定跡

定跡なんかフッとばせ

定跡なんかフッとばせ: 駒落ち必勝法 (MYCOM将棋文庫 13)
著者 :湯川 博士
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-06-01
価格 :¥1,198(2024/08/31 17:15時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

毎コミの復刻文庫シリーズの一編。
6枚落ち、4枚落ち、2枚落ちの解説をしている。分量的には、2枚落ちの解説に半分以上を割いている。

本のコンセプトとしては、「難しくてわけ判んない定跡を覚えるより、むしろ玉を固めてバンバン攻めてこうよ」といった実戦的なものになっている。そのため、2枚落ちでは2歩突っ切りの難しい定跡ではなく、銀多伝を中心に解説している。
個人的には定跡ヲタクなんで(笑)、こういう本は読んでいて楽しい。駒落ち版『定跡外伝』だと思えば間違いないだろう。
ただ、現在どれだけ駒落ちが指されているかということを考えると、本書の需要がどれだけあるのかどうかは疑問だと思う。昔であれば、プロに駒落ちで教わる、なんていう話はよく聞いたんだけれど、今はあまりそういう勉強法を取っている人も少なくなっただろうから。

将棋というゲームの面白さを考えたいのなら、本書はぜひとも読むべきだと思う。定跡書の功罪や実戦での心構えなど、平手戦でもためになる要素はいっぱいある。
そういう「よみもの」として捉えるべき本なのかもしれない。

作成日:2003.08.25 
駒落ち

四間飛車で居飛車穴熊退治

四間飛車で居飛車穴熊退治 (将棋必勝シリーズ)
著者 :鈴木 大介
出版社:創元社
出版日:2003-07-01
価格 :¥521(2024/08/31 15:52時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

鈴木大介です。
創元社です。

結果は、見えてますね?

 というコメントになるはずだったのだけど……(<はずだったんかい)。

すまん。

 この本、結構いいよ。

題材としてはタイトル通り対居飛車穴熊。先手番では浮き飛車を、後手番では△4四銀型を解説している。
特に浮き飛車については、あの久保が「厭な変化があるのでもう指しません」とか言ったとか言わないとかいうくらいなんか厭な筋があるらしいのだが、もちろんそんな変化は素通り。相変わらず豪快に決めてくれてます(笑)。
ただ、かなり形が限定されているので、四間飛車道場ほどではないにせよかなり突っ込んで変化が書かれている。本書を理解して四間飛車で穴熊に挑んで、それで負けてしまったら相手が強いと諦める以外にない、というくらいきっちりと解説してあるのだ。

浮き飛車形にしろ4四銀型にしろ、上級者でなくても指していける簡単な形なので、そういう「決まった形」をうまく料理した本だと思う。こういう戦法は、一手違うともうだめーというのではなく、形や狙い筋を理解するのがむしろ肝要なので、創元社+鈴木大介という「本筋のみ直球勝負」という作り手陣容とは相性がよかったのだろう。

下は5級くらいから上は3段くらいまで、かなり「使える」本になっている。

作成日:2003.08.25 
穴熊

振り飛車ワールド 第4巻

振り飛車ワールド 第4巻
著者 :毎日コミュニケーションズ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-07-01
価格 :¥620(2024/09/01 09:48時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

もう4冊目か……と少し驚いてしまった。なかなかの刊行ペースだと思う。「矢倉ワールド」や「横歩取りワールド」を出したとしてそれくらい勢いが続くんかい、と考えると、やっぱり振り飛車というのはアマチュアの人気戦法なんだな。
今回はインタビューが鈴木大介と加瀬純一、指定局面が棒銀、千葉の講座は5七銀右急戦、その他のエッセイ、講座というラインナップ。

鈴木大介のインタビューはなかなか面白かった。創元社での定跡解説っぷりそのまんまの人である(笑)。いや、誉めてんのね、これ。これからも頑張ってほしいと思う。
棒銀の方はそんなにインパクトがなかった。これは本文にも書いてあったが、指定局面の設定自体がちょっとまずかったと思う。新手爆発、という感じではなかった。千葉の講座は相変わらずのクオリティで、安心して読める。バンカナたんは例によって写真が2枚(笑)。

今後、どういう方向に進むのか(例えば10巻くらい出たとして、なんかその先が続かなそう……)気になるが、そんな先のことは置いといて、十分に楽しめると思う。
正直、本にするような話かなぁ……と、いい意味でも悪い意味でも思うんだけど。

作成日:2003.08.25 
振り飛車全般

新ゴキゲン中飛車戦法

新ゴキゲン中飛車戦法 (パワーアップシリーズ)
著者 :近藤 正和
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2003-08-01
価格 :¥125(2024/08/31 22:33時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

ゴキゲン中飛車についてはいまさら語る必要もないだろう。縁台将棋然としていながら、タイトル戦にまで登場する本格戦法である。

本書は、そのゴキゲン中飛車とは違う中飛車である(笑)。

サギぢゃねーのか、おい?

 いや、マジでさ。
この戦法をゴキゲン中飛車と言ってしまうのは少し酷いと思う。

内容としては、先手番での原始中飛車と言ってしまっていいのかもしれない。いきなり▲5六歩▲5八飛としてガンガン捌いていく戦法である。もっとも、ガンガンと言っても居玉で▲6六銀から▲5五歩、というホントに縁台将棋ってわけじゃないので、攻め好きの人には参考になると思う。
また、相振り飛車のついても載っている。
こちらは実戦例をもって解説に代える、みたいな感じで少し物足りないが、大体の雰囲気はつかめる。中飛車で相振りを指す時にはこうすればいいのか! みたいな指針にはなるはずだ。

タイトルはウソくさいが、一応中身はちゃんとしている。
中飛車党は買いだと思う。

作成日:2003.08.25 
中飛車

東大将棋ブックス横歩取り道場 第7巻 3三角戦法

横歩取り道場 第6巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-05-01
価格 :¥948(2024/09/01 05:09時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

横歩取りシリーズ最終巻は3三角戦法。内藤9段の空中戦法でおなじみの戦形である。現在こそ8五飛戦法に押されてしまってはいるが、その存在が否定されたわけではない。

正直な感想を述べると、そんなに目新しさは感じなかった。
8五飛戦法の台頭のせいで、3三角戦法にもいくつか新しい指し方や手筋が生まれたとは思う。しかし、それこそ『羽生の頭脳』からどれくらい進化したんだということを考えると、その停滞具合が少し悲しい。プロは最新形しか研究しない、というのは、ある意味真実なのかもしれないなぁ。

巻末にはチャートもついていて、それだけでお得かもしれない。
横歩取りだからこれで済んだものの、四間飛車だったらどうなるんだ……? などと、つまらないことまで考えてしまった(笑)。

作成日:2003.08.25 
横歩取り
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