ザ 決め手! 新終盤の定跡(2)
なにしろ1があの『ザ・必死!』である。期待したのだが、フタを開けてみたら単なる週刊将棋の段級認定問題を集めたものだった。
こういう問題を一定間隔で一定数を解くことは、きっと上達につながると思う。ただ、じゃあわざわざ買ってまでやるかというとちょっと……となってしまう。本来であれば、詰め将棋のように素振り感覚で問題を解いてほしいところなのだろうが……。
なにしろ1があの『ザ・必死!』である。期待したのだが、フタを開けてみたら単なる週刊将棋の段級認定問題を集めたものだった。
こういう問題を一定間隔で一定数を解くことは、きっと上達につながると思う。ただ、じゃあわざわざ買ってまでやるかというとちょっと……となってしまう。本来であれば、詰め将棋のように素振り感覚で問題を解いてほしいところなのだろうが……。
級位者向けに詰め手筋や囲いの崩し方を教える、という内容。
一冊に詰め込むにしては範囲が広く、そのためやや散逸な印象を受ける。しかし、もともと基本手筋の紹介であるのでこれで十分だろう。
図面も大きく、初級者から中級者にとっては「読みやすい」本でもある。
創元社らしい、入門向けに手がたく作られた良書だ。
かなり高度な内容を実は解説しているこのシリーズ。第3弾は「囲い」にスポットを当て、その崩し方を解説している。
登場するのは美濃・矢倉・穴熊の3種。
囲い崩しだったら対振り飛車の舟囲いはないの? と思ったが、冷静に書名を見てみれば『堅さをくずす本』だった。舟囲いは固さよりは広さを主張する囲いだ。
内容としては、まずはじめに一般的な囲い崩しの「形」を解説し、次に実戦譜で具体的な手順を解説する。次の一手形式で延々続く形式なので、図面はかなり多い。
ただ、どうも不満というか、事前の触れ込みとの落差のようなものを感じてしまった。こちらが勝手に感じてしまったものなので酷な話ではあるのだが。
最初、本書は「どういう形であればどういう囲い崩しの手筋が利用できるか」というテキスト(講座)的なものだと思っていたのである。この形はこの金と龍の位置関係に注目、この場合はこういう手筋が利きます、とか、この場合はここに後手の利きがあるため、手筋1は使えません、とか。
それも基本的な囲い崩しだよ、と言われてしまえばそれまでなのだが(<そうなのか)、むしろこれは「囲い崩しの応用」だと思う。で、本書は、その応用のメカニズムを解明した画期的なものだと思ってしまっていたのだ。
もっとも、本書の形式が白砂にはあまりなじまなかった、という方が根本的な問題で、そのために評価が低くなってしまっているのかもしれない。次の一手形式とはいえ、きちんと順序立てた例題が並んでいるので、体系的に学べると言えなくもない。
また、扱われている手筋はよくあるものだが、プロの実戦で出てきた「王道の寄せ」である。その手触りを覚えることは、間違いなく棋力向上につながるだろう。
結局のところ、題材自体は悪くない。あとは読者の腕次第、という感じの本だと思う。
前作に続き、寄せについて書いた本。お得意の「本をひっくり返す」次の一手方式で書かれている。
サブタイトルは「基本だけでここまで出来る」となっていて、取り上げられた形を見ても、なるほど基本的な手筋だけで構成されている。入門書で手筋を覚えても、実際に使いこなせなければ意味がないという好例だろう。
同時に、羽生の「大山先生は手を読んでない。ホントに読んでないんですよ」という発言も思い出した。大局観と基本的な手筋が頭にあれば、手を読むことなどしなくてもツボに手が行くということだろう。事実、本書に載っている、堅そうな陣形、手がかりのなさそうな玉形が、あっという間に寄ってしまう。「公式は暗記するのが重要なのではなく、使いこなすことが重要」だということがよく判る。
次の一手形式も効果的に機能していると思う。
羽生が講座で壇上に立ち、大盤を動かしながら「これはこうやっていきます。……次の形、これはこう攻めれば潰れてますね」と解説しているようなスピード感が感じられる。次の一手形式の「ブツ切り感」がいい方に作用しているのだろう。
ただ、その点から苦情を呈すると、個々の問題に関連がないのが逆に気になった。
前述のたとえを使うなら、「これはこうやっていきます。……次の形、これはこう攻めれば潰れてますね」と言う時、通常は「先程と同じく……」とか、「この筋があるので前回の手順は使えず、代わりに……」とか、前後にはなんらかの関係性があるものだろう。そうやって体系的に学ぶことによって、よりいっそう理解が深まる。本書には、あまりそれが感じられなかった(ないわけではない。念のため)。
そのため、本当に単に次の一手をいっぱい解くだけ……という雰囲気もなってしまいがちだ。
題材の難易度など、非常にうまくできていると思うので、もったいないと感じた。