総合

囲いの崩し方 形の急所と手筋を知る

囲いの崩し方: 次の一手問題集 形の急所と手筋を知る (将棋終盤力養成講座 5)
著者 :沼 春雄
出版社:創元社
出版日:2004-04-01
価格 :¥1,289(2024/08/31 16:43時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

次の一手形式で、美濃、矢倉、穴熊の囲いを崩す手筋を解説する。

形式としては面白く、類書もあることから判る通り需要はあるのだろう。しかし、本書に関しては「中途半端な難しさ」を感じた。難易度がバラバラで、その難しさも手筋としての難しさではなく、全体局面で解説しているがゆえの難しさなのだ。ある意味、手筋を習得するためにはいらない難解さと言える。
有段者向けというのであれば、「手筋を覚えても実戦で使えないと意味がない」という面もあるから仕方がないか……という気にもなる。しかし、手筋を習得しようという人間に対してそれ以外の部分の負担を強いるのはあまりよくないだろう。

ただ、そういう部分の難解さに目をつぶれば、囲い崩しの手筋を習得するにはもってこいの本だ。
歯ごたえがある、ということを念頭に置いて、気合を入れてから読んで欲しい。

作成日:2004.04.20 
次の一手 終盤・寄せ

羽生の将棋実戦〈詰め&必死〉200 羽生マジックに学ぶ終盤の手筋200題

羽生の将棋実戦詰め&必死200: 羽生マジックに学ぶ終盤の手筋200題
著者 :森 鶏二
出版社:日本文芸社
出版日:2004-03-01
価格 :¥300(2024/08/31 18:54時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

キーワードとなる単語が多すぎて題名を見ただけではどんな本だか判りにくいが、実戦で生じた詰みや必死を次の一手形式で出題する、という本。手筋、という言葉はない方がいいと思う。
手順は単純な一本道からかなり骨のある難解なものまで(量はおいといて)あるが、実戦ということでかなり盤がごちゃごちゃしている。単純な部分図より、それだけで難しくなっていると言えるだろう。まず状況を把握するのに時間がいる。
詰みと必死をいっしょくたにしてしまったのは評価したい。問題数が足らなかったからいっしょにしただけかもしれないが(笑)、即詰みと必死は密接に関連している。いっしょでもなんら問題はない。
前例があった気もするが、せっかくだから、詰みと必死の問題をバラバラに入れても面白かったかもしれない。それだけで、「詰みも必死もある」「詰みがある」「必死がある」「詰みも必死もあるが必死をかけると詰まされる」と選択肢が広がり、一気に有段者向けの問題となるだろう。「詰みの問題」と言われるから詰みを考え、「必死問題」と言われたから必死を読む、というのは、やはり実戦の読み方とは違う。
対象棋力は有段者ではないようなので、こんなことを言ってもなんなんだが。

前例があるタイプの本だし、買って読むほどのものかどうかは疑問だ。かといって立ち読みで済ますにはそこそこ骨がある。図書館で借りられるようならそれがベストだろう。

作成日:2004.04.06 
終盤・寄せ

羽生の法則 2 金銀の手筋

羽生の法則 Volume2
著者 :羽生 善治
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2004-04-01
価格 :¥217(2024/09/01 09:47時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

羽生の手筋本シリーズ第2弾。
今度は金銀にスポットが当てられている。これで玉金銀だったらコバケンになっていたところだ(笑)。
本の作りは、前回と同じく見開き。

白砂の評価を見ていただければ判るが、今回の本は前回よりもかなり簡単になっている。
例えば銀では、金のナナメ後ろから引っ掛ける筋だとか、△2四玉△1四歩△2三歩△3四歩の形で▲2二銀と打つ筋。金だったら△6七金に▲7九金と千日手で粘るとか、飛車打ちに金ではじくとか。もちろんある程度高級な(?)手筋も紹介しているが、基本はこのくらいの難易度の解説が続く。
初段の人が力をつけるために読むのではなく、初段になるために読む、という本だと思う。

歩の手筋の場合、数が多いということもあって、さらっと紹介するだけでも結構なボリュームになるし初段くらいの人でも「ためになる」のだが、金銀の手筋というのはさほど多くないので、どうしても内容が基本的なものになりがちだ。それが、同じ編集方針でありながら、本書が前書よりも対象棋力が低くなっている原因だろう。
もちろん、棋力の低い人を対象にしているからいい本ではない、ということではない。愛棋家全体の棋力の底上げも重要なことだ。本書はそれに十分貢献できる良書である。

もっとも、羽生には高段者向けの本を書いて欲しいなぁ……という欲求もある。
本書を「棋士・羽生善治」が書く意味は、棋書という観点で見ればほぼ100%ない。売上がよくなる(だろう)、という「羽生ブランド」としか思えない。
仕方がないのかもしれない。でも、ちょっとなぁ……と思ってしまう。

