定跡

新・振り飛車党宣言! 2

新・振り飛車党宣言! 2
著者 :千葉 幸夫
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2005-12-01
価格 :¥269(2024/08/31 15:06時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

新シリーズの第2作目。イキのいい若手が振り飛車の解説をするという体裁は今回も同じである。

講座の内容は、

  • 居飛車穴熊松尾流に対して中飛車で牽制(△4四銀型も少し)。先後両方
  • 先手藤井システム▲1六歩止め▲4六歩型
  • ▲4七銀vsゴキゲン中飛車
  • 後手三間飛車急戦
  • 居飛車穴熊vs△3二金型三間飛車

名前は白砂が勝手につけているが、目次をそのまま転記するよりは判りやすいと思う。

居飛車穴熊に中飛車で対抗というのは、ミレニアム対策にも通じる指し方で、対ミレニアムとしては藤井本があった。陣形はあれとほぼ同じである。非常に綱渡り感が強いが、ギリギリのところを通していかないといけないくらい松尾流が優秀ということなのだろう。新人王戦で結果が出せたら本書に花を添えられたのだが、そこがちょっと残念だった(笑)。
▲1六歩型の藤井システムは、端の一手を▲4六歩に回して、早めに攻めようという形だ。端攻めはないが、もともと▲4五歩から攻めるのが本流でもあるし、ということなのだろう。これで潰せたら対穴熊は楽勝だよなぁ……などとちょっと疑いの目で見ているのだがどうだろうか? この辺りは実際に自分で確かめて欲しい。
ゴキゲン中飛車と三間飛車急戦は、なんかどこかで見たような解説で、そんなに新味はなかった。特に三間飛車は、コーヤン流とか加藤本などでフォローが利く内容だと思う。
最後の△3二金型石田流は、立石流とか7七桂戦法の形に組んで、早めに居飛車穴熊にプレッシャーをかけよう、という指し方。ちょっとアマチュアチックで、これはこれで面白い指し方だ。ただ、穴熊側がそこまでじっとしてるかという点は非常に気になる。これは穴熊党側の評価を聞いてみたい。

巻末の棋譜に解説をつけたり、次の一手を掲載譜とは違う形から取ったりと、前著に加えていろいろ工夫している。その努力は買いたい。「振り飛車」という大きいくくりのため少しバラ売り感はあるが、それは仕方がないだろう。
基本定跡を押さえている有段者であれば、買って損はないと思う。

作成日:2006.01.08 
振り飛車全般

二枚落ち裏定跡

二枚落ち裏定跡 (パワーアップシリーズ)
著者 :所司 和晴
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2005-10-01
価格 :¥785(2024/09/01 06:52時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「定跡伝道師(ってぇキャッチフレーズもどうかと思うが……)」所司が出した2枚落ちの解説本。2歩突っ切りと銀多伝を紹介した後、5五歩止めや△6三銀の多伝殺し、△3二金△2二銀型といった上手の裏定跡を紹介している。

個人的には最後の▲3六銀型が目新しい程度で、その他の裏定跡は『定跡なんかフッ飛ばせ』などで目にしたことがある。そんなに裏……という感じがしなかったのだが、白砂が定跡ヲタであることを考えると正しい感想かどうか自信がない(笑)。

もっと言ってしまうと、それ以前に駒落ちを指す機会そのものがあまりないので、定跡ヲタ以外のどの層に購買層があるのかがよく判らない。

作成日:2005.10.26 
駒落ち

新・振り飛車党宣言! 1

新・振り飛車党宣言! 1
著者 :佐々木 慎
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2005-09-01
価格 :¥202(2024/09/01 21:34時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

20世紀の頃(と書くとすごい昔に感じる(笑))、『振り飛車党宣言』というシリーズがあった。若手が振り飛車の最新研究を披露するという試みで、個人的には実戦譜が多く研究が薄いのであんまりだったのだが、それでもなかなか好評だったと思う。
今回は「21世紀の若手」とも言うべき面々が、最新研究を披露してくれている。

内容は昔のままで、一人ずつ2本の講座、自戦記、次の一手、実戦譜という構成。
今回の講座は、

  • △6四銀、△5三銀左の急戦(▲4六歩と突いている形=▲4六角の反撃がない分居飛車が得)
  • 藤井システムっぽい形からの居飛車穴熊、ミレニアム対策
  • 居飛車穴熊(含松尾流)vs△4四銀型

