定跡

現代矢倉の思想

現代矢倉の思想 (未来の定跡)
著者 :森下 卓
出版社:河出書房新社
出版日:1999-05-01
価格 :¥106(2024/08/31 21:12時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

自分から買いに行った本。振り飛車党なんだがなぁ……。

わざわざ本を買った理由はおいといて、この本は名著である。森下八段が自分の知識をあますところなく披露したような深い研究と、矢倉に対する確かな思想が感じられる。

本書では、

  • 矢倉基本形までの手順
  • 加藤流(3七銀型で▲2六歩▲1六歩と突いてある形)
  • 森内流(△9五歩△8四歩の形)
  • 郷田流(3七に銀も桂も上がらずに▲3八飛とし、相手の出方を見る)
  • 佐藤流(早めに▲3五歩と突いて角で歩交換をする)

を詳解している。
いずれも詳しい解説がついていて、しかも「どうしてこの形がすたれ、代わってこの形が出てきたか」が非常にわかりやすく書かれているので、私のような「矢倉素人」でも理解しやすい。おもわず俺も矢倉指しちゃおっかな、とまで思わせる内容だ。

作成日:2001.07.20 
矢倉

奇襲大全

奇襲大全 新版
著者 :森 ケイジ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:1999-03-01
価格 :¥200(2024/08/31 22:23時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

他に解説のしようがないが、変態戦法ばかりを集めた本である。

それぞれの戦法には味があるが、残念にことに変化手順の説明に乏しい。カタログとしての機能を優先させたためだろうから仕方がないのだが、実際に載っている戦法を使おうという場合には困るかもしれない。その辺が「伝説」シリーズとの違いである。

少し話が変わるが、昔、将棋部の後輩が「強豪と対戦する時、一発勝負で奇襲を指すのはよくない」と会報に書いていた。その文章を読むとずいぶんと私に気を使っているようで、というか私に文句を言われないようにいろいろと予防線を張っている様が読み取れて笑えるが、私もまったく同じ意見である。相手が強豪だからこそ、自分が普段指している、自分が一番信頼を置いている戦法にすべてを委ねるべきではないだろうか。
そういう意味で、私はこの本を「ここに載っている将棋を指せ」と薦めるわけではない。むしろ、その対策としてこの本を活用すべきである。そうしてこそカタログ的な本書の構成も生きるというものだろう。

なお、この本はB6版となって改編されている。内容は薄くなったがおかげでより一層カタログっぽくなっていて、かえってお買い得かもしれない。

作成日:2001.07.20 
奇襲・変態戦法

新スーパー四間飛車Ⅰ

新スーパー四間飛車 1
著者 :小林 健二
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:1994-08-01
価格 :¥53(2024/09/01 07:47時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

見づらい。
ほんとーに読みづらい。

「つくりが悪い」の一言に尽きるのだが、今、自分がどの変化を辿っているか、この変化の変化図がどこにあるのか、読んでいくうちにどんどん判らなくなっていく。
盤駒を出して研究をすればそんなことはないのだろうが、それを言い出したら構成のよしあしは問題でなくなってしまう。読みやすいということは判りやすいことと同じくらい重要であるべきだと思うのだ。
……などと出た後の本に言っても始まらない。とりあえず、本書が出た頃の最新形は網羅しているので、振り飛車党なら要チェックといえる。級位者にはちょっと辛いかもしれない。

内容は斜め棒銀・5七銀右急戦・棒銀・腰掛け銀。あんまり参考にならないかもしれない。棒銀の△4四歩くらいしか新しい感じはしなかった。

作成日:2001.07.20 
四間飛車

東大将棋ブックス四間飛車道場 第6巻 最強1二香

四間飛車道場 第6巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2002-08-01
価格 :¥520(2024/09/01 09:50時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

どういう意味だか判りにくい題名だが、要するに後手四間飛車が急戦に対して△1二香と待つ形を指している。△5四歩も△6四歩も突かずに待つこの形が、さまざまな急戦を成功させにくくしている。
これを破るには……ということで、本書では新鷺宮定跡を扱っている。雑誌などに少しずつではあるが紹介されているので白砂のような怠け者にも変化の端々が伝わってはくるのだが、まとめて解説しているのは本書くらいではないだろうか。
もちろん、『新・鷺宮定跡』にも紹介されてはいるのだが、それからもこの戦法はかなり進化している。その分の隙間を埋める意味でも、本書の意義はあると思われる。
どちらかというと居飛車有利の感覚で書かれている気がするが、東大将棋シリーズはかなり中立な立場でかかれているので振り飛車党にも十分参考になる。

もう少しうまくまとめてくれると初段前後の人でも読みこなせると思うのだが、相変わらず読者を選ぶ本作りをしているので(笑)、しっかり読み込む人でないと理解はできないだろう。級位者は触らない方が無難だ。

作成日:2001.07.20 
四間飛車

スーパー四間飛車

スーパー四間飛車
著者 :小林 健二
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:1993-07-01
価格 :¥498(2024/08/31 18:32時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

居飛車穴熊が大流行していたころに出版された本書は、振り飛車党待望の書だった。綿密な研究に基づいて作られた穴熊破りの定跡は、我々アマチュアのみならずプロにも大きな衝撃を与えた。小林八段自身、これでA級に昇ったといっても過言ではないだろう。
また、本書で使用している「上下図面2枚中段のみ文章」という構成は、豊富な図面と詳細な解説を詰め込むにはぴったりの形式だったのだと思う。後に出た、やっぱり指し手詰め込み型の『角換わり腰掛け銀研究』がその構成をそっくり踏襲したことを見てもそれは明らかである。

内容は正統派の▲5六銀型で、端攻めをまじえ居飛車穴熊を堂々と破っていく。△1四歩と受けられて端攻めが難しい場合は▲6九飛から地下鉄飛車の筋もある。
そのほか、▲4八玉のままで▲1七桂と跳ねる藤井システムの原型のような形や、端角戦法、浮き飛車型など、たいていの居飛車穴熊対策が網羅されている。

実は左美濃にも触れてはいるのだが、個人的にはなにしろ冒頭からの対居飛車穴熊がすごすぎて印象が薄い(笑)。

藤井システムの先駆けともいえる本書の指し方は、アマ初段前後でも十分指しこなせると思う。ぜひとも一読してみてほしい。

作成日:2001.07.20 
穴熊
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