作成日:2004.04.05 
手筋

羽生の法則 1 歩の手筋

羽生の法則 Volume1
著者 :羽生 善治
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2003-12-01
価格 :¥1,430(2024/09/01 06:55時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『羽生の頭脳』を彷彿とさせる、なんか大作の予感がするタイトルだ。
1.と連番がついていることからも今後どんどん出版されていくことはほぼ確実。谷川の『光速の寄せ』のような、万人に愛されるシリーズになって欲しい。

内容としてはタイトル通りとしか言いようがなく、歩の手筋をいろいろ集めている。『歩の玉手箱』のような本を想像していただければほぼ間違いではない。
よく整備され、見開きで1手筋という読みやすい形式にした努力も買う。級位者でもラクに読みこなせると思うし、電車の中や待ち時間にさっと1ページ、という使い方もできるだろう。
ただ、実際に手を取ってみると(すんません立ち読みです)、そんなに「系統立てて」整理している感じがしない。
分類はされている。それは間違いない。ただ、いろんな手筋が雑多に混じっている気がする。

それと、白砂が『将棋は歩から』に心酔しているからかもしれないが、何の前置きや解説もなしに、いきなり手筋そのものの解説をして、それで級位者が判るのだろうかという危惧も持っている。
『将棋は歩から』では、歩の手筋が項目ごとに分類されており、項の始めに数ページを割いてこの手筋はどういうもので、どういう効果があり、どういった局面で使うかという総論が入る。続けて部分図で手筋のメカニズムを解説し、そして最後に実戦譜でその効果を確かめる、という構成になっている。
学術書のような構成で、白砂は法学部だったのだが法律書ではこういった方法が取られることが多い。これなら、何も知らない人でもスッと理解できる(文章の難易は別にして)。
ところが、カタログ的な本の場合、始めの解説もなくいきなり手筋のメカニズムの解説に入る。そのため、「そういう手筋があるな」というのは理解できても、「それをいつどこでどう使えばいいのか」という肝心の点については理解が得られないのではないか、という疑問を持ってしまうのだ。

例えば、プログラムリファレンスや構文辞典といった本がある。プログラムの命令文やメソッド・プロパティなどを列挙して簡単な解説を加えるものだ。
それらの本を読んで初心者がプログラミングできるか、といったら、まずできない。そのような使い方をする本ではないからである。こういった本は、「あ、あれなんだっけ?」という時の確認に使う本だからだ。
それと同じように、本書もまた、完全な初心者が読む本ではないと思う。むしろ、3、4級から2段くらいまでの人が、棋書などで一度は目にしたことがある形を再確認する本だ。

使い方としては、級位者はまず『将棋は歩から』を読みましょう。
きっと難しいです(笑)
けれど、教科書を読むものだと思って頑張って最後まで読みましょう。読めばいいです。理解する必要はありません。
そしてそのあと、本書を読みましょう。
「なんで『将棋は歩から』ってのはこんな簡単なことを難しく書くんだよばかやろう
と思えるでしょう(笑)。

本書は、こういうように「一度見たことがある手筋を、判りやすく提示する」本だ。

逆に、初段前後の人だと、「似たような形での新手筋」を拾えるかもしれない。
歩の手筋はバリエーションに富んでいる。一口に垂れ歩の手筋といってもさまざまな効果や狙い筋がある。垂れ歩、という言葉や効能は知っていても、その全てを知っているわけではないかもしれない。
そんな人に、手軽に、「あ、こんな手もあるのか!」と思わせてくれるかもしれない(笑)
カタログ的で読みやすい、というのは、そういうメリットもある。
というか、おそらく本書のメインターゲットは、そのくらいの棋力の人だと思われる。だからこそ、敢えて分類はしているが整理していない雑多な形式にしているのだろう。

作成日:2004.01.10 
手筋

将棋ガイドブック 日本将棋連盟公式

将棋ガイドブック: 日本将棋連盟公式
著者 :日本将棋連盟開発課
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2003-11-01
価格 :¥2,537(2024/08/31 16:35時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

書名に「ガイドブック」とあるが、ルールブック+αといった内容に近い。
基本的以前やん、という項目まできっちりと解説したルールと、将棋用語集、ちょっとした歴史ガイドやトリビア的な章まで、とりあえず一度は読んでみて損はないと思う。もっとも、あのルールの部分を初心者が読むとは思えないんで、どっちかと言うと細っかいところを突っついたりこねくったりして楽しむ人用だとは思う。まぁ、白砂もそうなんだけどね(笑)。

勤め先の図書館では、5冊購入して全ての分館に配布した。そういう感じで、辞書的に一冊欲しいな、という本である。学校図書館などに置いてくれると嬉しい。
将棋連盟に寄付させる、というのはムリなんだろうな……。
現在の学校図書館の予算はそれはもうお粗末なもので、数十万円しかないところも決して珍しくはない。そんなところで、わざわざこの本を買ってくれるとはとうてい思えない。
だからこそ、将棋連盟には少し考えて欲しいんだけどなあ……(関係ない話で申し訳ない)。

作成日:2003.12.24 
その他の総合
広告