定跡

振り飛車破り超急戦ガイド

振り飛車破り超急戦ガイド (パワーアップシリーズ)
著者 :深浦 康市
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2004-03-01
価格 :¥401(2024/09/01 09:48時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「振り飛車破り」と名がついているが、全ての振り飛車に対応している本ではない。
ゴキゲン中飛車▲5八金右の超急戦と、対藤井システムに▲3五歩から▲4六銀と急戦で挑む形。それと、かなり古いが後手三間飛車に対する急戦の解説をしている。
こうやって文字にすると「随分とかたよった戦法に絞ったなぁ」という気になるが、しかし、これで振り飛車対策はほぼ万全という現実(笑)。今のプロの目が、いかに藤井システムとゴキゲン中飛車に集中しているかが判る。

本書の特徴は「終盤編」をつけたことです、というのが、本書のウリの一つになっている。
定跡書で「~にて先手よし」となっていても、そこから勝ち切れない人もたくさんいる。そこで、定跡書の終わりから実際に勝ちに持っていくまでの考え方や指し方を解説する、というものだ。
わざと意地悪い言い方をしてしまえば実戦譜をつけただけなのだが(笑)、こういう姿勢は評価していいと思う。高段者は自分で実戦譜を並べて会得するのだろうが、3段くらいまではなかなかそういうことはできない。棋譜の裏側、行間が読めないからだ。こうやって偉そうに言ってる白砂もそんなもん読めないんですけどね(笑)。
だから、仮に実戦譜に解説をつけただけのシロモノであったとしても、文章にして棋書という形で提供してくれるのはありがたいと思う。

本当は級位者にも読んで欲しいと思うが、さすがに採り上げた戦法が難しすぎる。強くは薦められない。そのため、☆1つ少なくしている。
また、本書の内容は東大将棋シリーズとかなりかぶる部分があるので、有段者はそちらを読んだ方がよりいいと思う。そのため、かなり評価を落としている。

作成日:2004.04.05 
振り飛車全般

パワーアップ戦法塾

パワーアップ戦法塾 (NHK将棋シリーズ)
著者 :豊川 孝弘
出版社:NHK出版
出版日:2004-03-12
価格 :¥200(2024/08/31 16:01時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

昔NHK将棋講座で講師を勤めていた著者が、その内容をまとめ、さらに新しい変態戦法も加えて書き下ろした本。

……というと聞こえはいいが、一つ一つの戦法について深く突っ込んで書いているわけではないので、級位者くらいの人がかじって使うとかえって手痛い目に遭いそうだ。『奇襲大全』と同じか、むしろやや少ない感じの解説量か。
逆に、有段者だと知っている形がほとんどだろうから、新しい興味はそんなにない。冷静に考えると、どの層が読んで役立つのかという話になりそうだ(笑)。
もっとも、形を見る分には面白いので、パラパラと読む分にはいいだろう。

細かいことを言うと、なんか活字が太くて読みにくい。図面の入り方も少し違和感を感じる。
個人的には、内容うんぬんより編集の部分で評価が下がった本。

作成日:2004.03.27 
奇襲・変態戦法

最強力戦振り飛車マニュアル

最強力戦振り飛車マニュアル
著者 :鈴木 大介
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2004-02-01
価格 :¥94(2024/08/31 15:51時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

アマチュア振り飛車党の「教祖」となった感がある鈴木大介の力戦振り飛車解説本。力戦、と銘打ってはいるが、例えば中飛車編は『新ゴキゲン中飛車戦法』だったり、向かい飛車は『島ノート』の鈴木大介新手だったりと、どこかで紹介している形も多い。

鈴木大介ということで、まぁいつもの調子だ。読んでいて気持ちがいいし、とにかく振り飛車勝ちの変化が多いので、級位者くらいの人が読むと必勝戦法のように見えるだろう(笑)。騙されてはいけない、と言うのは簡単だが、級位者同士の対戦では相手が最善手を指してくる保証がどこにもないので、それを咎める手がたくさん載っている本書の形式は親切だとも言える。

