定跡

角交換振り飛車

角交換振り飛車 (スーパー将棋講座)
著者 :畠山 成幸
出版社:創元社
出版日:2005-07-01
価格 :¥900(2024/09/01 09:45時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

後手から角を交換して△4二飛とし、機を見て向かい飛車に振り直す、いわゆる「2手損四間飛車」を解説した本。
サブタイトルのネットで流行の真偽は判らないが、白砂の記憶では『奇襲大全』に少し載っていた程度で類書はほとんどなく、初めての解説書といっても過言でないと思う。

『奇襲大全』では四間飛車穴熊穴熊型のみが解説されていたが、本書では高美濃型も紹介されている。また、角交換拒否のタイプも紹介されているので、とりあえず指してみるには十分な情報が揃っていると言える。

個人的な事情を言うと、7七桂戦法の変化で似たような形になる(△6四歩型)ので、出版後すぐに買った。そして、すぐに「そうだこれは創元社だ……」と(笑)。
指し初めには有効だが、指しこなすには本書だけではちょっとキツい。実戦で揉まれる必要があるだろう。

作成日:2006.01.08 
四間飛車

二枚落ち裏定跡

二枚落ち裏定跡 (パワーアップシリーズ)
著者 :所司 和晴
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2005-10-01
価格 :¥785(2024/09/01 06:52時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「定跡伝道師(ってぇキャッチフレーズもどうかと思うが……)」所司が出した2枚落ちの解説本。2歩突っ切りと銀多伝を紹介した後、5五歩止めや△6三銀の多伝殺し、△3二金△2二銀型といった上手の裏定跡を紹介している。

個人的には最後の▲3六銀型が目新しい程度で、その他の裏定跡は『定跡なんかフッ飛ばせ』などで目にしたことがある。そんなに裏……という感じがしなかったのだが、白砂が定跡ヲタであることを考えると正しい感想かどうか自信がない(笑)。

もっと言ってしまうと、それ以前に駒落ちを指す機会そのものがあまりないので、定跡ヲタ以外のどの層に購買層があるのかがよく判らない。

作成日:2005.10.26 
駒落ち

新・振り飛車党宣言! 1

新・振り飛車党宣言! 1
著者 :佐々木 慎
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2005-09-01
価格 :¥202(2024/09/01 21:34時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

20世紀の頃(と書くとすごい昔に感じる(笑))、『振り飛車党宣言』というシリーズがあった。若手が振り飛車の最新研究を披露するという試みで、個人的には実戦譜が多く研究が薄いのであんまりだったのだが、それでもなかなか好評だったと思う。
今回は「21世紀の若手」とも言うべき面々が、最新研究を披露してくれている。

内容は昔のままで、一人ずつ2本の講座、自戦記、次の一手、実戦譜という構成。
今回の講座は、

  • △6四銀、△5三銀左の急戦(▲4六歩と突いている形=▲4六角の反撃がない分居飛車が得)
  • 藤井システムっぽい形からの居飛車穴熊、ミレニアム対策
  • 居飛車穴熊(含松尾流)vs△4四銀型

といったところ。
急戦対策は必要だし、ミレニアム対策はあんまり棋書も多くないし、vs松尾流は渡辺本を超えてる部分もある(ちょっとだけ言うと、△4五飛▲2四飛に、△4九飛成としないで端を攻める。この手は渡辺本に載っていない)ので、四間飛車党であれば迷わず買い。居飛車党も、四間飛車側の手の内を知るという意味で読んでおいてもいいだろう。
ただ、前シリーズを踏襲しているせいもあって、解説自体は少ないし、そもそも基本定跡は扱っていない。あくまでも基礎が判っている人が読む本になっている。そういうところを合わせて考えると、初段くらいまででは少し読みづらいかもしれない。

作成日:2005.10.26 
振り飛車全般

駒落ち新定跡

駒落ち新定跡: すべての駒落ちをひとつの戦法で戦う、新発想の定跡書! (スーパー将棋講座)
著者 :高橋 道雄
出版社:創元社
出版日:2005-05-01
価格 :¥505(2024/08/31 17:15時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「面倒な定跡を覚えるより、平手感覚で指していった方が駒落ちは簡単!」というコンセプトで、平手定跡で駒落ちを指してしまおう、という本。
矢倉、四間飛車、三間飛車穴熊の3つの戦法が解説されている。