といったところ。
急戦対策は必要だし、ミレニアム対策はあんまり棋書も多くないし、vs松尾流は渡辺本を超えてる部分もある(ちょっとだけ言うと、△4五飛▲2四飛に、△4九飛成としないで端を攻める。この手は渡辺本に載っていない)ので、四間飛車党であれば迷わず買い。居飛車党も、四間飛車側の手の内を知るという意味で読んでおいてもいいだろう。
ただ、前シリーズを踏襲しているせいもあって、解説自体は少ないし、そもそも基本定跡は扱っていない。あくまでも基礎が判っている人が読む本になっている。そういうところを合わせて考えると、初段くらいまででは少し読みづらいかもしれない。

作成日:2005.10.26 
振り飛車全般

四間飛車破り 居飛車穴熊編

四間飛車破り 【居飛車穴熊編】 (最強将棋21)
著者 :渡辺 明
出版社:浅川書房
出版日:2005-06-30
価格 :¥1,540(2024/09/01 06:28時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

渡辺竜王の四間飛車破りシリーズ第2弾。今度はイビアナ編である。
著者自身、居飛車穴熊のスペシャリスト(現在のプロはほとんどそれしか指さないという話もあるが……)でもあり、期待の一冊だ。

内容は、4枚穴熊(!)から始まって、振り飛車側の工夫により4枚穴熊が組めなくなったこと、そのため居飛車穴熊側は▲6六歩と止め、別の形を目指すことなど、まずは歴史の部分から入っている。
続けて、優秀な松尾流穴熊を解説。この形に組むことが居飛車穴熊側の狙いだ。
そして、松尾流に組もうとする居飛車穴熊側と、組ませまいとする振り飛車側の攻防が、最新形をまじえて紹介される。

具体的な振り飛車側の対策として、本書では△4四銀型、△3二銀型、△5四銀型の3つを挙げ、それぞれの居飛車穴熊側の対抗策を解説している。
著者自身がイビアナ使いということもあってか、結論としては若干居飛車穴熊有利となっている。もちろんこれは作ったウソ手順ではなく、実際のプロ将棋の現状がそうなのだろう。少し古い話だが、『振り飛車ワールド』の千葉解説などでも、松尾流に対する決定打はなかった。

藤井がちょうど『四間飛車の急所』を書いていることもあり、実は重複するのではないかと心配していた(笑)。しかし、本書では藤井システムはほとんど語られなかった。うまく住み分けを考えたようだ(笑)。
編集も丁寧で、非常に読みやすかった。章末の練習問題はいらないんじゃないか……とも思ったが、これは図面つきの目次と考えれば非常に便利に使える。

浅川書房らしい名著だと思う。

作成日:2005.07.17 
穴熊

相振り革命 3

相振り革命 3
著者 :杉本 昌隆
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2005-05-01
価格 :¥200(2024/09/01 09:43時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

前2冊の『相振り革命』『新相振り革命』が非常に好評だった著者の相振り解説本第3弾。
最近、相振り飛車が流行しているので、そういう意味でもタイムリーな本だ。

内容は△3三角戦法の周辺がほとんど。矢倉に組む、組ませないというかけひきである。完全に相振りの主流は矢倉と美濃になった感がある。もう金無双はほとんどない(実際にそういうわけではないことは本書を読めば判る)。
端歩をどうすべきかとか囲いの強弱といった「知りたい話題」や、相振り阻止の▲8六角、糸谷流などの奨励会員の得意戦法まで、かなりいろいろ網羅されている。
その代わり、基本的な相振りの知識についてはほとんど語られていない。まず前2冊で基礎を固めて、有段者が応用編として本書を読む、といった体裁になっている。

非常に濃密な内容で、理解するのに多少時間がかかるかもしれない。白砂の場合は理解というよりは古い感覚を取っ払うのに苦労させられた(笑)。
しかし、本書を読めば最新の相振り感覚が身につくことは間違いない。有段者の相振り党は絶対に買い。特に毎コミは足が速い(すぐ品切れ絶版になる)から、読まなくてもいいから手に入れておくほうがいいと思う。
逆に初段クラスまでであれば、本書に書いてあることを真似するより、金無双三間飛車からガンガン攻めていった方がいいだろう。そうやって攻め勝ったり切らされて負けたりして、体で「相振りの距離感」を覚える方が先だ。

作成日:2005.07.17 
相振り飛車
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