奇襲・変態戦法

必殺! かまいたち戦法

必殺かまいたち戦法: 英春流のすべて (三一将棋シリーズ)
著者 :鈴木 英春
出版社:三一書房
出版日:1988-07-01
価格 :¥688(2024/08/31 16:01時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

言わずと知れた英春流「かまいたち」の解説書である。
このシリーズは好評だったらしく、この後も『必殺! 19手定跡』『必殺! 右四間』『英春流将棋問答』と続刊が続々出ている(この他にあと2冊出ている)。それだけ人気があるのだろうか。実際、プロにも英春流で勝ったと聞くし、これは「立派な変態戦法」だろう。

内容の方も英春流の詳しい説明がされていて悪くはないのだが、定跡講座ではなく実戦譜を使って解説しているというのが珍しい。わざわざ投了まで解説しなくてもとも思うが、逆に「~にて先手良し」でおしまいというのも不親切な気がするので、どちらがいいのかは微妙ではある。個人的にはあまり好きでない形式であるが。

また、図面の載せ方も難がある。できれば、図面は棋譜の始まりであり、棋譜の最後は次の図面であってほしい。その方が棋譜を目で追えるからである。本書ではそれが逆になって、棋譜の終わりが図面になっている。これはなんとかしてほしかった。もっとも、これについては姉妹書(?)の『公望流メリケン向飛車戦法』でもそうなっているので、出版社である三一書房の方針なのかもしれない。

もっと言うと、個人的に英春流そのものが好きではないので、なんでこの本を買ったのかがよくわからない(笑)。ただ、アマではいまだに指されている戦形ではあるので、自分なりの対抗策を確立させる意味でも読んではおきたいところだ。

私は絶対この形にはならないので、対抗策を考えたことすらないのだが(笑)。

作成日:2001.07.20 
奇襲・変態戦法

超阪田流角命戦法

超阪田流角命戦法: 阪田流向かい飛車を超えた新戦法 (森内優駿流棋本ブックス)
著者 :木屋 太二
出版社:主婦と生活社
出版日:1999-09-01
価格 :¥1,464(2024/09/01 00:25時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

『筋違い角と相振り飛車』の著者が、再び変態戦法を紹介してくれた。今度は阪田流の変形バージョン。というか、阪田流に見せかけた戦法である。
序盤の2二飛3三金型(阪田流は後手用の戦法)から、△4四歩△4二銀△4三銀△3三桂として△3二金と引く。金を上がったり下がったりしているので手損はしているが、この綺麗な形を作ってしまえば優勢という大局観である。この後、後手番にもかかわらず先手の飛車めがけて攻めまくる。決まれば実に痛快な戦法だ。

こちらの構想を外された場合についてのフォローも、あるていどはされている。単純な奇襲ではないので有段者の知識が必要だが、指しこなせれば面白いだろう。

作成日:2001.07.20 
奇襲・変態戦法

奇襲大全

奇襲大全 新版
著者 :森 ケイジ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:1999-03-01
価格 :¥200(2024/08/31 22:23時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

他に解説のしようがないが、変態戦法ばかりを集めた本である。

それぞれの戦法には味があるが、残念にことに変化手順の説明に乏しい。カタログとしての機能を優先させたためだろうから仕方がないのだが、実際に載っている戦法を使おうという場合には困るかもしれない。その辺が「伝説」シリーズとの違いである。

少し話が変わるが、昔、将棋部の後輩が「強豪と対戦する時、一発勝負で奇襲を指すのはよくない」と会報に書いていた。その文章を読むとずいぶんと私に気を使っているようで、というか私に文句を言われないようにいろいろと予防線を張っている様が読み取れて笑えるが、私もまったく同じ意見である。相手が強豪だからこそ、自分が普段指している、自分が一番信頼を置いている戦法にすべてを委ねるべきではないだろうか。
そういう意味で、私はこの本を「ここに載っている将棋を指せ」と薦めるわけではない。むしろ、その対策としてこの本を活用すべきである。そうしてこそカタログ的な本書の構成も生きるというものだろう。

なお、この本はB6版となって改編されている。内容は薄くなったがおかげでより一層カタログっぽくなっていて、かえってお買い得かもしれない。

作成日:2001.07.20 
奇襲・変態戦法

角頭歩戦法

角頭歩戦法 (マン・ツー・マン・ブックス 将棋奇襲 1)
著者 :米長 邦雄
出版社:山海堂
出版日:1993-08-01
価格 :¥497(2024/09/01 14:20時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

米長邦雄著(たぶんホントに書いてはいないと思う)の奇襲戦法シリーズ第1弾。

▲7六歩△3四歩▲8六歩という仰天の出だしから、飛車を6筋に回って軽くさばく戦法である。7七桂戦法と似ている形だが、7七桂戦法は6筋の歩は位と考えるので交換はしない。角頭歩戦法はあくまでも軽いさばきが身上の戦法である。
とにかく図面が多いのがこのシリーズの特徴で、ほぼ2手ずつ、ときには1手ごとに図面が入る。1冊まるごと図面だらけである。
これをうざったいと感じるか盤駒なしで読めるのでラクだと考えるかは人それぞれだろうが、棋書を盤駒とともに読んだことのない私には非常に読みやすかった。

都合のいい指し手に終始する場面もなくはないし、ひどい時には実戦譜を1局紹介しただけで「……よって先手よし」となっている場合もあるが、まぁ仕方がないだろう。それよりもコンセプトを伝えることに重点が置かれているので、形を覚えればそれで十分である。

指してみるのも面白いかもしれないが、しょせんは奇襲戦法なので高段者には通用しないと思った方がいい。

作成日:2001.07.20 
奇襲・変態戦法

新鬼殺し戦法

新鬼殺し戦法 (マン・ツー・マン・ブックス 将棋奇襲 2)
著者 :米長 邦雄
出版社:山海堂
出版日:1993-08-01
価格 :¥377(2024/08/31 16:01時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

米長邦雄著の奇襲戦法シリーズ第2弾。
くどいようだが、ホントは本人が書いてはいないと思う。

有名な「鬼殺し戦法」を下敷きにして、早石田を組み込んだような指し方をする。具体的な手順は▲7六歩△8四歩▲7五歩△8五歩▲7七角△3四歩▲7八飛△7七角成▲同桂(!)である。
なんだか八方破れのような形だが、これが意外と大丈夫だったりする。本書ではこの局面から、

  • △8六歩
  • △4五角
  • △5四角
  • △7六角
  • △6二金

の5つの指し手を挙げ、その対処法を解説している。

前著に続き図面も多く読みやすい。また、良くも悪くも綱渡りの指し手が続くので非常にウソ臭いが(笑)、参考になる攻め筋もあり、初段前後の人には楽しめるだろう。
「奇襲戦法」なだけに正しく受けられると一発で不利になってしまうが、面白い指し方ではある。できれば自分なりに吸収して指しこなしてみてほしい。

作成日:2001.07.20 
奇襲・変態戦法
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