穴熊

下町流三間飛車 居飛穴攻略の新研究

下町流三間飛車: 居飛穴攻略の新研究 (振り飛車の真髄 1)
著者 :小倉 久史
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2006-04-01
価格 :¥430(2024/08/31 14:33時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

三間飛車による居飛車穴熊退治を題材にした、著者の処女作。いくつか共著はあったと思うが、単独ってのは記憶が正しければなかったと思う。あったらごめんなさい。(追記:向かい飛車の本がありましたね。失礼しました)

玉頭銀や▲7八金型石田流などの珍しい形も扱っているので、三間飛車党は最低一度は目を通しておいた方がいいだろう。本書と中田功XPとを自在に組み合わせられるようになれば、居飛車穴熊は怖くなくなるはずだ。

少し都合のいい変化が多い──というか、居飛車穴熊側の駒組み手順が安易という気がしなくもないが、実戦では生じやすい形ではあると思う。
3段とか4段クラスであれば、攻めている形が多いので十分通用するだろう。ガンガン捌く三間飛車の醍醐味を感じて欲しい。

作成日:2006.07.08 
穴熊

四間飛車破り 居飛車穴熊編

四間飛車破り 【居飛車穴熊編】 (最強将棋21)
著者 :渡辺 明
出版社:浅川書房
出版日:2005-06-30
価格 :¥1,540(2024/09/01 06:28時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

渡辺竜王の四間飛車破りシリーズ第2弾。今度はイビアナ編である。
著者自身、居飛車穴熊のスペシャリスト(現在のプロはほとんどそれしか指さないという話もあるが……)でもあり、期待の一冊だ。

内容は、4枚穴熊(!)から始まって、振り飛車側の工夫により4枚穴熊が組めなくなったこと、そのため居飛車穴熊側は▲6六歩と止め、別の形を目指すことなど、まずは歴史の部分から入っている。
続けて、優秀な松尾流穴熊を解説。この形に組むことが居飛車穴熊側の狙いだ。
そして、松尾流に組もうとする居飛車穴熊側と、組ませまいとする振り飛車側の攻防が、最新形をまじえて紹介される。

具体的な振り飛車側の対策として、本書では△4四銀型、△3二銀型、△5四銀型の3つを挙げ、それぞれの居飛車穴熊側の対抗策を解説している。
著者自身がイビアナ使いということもあってか、結論としては若干居飛車穴熊有利となっている。もちろんこれは作ったウソ手順ではなく、実際のプロ将棋の現状がそうなのだろう。少し古い話だが、『振り飛車ワールド』の千葉解説などでも、松尾流に対する決定打はなかった。

藤井がちょうど『四間飛車の急所』を書いていることもあり、実は重複するのではないかと心配していた(笑)。しかし、本書では藤井システムはほとんど語られなかった。うまく住み分けを考えたようだ(笑)。
編集も丁寧で、非常に読みやすかった。章末の練習問題はいらないんじゃないか……とも思ったが、これは図面つきの目次と考えれば非常に便利に使える。

浅川書房らしい名著だと思う。

作成日:2005.07.17 
穴熊

東大将棋ブックス三間飛車道場2 居飛穴vs4三銀

三間飛車道場 第2巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-08-01
価格 :¥1,430(2024/09/01 06:56時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

三間飛車道場の第2弾は4三銀型。形的には石田流の将棋になる。4三銀はやはり石田流と相性がいい。

内容としては、石田流に組んだあと△5一角から△7三角とする形と、△4ニ角から△6四角とする形。居飛車穴熊側が▲5六歩と突いた手を咎めるために△5四銀と出る形。それと、向かい飛車に変わって飛車先を逆襲していく指し方の4つである。

△7三角なんて言うから、てっきり楠本流でも紹介するのかと思ったら、普通に銀冠に組むだけだった。どちらかと言うと大山流という感じだ。△4ニ角から△6四角とする形にも新鮮味はあまりない。△5四銀からの玉頭銀もよくある形ではあるし、向かい飛車については『島ノート』で十分にも思える。
……と、正直あまり新鮮さは感じなかったのだが、既存の定跡を網羅的に収録する、というのがこのシリーズの目的なのだろうから、これはこれで仕方がない気がする。特に三間飛車はあまり定跡が整備されていない印象があるので、まずは舗装工事から、ということなのだろう。