6枚落ちで三間飛車穴熊というのはどーなのよ? と言う気もするが(笑)、内容がどうこうというより、そもそも駒落ちがあまり指されていない現状で、どれだけ本書の価値があるか? という疑問がまず先に立ってしまう。
『定跡なんかフッとばせ』でも『最強の駒落ち』でも、ベースは駒落ち定跡だった。あくまでも、「既存の定跡内での勝ちやすさ」を追求するものだったわけだ。本書の場合は、平手の陣形に組んでから攻めるため、必要以上に玉が固い。
駒落ちのよさ、というか意義は、あくまでも「判りやすい形での寄せ方攻め方受け方を習得する」ことにあるはずだ。平手では上手方はかなり手を抜かないと勝負形にはならないし、そもそも寄せ形を作るまでの手数がかかってしょうがない。駒落ちは、そのプロセスをすっ飛ばして、いきなり「その部分」に行ける。だからこそ勉強になるのだ。
本書の指し方は優秀だ。それは間違いない。おそらく下手はかなり楽に勝つことができるだろう。なにしろ、攻撃力のない上手相手に自玉は矢倉や美濃や穴熊なんだから(笑)。
しかし、それでは駒落ちを指す意味がない。間違えたら反撃され潰され、「こう指しちゃいかん」と悟ることが駒落ち将棋の意義なのだ。

駒落ちを定跡通りに指す必要はないと思う。定跡を覚えることが最終的な目標ではないのだから。
ただ、2枚落ちくらいまで戦力に差がある場合、本書の指し方はなんの勉強にもならない(極論だが)と思う。
で、そういう観点で改めて本書を見た場合、戦法そのものに面白みがないし、自玉に対する憂いがほとんどないため手順にコクがない。となると、本書を「読む」層はどこなんだという根本的な問題が沸いてくる。

と、ここまで落としといてからフォローを入れるのもなんだが(笑)、戦法そのものは優秀だし、勝ちたいのであればこういう戦法を選択するのも悪くない。
その昔、大学の将棋部の合宿で駒落ちが指されていた頃、4枚落ちに対して四間飛車穴熊にして勝っている人がいた。リーグ戦の1勝をほしい、という状況でなら、そういうのもアリだと思う。
……上手の先輩はかなり怒りながら指してたけど(笑)。

作成日:2005.07.17 
駒落ち

四間飛車破り 居飛車穴熊編

四間飛車破り 【居飛車穴熊編】 (最強将棋21)
著者 :渡辺 明
出版社:浅川書房
出版日:2005-06-30
価格 :¥1,540(2024/09/01 06:28時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

渡辺竜王の四間飛車破りシリーズ第2弾。今度はイビアナ編である。
著者自身、居飛車穴熊のスペシャリスト(現在のプロはほとんどそれしか指さないという話もあるが……)でもあり、期待の一冊だ。

内容は、4枚穴熊(!)から始まって、振り飛車側の工夫により4枚穴熊が組めなくなったこと、そのため居飛車穴熊側は▲6六歩と止め、別の形を目指すことなど、まずは歴史の部分から入っている。
続けて、優秀な松尾流穴熊を解説。この形に組むことが居飛車穴熊側の狙いだ。
そして、松尾流に組もうとする居飛車穴熊側と、組ませまいとする振り飛車側の攻防が、最新形をまじえて紹介される。

具体的な振り飛車側の対策として、本書では△4四銀型、△3二銀型、△5四銀型の3つを挙げ、それぞれの居飛車穴熊側の対抗策を解説している。
著者自身がイビアナ使いということもあってか、結論としては若干居飛車穴熊有利となっている。もちろんこれは作ったウソ手順ではなく、実際のプロ将棋の現状がそうなのだろう。少し古い話だが、『振り飛車ワールド』の千葉解説などでも、松尾流に対する決定打はなかった。

藤井がちょうど『四間飛車の急所』を書いていることもあり、実は重複するのではないかと心配していた(笑)。しかし、本書では藤井システムはほとんど語られなかった。うまく住み分けを考えたようだ(笑)。
編集も丁寧で、非常に読みやすかった。章末の練習問題はいらないんじゃないか……とも思ったが、これは図面つきの目次と考えれば非常に便利に使える。

浅川書房らしい名著だと思う。

作成日:2005.07.17 
穴熊
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