。

作成日:2008.04.18 
読みもの

ボナンザvs勝負脳

ボナンザVS勝負脳: 最強将棋ソフトは人間を超えるか (角川oneテーマ21 C 136)
著者 :保木 邦仁
出版社:角川書店
出版日:2007-08-01
価格 :¥859(2024/08/31 15:38時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

時のタイトル保持者とコンピュータ将棋ソフトが平手で勝負する。こんな話が現実になったんですよね。渡辺竜王vsボナンザ。本書は、ボナンザ作者の保木さんと対局者渡辺竜王が、「世紀の一戦」前後について語った本である。

まずは保木さんがボナンザ開発の経緯を解説し、続いて渡辺竜王が「世紀の一戦」前後についての顛末を。そのあと二人の対談が入り、最後に二人がそれぞれ思うところを綴っている。

渡辺竜王の指摘はコンピュータ将棋の進歩にとって有用なものになるだろうし、ボナンザ開発の経緯はコンピュータ将棋に興味がある人であればぜひとも読んでほしい。個人的には、最後の保木さんの話が印象に残った。本題とは少し違う気がするんだけども……(笑)。

通常の「将棋の本」ではないが、コンピュータ将棋に興味がある人、コンピュータ将棋なんてまだまだでしょ、と思っている人は、一度手にとってみてほしい。同じ将棋の、けれど少しだけ違う新しい世界がそこにはある。

作成日:2008.04.18 
読みもの

3手1組プロの技

3手1組プロの技 (マイコミ将棋ブックス)
著者 :片上 大輔
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:2007-08-21
価格 :¥2,130(2024/08/31 16:50時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

3手一組の指し手を考える、次の一手ならぬ次の三手本。
考えてみれば、次の一手というものは次の一手だけを当てればいいというものではなく、その局面から勝ち筋有利筋を引き出すものだ。そういう意味では、一手だけではなく連続した手筋というのを扱うのも当然といえば当然である。

本書で扱っている3手一組は、「歩の手筋」「攻めの手筋」「しのぎの手筋」の三種類。計86問である。
白状すると、結構難しかった。
いわゆる手筋的な……という表現はよろしくないのだろうが、いかにも作りもの的な問題はさすがにすぐにわかった。ただ、タイトルどおり「プロの技」がたくさん詰まっているので、パッと正解が浮かぶという問題ばかりではない。問題を解く、というより、プロの技を鑑賞するといった感じになってしまった。

それぞれのテーマごとに最初に少しだけ解説が載っているが、それもなかなか親切でよかった。
量産するのは難しいジャンルかもしれないが、こういう本がもっとたくさん出ると、3段くらいからのステップアップにはいいと思った。

作成日:2008.04.18 
次の一手 手筋

光速の詰将棋

光速の詰将棋
著者 :谷川 浩司
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2008-02-01
価格 :¥1,310(2024/08/31 15:38時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

看寿賞作家谷川浩司の短編図式集。7手から15手までの短編が120作と、思い出の作品4作が収録されている。
一応、「5分で解ければ○段」という目安もあるのだが、そんなことは考えずに素直に鑑賞するのが吉だ。

個人的には短編詰将棋というものの「鑑賞の仕方」が今イチつかめていない感じで、解いて面白いなぁ……と感じたものもなくはないのだが、単純に「あぁ、手筋だねぇ……」とか、そんなていどで終わってしまったものも少なくない。これは白砂がいけないんだな。

真剣に勝負するつもりで手を出したのだが、なんだかんだで全問解くのに2週間以上かかってしまった。それだけの時間をかける価値は間違いなくある作品集だと太鼓判は押すので、ぜひともチャレンジしてみてほしい。

作成日:2008.03.27 
詰将棋

将棋・ひと目の端攻め―攻防の手順がわかる200問

将棋・ひと目の端攻め (マイコミ将棋文庫SP)
著者 :週刊将棋
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版日:2008-01-30
価格 :¥1,100(2024/08/31 18:31時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「端攻め」という1ジャンルにしぼって解説している手筋本。一局の将棋で端がからまないということなどはほとんどなく、そういう意味では必修手筋とも言えるはずなのだが、これまであまりクローズアップされてこなかった。
もちろんそれは触れてこなかったという意味ではなく、実は「歩の手筋」「囲いの崩し方」という形で取り上げられてはいた。しかしそのためやや手筋が分散してしまった感があった。本書では、200問の次の一手形式で端攻め手筋を網羅している。

端攻めの基本手筋から始まって、終盤での手筋、囲いの崩し方と、本当にいろいろな形での端攻めが載っている。また難易度も、▲4六角△1一香△1四歩持駒歩歩の局面で「▲1二歩△同香▲1三歩で香得が確定」というレベルから(正直、最初の問題がこれだったので「入門書だったのか?」と少し不安になった)9手くらいの一連の手筋までさまざまだ。下は初心者(初級者ではなく)から上は2、3段くらいまで十分に楽しめる。

個人的な話になるが、今回200問を解いてみて、自分がやはり振り飛車党だということがよくわかった。矢倉の崩し方の正答率が他に比べてかなり低かった(4、5問は出なかった)。「自分の客観的な将棋観をはかる」という、ちょっと変わった楽しみ方もできるようだ(笑)。

有段者にとっては常識レベルの話だろうが、そこまで行かないなぁ……という人であれば、一度目を通しておくのもいいと思う。いっぺんでいいなら立ち読みでも十分だが、できればたまに読み返して棋力が落ちてないかをはかる試験にするという読み方もある。
次の一手形式というサラッと読める形式なので、こちらもそれを活かした読み方をするべきだ。

作成日:2008.03.20 
次の一手 手筋
広告