総合

詰みより必死

詰みより必死: 終盤の超発想法 (MYCOM将棋文庫 14)
著者 :金子 タカシ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-07-01
価格 :¥700(2024/08/31 22:31時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

毎コミの復刻文庫化シリーズの一編。
必至をうまく分類・整理し、実戦に生じそうな形での必至問題をたくさん載せている。

タイトルの「詰みより必死」の通り、勝率を上げたいのなら、詰みを読むことよりも必死をかけることを考えた方がいいのかもしれない。もちろん、その結果自分の玉が詰まされたというんじゃ目も当てられないんで、やっぱり詰みは詰みでちゃんと読まないといけないんだけど(笑)。
一回精読する、というのではなく、常に手元に置いて何度も解いていく、という使い方をするべき本である。
必死、という読み自体が少し難しいので、級位者にはちょっと敷居が高いかもしれない。1手必死がそこそこ読めれば初段へリーチ、くらいの感覚で、判らないのを覚悟で読んだ方が気楽だと思う(笑)。

作成日:2003.08.25 
終盤・寄せ

谷川浩司の戦いの絶対感覚

谷川浩司の戦いの絶対感覚 (最強将棋塾)
著者 :谷川 浩司
出版社:河出書房新社
出版日:2003-04-01
価格 :¥609(2024/09/02 11:58時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「戦いの絶対感覚」シリーズから、ついに待望の谷川版が出版。
どんな内容なんだと期待して、立ち読みだけでは飽き足らず結局買ってしまいました(笑)。

で、内容なのだが……。

ち ょ っ と 残 念

谷川自身の実戦譜を元にしている、という部分もあるのかもしれない。しかし、それにしてもなんとなく解説に既視感がある。どこかで聞いたような解説ばかりなような気がする。
しばらく読み進めて、わかった。
観戦記を読んでいるときと、まったく同じ空気なのだ。

今までの「戦いの絶対感覚」シリーズは(特に最初の佐藤本森内本は)、まさに「感覚」の部分を解説してくれたように思う。ところが、前回の羽生本あたりからだと思うのだが、単に実戦譜を解説してるだけやん、みたいな感じに変化している気がする。
特に谷川の場合、その鋭い攻めは谷川ならではという感が強いので、よりいっそう普遍的でない解説になっている。なので、どうしても「この呼吸を会得しよう」ではなく「おーすげー」となってしまって、これが自分の血肉になるのか疑わしくなってくるのだ。

読んでまったくためにならない、とまでは言わない。
ただ、これを読んだから強くなると断言できるか……というと、ちょっと疑問だ。
ちょっと邪道な感はあるが、谷川の好プレー集として読むと楽しめると思う。

作成日:2003.05.21 
大局観

ザ・必死 これが終盤の定跡だ

ザ・必死: これが終盤の定跡だ (MYCOM将棋文庫 4)
著者 :金子 タカシ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-01-01
価格 :¥526(2024/09/01 17:29時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

まさに「幻の名著」とも言える本書。さまざまな必死の形をパターン分類し、次の一手形式で紹介している。
簡単な1手必死から9手以上の長い手順の必死までと、初級者から有段者まで幅広く読めるだろう。

現在でこそ「寄せの本」も多くなったが、当時は類書は多くなかった。また、問題のクオリティの高さは当時から有名だった。とはいえ白砂が実際に本書を手にしたのは販売後かなり経ってからなのだが。

あまり解説が多くないので、手順を見て「なるほど」と思える棋力でなければ読み進めるのは少し辛いかもしれない。有段者は力試しのつもりでぜひとも取り組んでほしい。意外と実戦では寄せを逃しているかもしれない(笑)。

作成日:2003.01.01 
終盤・寄せ

攻めか受けか 次の一手問題集 寄せの判断力を養う

攻めか受けか: 次の一手問題集 寄せの判断力を養う (将棋終盤力養成講座 3)
著者 :勝浦 修
出版社:創元社
出版日:2002-10-01
価格 :¥692(2024/08/31 18:54時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

いわゆる「次の一手」本である。終盤の局面を抜き出し、次の一手を問う。
ただし、スーパートリックのようなパズル的なものではない。実戦さながらの局面を元に(というか元ネタがプロの実戦なので当然なのだが)、この局面は攻めるべきか受けるべきかを考える。純粋に読みの力、大局観が問われる。

白砂はパラパラと読んだだけなのだが、意外と手ごわい。驚いた。
こういう問題だと「~にて必死で勝ち」ばかりなのだが、本書の場合は「ここで受けておいて手勝ち」とか、本当に実戦の勝負と同じ形勢判断、ヨミをしないと正解は出せない。華麗な手順ももちろん多いが、地味に上から押しつぶして勝ちとか、そういう解答も多いのだ。既存の次の一手集よりは骨があると思う。こういう本を創元社も出すようになったのか……と、ちょっとビックリした。
まえがきには「有段者はヒントを見ないで解けば云々」とあるが、ヒント自体があまり役に立たないので(笑)、かなり難しい問題が多い。ちょっと級位者では読み切れない(本書がではなくて、問題の正解手順が)と思う。
初段前後の人が、終盤力を鍛えるのにはもってこいの本だ。

買うか、と言われると「こういう本って繰り返し読めないからなぁ……」と躊躇してしまうのだが、立ち読みをして難しいと感じたら売り上げに貢献してあげて欲しい。こういう本って、意外と貴重だと思うから。

作成日:2002.10.01 
終盤・寄せ

分かる・役立つ 速効!矢倉の手筋

分かる・役立つ速効!矢倉の手筋
著者 :飯塚 祐紀
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-04-01
価格 :¥1(2024/09/01 03:49時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

矢倉戦で生じる代表的な手筋、攻め筋について解説している本。
よくある▲2四桂のぶち込みや▲4一銀の引っかけといった基本手筋、理想形に組んだあとの攻略といった、身もふたもない言い方をしてしまえば「矢倉素人のための初級解説本」。しかしそれゆえ、矢倉党の級位者には参考になると思う。

なんで▲4一銀と金に当てる手が常に急所となるのか。どうして序盤の組み合いで漫然と指してはいけないのか、本書を読めば、喰らったときの破壊力からそれは察せられるはずだ。かなり後手にはサンドバッグになってもらっているので(笑)都合のいい指し手も少なくないが、本書のような「手筋」を喰らうと陣形というのはあっけないほどモロい。また逆に攻略も可能だ。プロやアマ高段者が固そうに見える玉をあっという間に丸裸にしてしまうのは、こういった手筋を常識のように使っているからなのだ。

本書を読めば有段者になれるとは思ってはいけない。強くなればなるほど、お互いに手筋を知っているから、それをやられないようにやられないように指していくからだ。しかし、初段にはなれる。級位者と段位者の最大の違いは、これら手筋を活用できるか否か、といっても過言ではないからだ。
先にも言ったとおり、都合のいい指し手がけっこうあるので本書だけでは上達は望めない。しかし、基本手筋を知るうえで本書は格好の教材になるだろう。

作成日:2002.04.25 
手筋
広告