終盤・寄せ

寄せが見える本 応用編

寄せが見える本〈応用編〉
著者 :森 けい二
出版社:浅川書房
出版日:2004-06-02
価格 :¥1,430(2024/09/02 11:59時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

前書『寄せが見える本 基礎編』の応用編。 今回は、中段玉の寄せ方や、自玉との兼ね合いを考えた寄せを解説している。

例によって解説がふんだんにあり、読み進めていくだけでそこそこ問題も解けてしまうと思う。基礎編での知識がこちらで改めて使われているものも多く、「だから基礎は大事なんだぞ」ということもよく判る。
特に、「どの駒を渡すと危ないか」「自玉はあと何手もつか」といった、彼我の関係を確かめながら寄せるという部分をきちんと解説しているのがいい。判ってはいてもなかなかできないものだし、どうしても今までの手筋本の編集形態ではそれはかなわなかった。レイアウトの枠を取っ払い、伝えたいことを伝える方法に変更したことがここでも生きている。
実際のところ、本書に書かれているところくらいまでが身についていれば、それだけで終盤は2、3段あると思っていいだろう。それ以上の棋力の人達も、新しい手筋を知っているのではなく、既存の手筋を組み合わせたりしながら指しているだけだろうから。

できれば何度も読み返して、ここに書かれたさまざまな手筋・考え方を自分のものにして欲しい。

作成日:2004.06.10 
終盤・寄せ

寄せが見える本 基礎編

寄せが見える本 〈基礎編〉 (最強将棋レクチャーブックス (1))
著者 :森 けい二
出版社:浅川書房
出版日:2004-04-21
価格 :¥1,430(2024/09/01 08:58時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

寄せ、というよりは、必死の解説と言ってもいいと思う。
寄せのいろいろな種類を分類し、手順の解説を行った本。

進め方の手順が面白い。
よくある「問題→解答(解説)、問題→解答(解説)」という単純な形態ではなく、問題図をばばばばばっと見せてしまい、それらの解説を一気にやる、という形式になっている。
大した違いではないように思えるかもしれないが、実は大違い。ページをまとめることで、従来のような「字数の呪縛」から解き放たれ、かなり詳細な解説をすることができるのだ。僅かな形の違いによる寄せ方の変化も、一気に解説することによってスムーズに頭の中に入ってくる。
もう10年以上昔になるが、三宅正蔵という人が近代将棋付録に必死講座を書いていたことがある。ちょうど本書のような読み物形式になっていて、詳しい解説とちょっとずつ変化させた問題のおかげで、かなり必死については強くなった。本書も、級位者にとっては判りやすくためになる本になるだろう。

問題そのものはかなり簡単だが、これは「基礎編」と銘打っている以上当然だろう。むしろこれで難解だったらサギだ(笑)。
続編が出るようなので、有段者はそちらに期待しよう。

作成日:2004.05.26 
終盤・寄せ

囲いの崩し方 形の急所と手筋を知る

囲いの崩し方: 次の一手問題集 形の急所と手筋を知る (将棋終盤力養成講座 5)
著者 :沼 春雄
出版社:創元社
出版日:2004-04-01
価格 :¥1,289(2024/08/31 16:43時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

次の一手形式で、美濃、矢倉、穴熊の囲いを崩す手筋を解説する。

形式としては面白く、類書もあることから判る通り需要はあるのだろう。しかし、本書に関しては「中途半端な難しさ」を感じた。難易度がバラバラで、その難しさも手筋としての難しさではなく、全体局面で解説しているがゆえの難しさなのだ。ある意味、手筋を習得するためにはいらない難解さと言える。
有段者向けというのであれば、「手筋を覚えても実戦で使えないと意味がない」という面もあるから仕方がないか……という気にもなる。しかし、手筋を習得しようという人間に対してそれ以外の部分の負担を強いるのはあまりよくないだろう。

ただ、そういう部分の難解さに目をつぶれば、囲い崩しの手筋を習得するにはもってこいの本だ。
歯ごたえがある、ということを念頭に置いて、気合を入れてから読んで欲しい。

作成日:2004.04.20 
次の一手 終盤・寄せ

羽生の将棋実戦〈詰め&必死〉200 羽生マジックに学ぶ終盤の手筋200題

羽生の将棋実戦詰め&必死200: 羽生マジックに学ぶ終盤の手筋200題
著者 :森 鶏二
出版社:日本文芸社
出版日:2004-03-01
価格 :¥300(2024/08/31 18:54時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

キーワードとなる単語が多すぎて題名を見ただけではどんな本だか判りにくいが、実戦で生じた詰みや必死を次の一手形式で出題する、という本。手筋、という言葉はない方がいいと思う。
手順は単純な一本道からかなり骨のある難解なものまで(量はおいといて)あるが、実戦ということでかなり盤がごちゃごちゃしている。単純な部分図より、それだけで難しくなっていると言えるだろう。まず状況を把握するのに時間がいる。
詰みと必死をいっしょくたにしてしまったのは評価したい。問題数が足らなかったからいっしょにしただけかもしれないが(笑)、即詰みと必死は密接に関連している。いっしょでもなんら問題はない。
前例があった気もするが、せっかくだから、詰みと必死の問題をバラバラに入れても面白かったかもしれない。それだけで、「詰みも必死もある」「詰みがある」「必死がある」「詰みも必死もあるが必死をかけると詰まされる」と選択肢が広がり、一気に有段者向けの問題となるだろう。「詰みの問題」と言われるから詰みを考え、「必死問題」と言われたから必死を読む、というのは、やはり実戦の読み方とは違う。
対象棋力は有段者ではないようなので、こんなことを言ってもなんなんだが。

前例があるタイプの本だし、買って読むほどのものかどうかは疑問だ。かといって立ち読みで済ますにはそこそこ骨がある。図書館で借りられるようならそれがベストだろう。

作成日:2004.04.06 
終盤・寄せ

ゼったい詰まないZの法則

Zの法則: ゼったい詰まない終盤の奥義 (MYCOM将棋文庫 21)
著者 :日浦 市郎
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-11-01
価格 :¥29(2024/08/31 18:54時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

どちらかというと体系化されておらず(笑)、ダラダラと続く印象を持った。
ただ、終盤でZ(「絶対詰まない形」のことをZと言うんだそうだ)の形を作る、外すというのは現代将棋の終盤の定跡となりつつあるので、そのコンセプトを学ぶという意味では役に立つだろう。

もう少し編集のしようがあったと個人的には思うのだが……。題材がいいだけにもったいない。

作成日:2003.11.14 
終盤・寄せ
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