もう少し詳しく個々の戦法を解説すると、

  • 中飛車……新ゴキゲン中飛車。こちらから▲2二角成と交換しに行く形。
  • 四間飛車……筋違い角穴熊。▲6七角と引いて振り穴に囲いカウンターを狙う。
  • 三間飛車……居飛車穴熊崩し。『居飛穴なんかコワくない』の改良形
  • 向かい飛車……升田流向かい飛車

といったところ。 そこそこページ数も多く、読んでいて楽しめる。向かい飛車の項などは『島ノート』の形を更に掘り下げているので、有段者であっても目を通しておいて損はないだろう。立ち読みで十分読める内容だが、気に入ったらレジに持ってってあげて下さい(笑)。

作成日:2004.02.23 
振り飛車全般

四間飛車道場 15 藤井システム破り

四間飛車道場 第15巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-02-01
価格 :¥868(2024/09/01 09:45時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

東大将棋四間飛車道場シリーズ第15巻は藤井システムvs急戦。
▲5七銀と上がった居飛車側が、穴熊に囲いに行くのではなく、▲3五歩、あるいは▲4六銀~▲3五歩と仕掛ける形を解説している。竜王戦の羽生-森内戦で出てきた形、と言えば、判る人も多いのだろうか?

こういう急戦は当然考えられてもいいところで、記憶では十年位前の『将棋世界』に武者野(だったと思う)が書いていた記事を読んだ記憶がある。その当時はまだ藤井システムも今ほど市民権がなく、「山田道美だったらこうやって急戦で潰しただろう」みたいな文章があったように思う。まぁ、それは置いておくとしても、藤井システムの異様な陣形を見れば、一目仕掛けたくなるところだろう。
振り飛車側にもいろいろな「寝技」の選択肢はあり簡単ではないが、初段くらいのシステム党相手になら十分に通用する急戦策ではないだろうか。

類書があるかと思っていたが、意外と多くなかった。
『島ノート』には急戦は1つしか載っていないし、『四間飛車の急所』も△6二玉型の急戦は載っていない。調べたところ、『最前線物語』に1章数ページ分と、『振り飛車ワールド』の千葉講座にあっただけだった。
これを考えれば、システム党も手元に置いて損はない本だと思う。

それぞれの急戦策は関連しているようで独立している部分も多いので、要は1冊に3本の急戦策が載っている本と考えればいい。それぞれの変化は多くてもタカが知れているので、本シリーズの「クソ編集」でも十分読みこなせる。
シリーズには珍しく、初段くらいの読者にも薦められる本だ。

作成日:2004.02.23 
四間飛車

’04 振り飛車ワールド 1

振り飛車ワールド ’04 第1巻
著者 :毎日コミュニケーションズ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-01-01
価格 :¥551(2024/08/31 15:25時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

2004年版、ということで、表紙もサルに変えて一新したこのシリーズ。つーか、この表示は続ける気なのね……。

内容はほとんど変わっていなくて、インタビューとか講座とか、読み応えは相変わらずだ。
唯一変わったのは指定局面対局で、今までは3つの局面を2局ずつだったものを、2つの局面を2局ずつに変更した。その代わり、テーマとは別に、最近のタイトル戦などから興味深い局面をピックアップし、それを2局戦うことにした。要するにテーマ図が2つになったような形で、そのうち一つは流行を追うようにしよう、ということなのだろう。研究と流行の両方が味わえるので、この形式は「お得感」があっていいと思う。

他の部分をざあっと見ていくと、千葉の講座は相変わらずだし、インタビューも面白かった。鈴木大介の講座は石田流vs棒金で、『島ノート』とは若干違う切り口で解説されている。これは石田流党には必見だろう。最後の「定跡信ずべし、信ずべからず」は裏定跡集で、これは久々のヒットという感じ。こういうのをアマチュアは待ってんのよ(笑)。
あと、バンカナたんの文章は、いつもながら顔とマッチしなくて面白い。もう少しいろんな本を読んだりして語彙や表現力が増えたら、もっといろいろなものが書けると思う。あじあじと比べちゃうのは両方にとって失礼かもしんないけど、バンカナたんの方に将来性を感じた。

新シリーズ第1弾ということもあって、いつも以上に気合が入っている感じがする。
細く長くでいいから火を絶やさずにいて欲しいと思っているので、焦らずゆっくり頑張って欲しい。

作成日:2004.02.10 
振り飛車全般
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