総合

手筋の達人

手筋の達人―矢倉の手筋が満載 (MYCOM将棋文庫SP)
著者 :武者野 勝巳
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2005-02-01
価格 :¥1,100(2024/09/01 17:29時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

矢倉の手筋を次の一手形式で紹介する本。毎コミおなじみの復刻文庫で、2冊の「手筋の達人」が1冊にまとまって出版されている。
文庫のくせに非常に分厚い。京極夏彦じゃねーんだから、とも思うが(笑)、次の一手形式だとサクサク読めるので、このくらい厚くてもいいのかもしれない。一度通しで読むだけでかなり「おなかいっぱい」になる。

内容は、定跡となっている基礎的な変化から中盤の芒洋とした局面までさまざまで、特に応用編は「ここでは手を渡すのがいい」とかかなり高度な駆け引きまで紹介されている。もっとも、現在では定跡化されているものも、逆に定跡化されて廃れて最近見ないなぁ……といった形もあるので、この辺は復刻ということで多少多めに見てほしい。

初級者にとってはこういう基本的なトコからやった方がいいと思うので、立ち読みでいいからパラパラと読んでみてほしい。最初から読んでみて、一つでも知らない変化、形が出てきたら本書は買いだ。そのあとどんどん高度な形が出現するのだから。
逆に高段者の矢倉党は、これを知らないようではまずい。タイムトライアルだと思って挑戦してみてほしい。

作成日:2005.03.02 
次の一手 手筋

谷川流寄せの法則 応用編

谷川流寄せの法則 応用編
著者 :谷川 浩司
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2004-12-01
価格 :¥402(2024/08/31 23:32時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

前著『谷川流寄せの法則 基礎編』に続く応用編。なのだが……

そんなに難しくなってない気が……

あくまでも白砂の感想、なのだが、基礎編にあった「きちんと解説する」感があまりなく、問題形式でどんどん進んでいく。最初の格言を用いての解説もなんか上っ滑りの感があって、あまり実用的(基礎編と比べて)ではない。
難易度の方も、一つ一つの問題の難易度は基礎編とさほど変わらないと思う。
これが仮に、読む深さなり読む広さなり、あるいは攻防の速度計算だったり、もう少し難しい要素が入って入れば別なのだが、そんな感じもあまりしなかった。

谷川の本はそれこそ昭和の頃から良書が多く、期待する部分はあったのだが、その期待が過剰になってしまったのかもしれない。また、『寄せが見える本 応用編』との比較でそう思えてしまったのかもしれない。と、まぁ、いろいろ外部要因があって偏見が入ってしまっているのかもしれないが、要するに、白砂としてはあまり期待したものではなかった。

もう少し「解説」がきちんとあって、寄せの系統立てでもしてくれたら、評価はまた違ったものになったかもしれない。

作成日:2005.02.10 
終盤・寄せ

上達するヒント

上達するヒント (最強将棋レクチャーブックス(3))
著者 :羽生 善治
出版社:浅川書房
出版日:2005-01-31
価格 :¥1,430(2024/09/02 11:59時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

将棋を指す時の大局観とか考え方について、羽生が解説した本。

いつだったか会社の厚生部のイベントに無理矢理狩り出されてねずみランドまで行かされて、「俺はこんなとこ嫌いじゃあ!!」とか言って速攻で新森ビルに遊びに行って、そのついでに寄った八重洲ブックセンターで『羽生の奥義』とかいう本を見つけて中を見てみたら外人向けの解説かなにかが書いてあって、どうもその本を一冊にまとめたものらしい(長ぇよ)。

内容としては、先崎の『ホントに勝てる~』シリーズを将棋全般に拡充したような感じだ。位とか捌きといった概念をなるべく言葉で説明しようという意図が感じられた。随所に「~か判れば有段者」といった記述があるように非常に難しい作業だったと思うのだが、なかなかうまくいっていると思う。
大人のための入門書、という体ではあるが、読み進むとともに対象棋力も上がっていくので、実際には初段くらいないと全部を理解するのは難しいかもしれない。初心者向けではなく、初級者、中級者向けの本だろう。

将棋の概念は口で説明するのが本当に難しいのだが、それに果敢に挑戦した本だと評価したい。
もっとこういう本が出れば、アマチュア棋力の底上げにもなると思う。

作成日:2005.02.10 
大局観

羽生の法則 Volume4 飛角の手筋

羽生の法則 Volume4
著者 :羽生 善治
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2004-12-01
価格 :¥79(2024/09/01 06:56時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

法則シリーズ第4段。最後は大駒の飛角。
これで一応駒のシリーズは全て終えたはずなので、おそらく一段落ついたと思われる。

内容はといえばいつものように問題形式で手筋を紹介しているが、やはりいつものように初段前後、もしくは級位者を対象にしている感じだ。定跡手順の解説もいくつかあったりして、あくまでも基本手筋を紹介するだけにとどめている。
それをありがたいと感じる棋力の人は買い。
できれば、購入前にパラパラとめくって対象棋力に合っているかどうかを確認してほしい。

せっかく羽生をかつぎ出して本を出しているのだから、今度はもう少し高度な話にしてほしい。もちろん棋力の底上げも大事だし普及も大事なんだけど、羽生だからこそできることというのがあると思うのだ。

作成日:2005.01.14 
手筋

羽生の法則 Volume3 玉桂香の手筋

羽生の法則 Volume3
著者 :羽生 善治
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2004-09-01
価格 :¥1,430(2024/08/31 18:31時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

すっかり定着した法則シリーズの第3弾。今度は玉桂香の駒に焦点を当てている。
コバケン本と微妙に構成を変えているのは何か意味があるのだろうか……?

内容は今までと同じく、駒の特徴を生かした手筋を紹介している。
序盤から活躍する駒ではないので、必然的に中盤から終盤、寄せにかけての解説になっているが、まぁこれは仕方がないだろう。既存の棋書でも解説されている手筋が多いが、初級者から初段くらいまでの人には参考になると思う。

玉の手筋については「早逃げ」ばかりだったが(笑)、これも駒の特性上仕方がないか。いくつかは玉の利きの多さを生かした手筋もあったが、基本的には「早逃げすることで玉の安全度グーンとあぁーっぷっ!!」という手が多い。好意的に見れば、こういう手筋は知っていてもなかなか指せないので(白砂がそうです)、前へ前へと出がちな級位者にはいい薬になるのだろう。

少し気になったのは、玉の手筋と桂香の手筋とでは、手筋感というか雰囲気というか、そういう「感覚」が違うのではないか、ということ。
飛び道具という意味もあるし、攻め駒の桂香と受けないといけない駒である玉とではやはりコンセプトが違う。これらが混ざってしまっている構成はどうかな……? と思った。やっぱり飛角桂香でひとまとめとしたコバケン本の方が、流れとしてはスムーズに読めるのではないだろうか。
もちろん、丁寧に解説してあるという点では評価できるし、本書が駄作というわけでは決してない。
ただ、なんとなく、前例があるからムリヤリ編成を変えたようにも思えるので、そんなことしなくても本書の価値は変わらないのに……と思ったので。

作成日:2004.09.24 
手筋
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