定跡

杉本流四間飛車の定跡 居飛車の右四間飛車・4五歩早仕掛けを粉砕

杉本流四間飛車の定跡 (将棋必勝シリーズ)
著者 :杉本 昌隆
出版社:創元社
出版日:2003-12-01
価格 :¥1,139(2024/09/01 00:32時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

タイトル通り、対右四間飛車と対4五歩早仕掛けを扱った本。

かなり『四間飛車の急所1』とかぶる部分はあるのだが(特に右四間飛車)、そこは創元社のシリーズということで、うまいこと判りやすく書いてある。特に右四間飛車は狙いが単純なため変化が少なく、かなり突っ込んだ変化手順を解説されてもそんなに苦にならない。
実際はかなり高度な内容が書かれていると思う。3段クラスでも「おぉ!」と思うような変化が転がっているかもしれない。右四間飛車での飛車先不突き対策であったり、玉頭銀の攻防であったり、面白い形であるにもかかわらず、プロであまり指されないが故に紹介されない形を拾ってくれている。

創元社にしては珍しく(<をい)、きちんと居飛車側の対抗策が書かれているところも見逃せない。4五歩戦法vs玉頭銀、最善を尽くした変化はむしろ居飛車指しやすいんじゃないかなぁ……とも思えるのだが(笑)、それもきちんと書いてある。振り飛車党も居飛車党も、2段3段くらいまでの人は一度目を通しておいて損はない。

一つ気になったのは、実際に4五歩戦法ってそんなに指されてるのかなぁ……ということ。白砂は「まっとうな将棋」を指さないし、公式戦から遠ざかっていることもあって、現在のアマチュアの流行をほとんど知らない。右四間飛車はいかにもアマチュアで指されそうな気がするのだが、あんな渋い(<失礼)戦法を指す人がそんなにいるのだろうか?

作成日:2003.12.10 
四間飛車

鉄壁! トーチカ戦法

鉄壁!トーチカ戦法 (パワーアップシリーズ)
著者 :三浦 弘行
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2003-10-01
価格 :¥1,430(2024/09/01 00:32時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

トーチカというかミレニアムというか西田スペシャルというか、要するにその形の解説をした本。2001年の升田幸三賞を受賞した著者が解説している。
内容はまぁ藤井システムvsトーチカということで、それ以外は当然ながら、なし(笑)。
▲6六角型と▲6七金型の2つの形がテーマになっている。

『島ノート』『最前線物語』で解説はされているが、まるまる一冊トーチカという本は初めてだ。そういう意味では貴重な一冊ではあるのだが、どうも定跡書にありがちの「ひいき」をしているような気がする。
例えば、△5二飛と中飛車に振り替えて戦う指し方、例えば穴熊にもぐる指し方。特に、▲6六角型は振り飛車がむしろ有望な変化が多かったような気がするのだが、その辺については素通りに近い。穴熊に組み替える形も、なんか最後にちょっと付け足しておしまい、といった感じになっている。

せっかくトーチカの専門家が本を書くのだから、そういう部分については客観的に書いてほしかった。専門家であり使い手だからこそ肩入れしてしまうというのは判らなくもないが、例えば加藤の棒銀本は非常にその点では客観的に形勢判断や最善手の応酬をしていたと思う。まぁ思い入れは人一倍どころか人十倍くらいはあるんだけど(笑)、でも、第一人者だからこそ正当に判断を下せるもんじゃないのか?

新手の数や体系的な解説についても『島ノート』や『最前線物語』の方が判りやすかった。なんだか実戦解説を読んでいるようで、定跡書という感じがしない。
トーチカを指してみたい! という人の「はじめの一歩」としては薦められるが、一通り理解したら前述の2冊でフォローするのが賢い方法だと思う。

作成日:2003.11.05 
四間飛車

東大将棋ブックス四間飛車道場 第11巻 居飛車穴熊

四間飛車道場 第11巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-06-01
価格 :¥1,320(2024/09/01 00:32時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

ようやく出てきた居飛車穴熊編。
いろんなところで書いているのだが、なんでニーズの多い形をすぐ出さないかなぁ。

今回は藤井システム以前の古い形で、△5四銀型と△4四銀型。端歩を△9五歩と突き越した形に限定している。
どちらもアマチュアには人気の多い形だ。わけの判んない戦いになる藤井システムよりも狙いや手順が簡明なためだろう。
両方とも、形が絞られているだけに、かなり詳しく解説されている。お世辞にも簡明とは言い難いが、それも仕方がないだろう。

作成日:2003.11.04 
穴熊

振り飛車ワールド 第5巻

振り飛車ワールド 第5巻
著者 :毎日コミュニケーションズ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-09-01
価格 :¥898(2024/08/31 15:25時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

すっかりおなじみになったシリーズ第5弾。
インタビューが大内ってどーなのよ?(後々のために書いときます。このあと、なんだか殴打事件とかあって話題になりました) って気もするんだけど(笑)。

ガチンコ勝負は右▲4六銀。かなり薄い形なのだが、それを補うスピードがあるので振り飛車党にとってはうるさい形だ。名人戦などでも出た形だが、その辺は素通り。
今回は、なかなか見ごたえがあったと思う。

また、今回から「符号で見る振り飛車」企画が始まった。例えば6五であるとか、その「升目」にスポットを当て、手筋を紹介するというものだ。
……続くのか、これ?

千葉の講座は相変わらずだし、バンカナたんの写真も相変わらず2枚だし(笑)、その辺は変わっていない。

巻末のおまけのようなページ(定跡信ずべし、信ずべからず)が、今回は大山特集だった。
一言でいうとネタ切れだと思うのだが(<をい)、なかなか面白かった。

作成日:2003.11.04 
振り飛車全般

東大将棋ブックス四間飛車道場 第12巻 続・居飛穴

四間飛車道場 第12巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-08-01
価格 :¥209(2024/09/01 00:32時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

第11巻に続く居飛車穴熊編。
今度は先手が▲9六歩と端を受けた形を解説している。前著と同じく藤井システムではないので、後手は△4四銀型。これを指す人にとっては待望の著だろう。

大きく▲7八金と▲7九金に分かれ、それぞれに100ページ近く割いている。△4四銀型自体がかなり単調な戦法であるためか、そんなに変化は多くない。この東大将棋の編集でも、だからなんとか読めると思う。自分は1回しか読んでないけど(爆)
それでも、初段くらいはないと苦しいだろう。

作成日:2003.11.04 
穴熊
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