詰将棋

将棋墨酔

将棋墨酔
著者 :七條 兼三
出版社:西東書房
出版日:1992-01-01
価格 :¥28,926(2024/09/01 06:09時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

現在は鬼籍に入られているが、七条兼三という詰将棋作家がいた。詰将棋作家であるだけでなく、将棋会館建設などに際して多額の寄付金を出すなど、将棋界の「旦那」的存在の人である。
その七条氏の追悼として出版された、氏の作品集である。

詰将棋に詳しくない人のために解説すると、詰将棋は「より易しく楽しい作品を」という方向と「より難しい困難な条件の作品を」という方向の二つに大きく分かれる。七条氏は後者の筆頭的存在であった。
氏の作った条件作は枚挙に暇がない。
順列七種中合、七歩連続中合、純「と金」詰、角打ち角合28回、四形合四形詰、歩なし無防備煙詰、五種不成り煙詰……。
詰将棋を作ったことが少しでもある人なら、簡単な詰将棋でもどれだけ作るのが難しいか判る筈だ。それを、この信じられない条件下で作成してしまうのである。

詰将棋は芸術品である。
新聞雑誌に載っている「5分で初段」と一緒に考えてほしくない。
人間の頭脳がどれだけ凄いことができるのか、自分たちのよく知っている「将棋」という題材で七条氏は証明してくれた。

ぜひとも「鑑賞」していただきたい。

作成日:2001.07.20 
詰将棋

詰将棋探検隊 妙技すべてみせます

詰将棋探検隊: 妙技すべてみせます
著者 :角 建逸
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:1995-12-01
価格 :¥3,500(2024/08/31 15:14時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

詰将棋の芸術性、パズル性を判りやすく解説した本である。
芸術性や様式美はその美しさを、パズル性はその仕組みを、豊富な図面で解説してくれている。会話形式で進んでいるところは評価が分かれるところだろうが、読みやすさという点では成功していると思う。
詰将棋の奥深さが判る良書である。

作成日:2001.07.20 
詰将棋

名作詰将棋

名作詰将棋―棋力を高め趣味を深める歴史的傑作選
著者 :二上達也
出版社:有紀書房
出版日:1979-06T
価格 :¥326(2024/08/31 15:14時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『詰将棋探検隊』は現在の詰将棋界の頂点を紹介するものだったが、本書はむしろ詰将棋の歴史に焦点を当てている。
詰将棋の歴史を紹介した本は他にもあるが、これが一番カタログとしては適していると思う。長手数の作品になると解説のスペースがなくなるのが欠点といえば欠点だが、それは仕方のないことかもしれない。

少し話はそれるが、元々、私が詰将棋に興味を持ったのは、将棋連盟の出していた全集の中の『図式集』を読んでからだった。月並みな話だが、宗看・看寿の作品集にハマったクチである。その当時は初段にも達していなかったろうに、無謀にも全問解図に挑戦した。
実際に解いたのは10問にも達しなかったと思うが、その話を先輩の渡辺さんにしたことがある。それまでほとんど話もしたことがなかったのに、そのことを喋った途端に「そうなんだよね。あれ難しくて。どれだけ解いたの?」などと熱心に質問してきた。確か団体戦の途中のことだったと思う。
後で渡辺さんの書いた文章を読んで判ったことなのだが、渡辺さんも全問解図に挑戦して、最初の一問目でつまづいたらしい。確かに「無双」の一番は難解で知られる作品だから無理もないが、だから、ちょっとでもその難しさが判っている人がいたのを知って嬉しかったのだと思う。懐かしい思い出である。

詰将棋の面白さを解説するのは難しい。残念ながら、その個人が自分で詰将棋に触れ、その面白さを感じるよりない。
本書は、その水先案内の一冊になりうると思う。

作成日:2001.07.20 
詰将棋

詰将棋の創り方 実例と楽しみ方

詰将棋の創り方: 実例と楽しみ方
著者 :伊藤 果
出版社:日東書院本社
出版日:1983-01-01
価格 :¥4,379(2024/08/31 15:14時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

詰将棋が好きになったら、自分で作りたくなるのは人情というものである。私もそうだった。
しかし、現実に「作る」となると大変だ。参考書を読もうにも、詰将棋の問題集はあってもその「作り方」に焦点を当てた本は一冊もなかった。

その「作りたいけど作れない」人達の待望の一冊が本書である。

内容は「順算式」「逆算式」などの基本的な方法論から、趣向作の作り方、推敲の方法など、詰将棋を作るためのあらゆるテクニックが詰めこまれている。
詰将棋に少しでも関心がある人は絶対に「買い」である。

作成日:2001.07.20 
詰将棋

秘伝 大道棋

蘇る秘伝大道棋
著者 :湯川 博士
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2001-04-01
価格 :¥2,542(2024/08/31 22:34時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

いわゆる普通の詰将棋とは別のルートで栄えた詰将棋のジャンルに「大道詰将棋」がある。道端で将棋盤を広げて、道行く人に詰将棋を出して解けたら商品をあげる、というものである。私は見たことがないが、10年くらい前に暴力団がらみの記事で紹介されていたのを目にしたことがある。

大道詰将棋は「手を出してもらう」という命題があるため、詰みそうで詰まない、でもちゃんと詰む問題であることが重要になってくる。もっと直接的な表現を使えば,客が引っかかってくれてしかも景品を渡す必要もない問題ということである。
様々な方法の中で一番うまくいったのは「中合」と「素抜き」であった。

 例えば、この詰将棋を解いてもらいたい。答えは▲2四香△1二玉▲2三金以下の5手詰ではない。▲2四香「△2三銀合」以下の15手詰である。この△2三銀合が中合いの手筋だ。

本書では、様々な種類の大道詰将棋を持駒の種類によって分類し、その中合と素抜きのメカニズムを解説している。
これを読んでじゃあ実戦が強くなるかと言われるとそんなことはないが、一つの知識として覚えておきたいことではある。

付記:本書は『甦る秘伝大道棋』として2001年に復刻された。

作成日:2001.07.20 
詰将棋
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