編集的にも、一応、初めての試みがいろいろなされている。「黄色本」で懐かしい定跡百科シリーズで採用した形勢判断記号だとか、図にいろいろ注釈を入れるだとか。
読みこむのではなく辞書として使う場合、これらは非常に役に立つだろう。本文を読まなくてもその形のよしあしがパッと判るから。
また、最終ページには、まとめのような格好で各章の基本図が載っている。しかし各章ということは全部で4つなわけで、たった4つの図面を載せてどれほど役に立つのか……? と思ってしまう。むしろ各章ごとに1ページ4図面くらいにしたら、もう少し目次的な使い方ができるかもしれない。

とりあえずしばらくは三間飛車道場しか出さないそうなので、少しずつでもいいから改良して欲しい。
そう言えば、各章に入る前のオープニングの解説部分が、図面3段組ではなく2段組になっていた。これ、そんなにたいした事がないように見えるが、見栄えが全然違う。これは個人的になかなかヒットだった。

作成日:2004.09.02 
穴熊

東大将棋ブックス三間飛車道場 1 居飛穴vs5三銀

三間飛車道場 第1巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-06-01
価格 :¥600(2024/09/01 14:17時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

東大将棋シリーズが今度は三間飛車に進出してきた。
ここのところプロの三間飛車の採用も増えているようだし、アマチュアでは石田流を含めていまだに人気戦法の一つである。待っていた人も多いんじゃないだろうか?

で、第一巻はというと……

古いよ

今時真部流ってなんだよ……。
いや、中田功も本を出してるけど、やっぱ中田といえばXP。この△6四銀型は真部流だと思う。で、この指し方が出たのは昭和の頃。なにしろ『居飛穴なんかコワくない』に出ているのだから相当昔だ。
いまさらこんなこと解説されてもなぁ……。

まぁ、古い定跡をさらっておくのは大事なことだし、ひょっとすると新手もいくつか入っているのかもしれない。しかし、どうにも読んでいて新味がなかった。
どうせだったら、最近流行りの急戦定跡とか、XPとか、石田流とか、そういう方面で攻めて来てくれた方がよかった。厭な表現を使えば、本書は「とりあえず出した」感が強い。

余談を一つ。
真部流の場合、振り飛車が玉側の桂を跳ねるか跳ねないかが意外と悩ましかったりする。△8五桂の端攻めがあるために跳ねておきたい気がするが、前出の『居飛穴なんかコワくない』では、玉が弱くなるし、それより重要な手があるので跳ねない方がいい、となっていた。
ところが、誰だったか忘れたが、ある学生強豪は桂を跳ねる派だったらしい。
氏によると、まず真部流に組んで桂も跳ねる。で、機を見て△8五桂と端攻めに桂を跳ね出し、空いた7三に△7三銀と引いて玉を固めるんだそうな。この4枚美濃は相当固いので、穴熊にも攻め合い負けしないらしい。
白砂が学生の頃に又聞きで聞いた話なのだが、△7三銀という手の感触は今でも覚えている。
なんの参考になるか判らないが、ま、余談ということで(笑)。

作成日:2004.07.01 
穴熊

杉本流端歩位取り穴熊

杉本流端歩位取り穴熊 (プロの将棋シリーズ 8)
著者 :杉本 昌隆
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-04-01
価格 :¥394(2024/08/31 15:52時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

なんだかよく判らないタイトルかもしれないが、相穴熊戦限定の振り飛車の戦法である。
藤井システムっぽい感じで最初のうちに端を突き越し、相手の居飛車穴熊を見てこちらも穴熊に囲う。そうすると、端を突き越しているため、振り飛車側にだけ端攻めの権利がある。だから振り飛車よし、という考え方だ。言われてみればそのような気もするし、端歩を突き越して穴熊ってのは違和感があるってのもあるし、そもそもそんな下品な戦法ってどーよ? という気もする(笑)。
理屈としては判るので、振り穴党は試してみるのもいいかもしれない。

本の内容の方は、まだまだ未知の分野ということもあってかあまり詳細な解説はされていない。まぁ、形とか狙い筋を覚えて、あとは実戦で感覚を磨いて下さい、ということなのだろう。具体的に有利になる手順があるわけではないので、変化手順が少ないのは仕方がないだろう。

居飛車穴熊vs振り飛車穴熊は、飛車先の歩を突き越している関係で居飛車穴熊有利、という説がかなり以前からあった。もちろん振り飛車側も△6二飛と回ったりいろいろと工夫してきたのだが、そういう手順としての有利さを求めるのではなく、「飛車先を突き越して攻めがあるから有利、って言うんなら、端歩を突き越している形は振り穴有利ぢゃん」といった感じの「局面の見方としての有利さ」を求めた戦法はなかったように思う。
一手損角換わりや二手損四間飛車にも通ずる、面白い戦法だと思う。 そういう意味でも、今後の発展が楽しみだ。

作成日:2004.05.26 
穴熊
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