振り飛車

東大将棋ブックス中飛車道場 3 ゴキゲン中飛車力戦

中飛車道場 第3巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-05-01
価格 :¥1,430(2024/08/31 18:41時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

ゴキゲン中飛車道場第3弾。今回は、かなりゆっくりめの戦いを解説している。
具体的には、▲7八金、▲6八金、角交換(丸山ワクチン)の3つ。

もう少し詳しく言うと、

  • ▲7八金は△8八角成▲同銀となった時に銀にヒモをつける手。▲2四歩△同歩▲同飛△3三角などの手を消している。
  • ▲6八金は△8八角成▲同銀となった時に銀にヒモがつなかいので、実は▲7八金とは似て非なる手。むしろ▲5八金右に近い。△5七歩という叩きが先手にならない利点がある。
  • 角交換は▲8八銀、▲7八銀、▲6八玉の3種を紹介。特に▲7八銀は最近の手で、左美濃に組む狙いがある。

といった感じ。 ただ、『将棋世界』の観戦記かなにかで、▲7八銀型はやや先手不利の結論が出たとかいう話が書いてあったように思うのだが、その辺はどうなのだろうか。そんなに振り飛車有望という手は書いてなかったと思うのだが。
これだけ詳しくゴキゲン中飛車に触れた本もないだろうから、ゴキゲン党もゴキゲン受け党もまずは読んでみることを薦める。

中飛車道場はこれでいったん打ち止め。次は三間飛車道場だそうだ。
例の急戦の形とか、XPとか出てくるんだろうか?
個人的には、もしXPが出たなら絶対買い。
絶対指さないけど(笑)。

作成日:2004.05.26 
中飛車

東大将棋ブックス四間飛車道場 第16巻 右四間飛車

四間飛車道場 第16巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-04-01
価格 :¥58(2024/09/01 07:47時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

アマチュア待望の右四間飛車編。もっと早く出してくれてもよさそうなものなのだが……。ちなみに、これで四間飛車道場は完結だそうだ。

内容は、穴熊型、米長玉型、左美濃型、舟囲い型と、▲5九金右と固めたタイプ、6筋の歩を交換するタイプの計6種類。これに、3筋から桂が跳ねる形と、1筋から桂が跳ねる形のそれぞれ2パターンがからむ。
対する振り飛車側の対策も、通常の△5四銀型に加え、△4三銀型や、早く△3五歩と突いて石田流に組み替える形などがある。

一応の基本は押さえられていると思うし、最初の章でそれぞれの形に行くまでの手順がさらってあるので、これから右四間を指してみようか、という初段くらいの人には参考になるだろう。級位者には、東大将棋より三浦本の方を薦めたい。
また、6筋を伸ばす指し方を解説した本はおそらく初めてだと思う。白砂がコラムで書いたこの形のことで、この攻防は(やられたことがあるだけに)参考になった。とりあえず、「△4四歩にさすがに▲4六歩はないだろうから、この進行はだいたい妥当なところ」と書いた白砂はどうすればいいんだろう(笑)。
その他にも、『四間飛車の急所 1』に書かれた変化の上を行く変化(▲9九玉で▲5八金とし、後の▲4七金を見せる)もあり、有段者は是非とも買いの一冊となっている。

しかし、不満もいくつかある。
一番大きな不満は、振り飛車側の対抗手段がヘタレなこと。
例えば、上に書いた▲4七金。これは振り飛車側が早くに△3五歩~△3二飛と石田流を見せた手に対しての対抗策である。これを書いたことは素直に誉めたい。しかし、▲9六歩型の居飛車穴熊にはこの手段が載っていて、▲9七歩型の居飛車穴熊では一言も解説されていないのはどういうことか? ▲9七歩型では、振り飛車側は無難な手しか指していない。一手の違いが大きいのは分かるが、ならばなおさら、何故石田流はダメなのかをしっかりと解説して欲しかった。
同じように、△4三銀という形で止めるという有力な振り飛車の対策についても、触れている項と触れていない項がある。順列組み合わせではないけれど、全ての居飛車の囲いに対して、振り飛車側の対策は(少なくとも何もしないよりは)有効なはずである。ところが、それを省いて単純に居飛車優勢としている。
全く触れていないのであれば諦めもつくのだが(笑)、ヘタに書いてあるところと書いていないところがあるために、「これ、都合のいい手順にしたかったんじゃないのぉ?」みたいな邪推をしてしまう。

更に言うと、細かいところだが、振り飛車側から端歩を突くのも気になった。
右四間において、振り飛車から端歩を突いて得になるケースはさほどないと思う。むしろ、基本定跡に見られるような、駒を全部交換して▲9五歩が早くて勝ち、というパターンの方が多い。左美濃や米長玉においても、▲9六歩の価値は非常に高い。
その、居飛車にとってはおいしい端歩を、なんの解説もなく(本当にない。「手待ち」と書いてあるところすらあったように思う。待ってないで動けよ(笑))振り飛車側から突いているのである。

以上のように、東大将棋シリーズにしては珍しく、かなり居飛車側に立った解説だと思えた。
有段者から見れば、それらの手順が必要だったりその変化に持ち込まないのは必須だったりするのだろうが、白砂くらいの棋力の人ではそれは判らない。というか、そういう部分を詳しく辞書のように解説してくれるのが東大将棋の最大のウリだったと思うのだが。
「穴熊編」「その他編」と、2冊分冊にして、もっと詳しく書いてくれたらよかったのになぁ……と思う。最初に書いた通り、右四間飛車の解説はアマチュア待望のものなのだから。

作成日:2004.05.13 
四間飛車

振り飛車ワールド ’04 第2巻

振り飛車ワールド ’04 第2巻
著者 :毎日コミュニケーションズ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-03-01
価格 :¥247(2024/09/01 09:48時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

内容はこんな感じ。

  • インタビューは中原と中田功
  • 指定局面対局は居飛車穴熊vs藤井システム、▲3五歩からの急戦と藤井システムからの急戦
  • 石田流講座はvs左美濃
  • 千葉の講座は右4六銀戦法
  • その他いろいろ

個人的には、中田功のインタビュー部分だけでもこの本は買い。戦術的なものも人間的なものも、どちらの部分も読んでいて楽しめた。
指定局面対局は、四間飛車道場の15巻とほぼ同じ形。一応、最新の研究ということで、有段者は読んでおいて損はないだろう。しかし、この急戦が成立しているようなら、藤井システムはやばいんじゃないのか……? 千葉の講座も急戦だったし、もはや対穴熊だけを考えていればいい時代は終わったのかなぁ。

ここのところ、本シリーズの対象棋力が上を向いてきた気がする。今まではもう少し全方位的だったように思うのだが、気のせいだろうか。

作成日:2004.04.06 
振り飛車全般

東大将棋ブックス中飛車道場 第2巻 ゴキゲン中飛車本格急戦

中飛車道場 第2巻 (東大将棋ブックス)
著者 :所司 和晴
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2004-03-01
価格 :¥278(2024/09/01 09:48時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

東大将棋ゴキゲン中飛車シリーズ第2弾。
第1巻は▲5八金右からの超急戦だったが、本書は▲4八銀から銀で攻めていく普通の(?)急戦形。『島ノート』に載った、飛車先を2五まで突かない急戦も紹介されている。

今後の予定との兼ね合いかもしれないし、変化の量のせいで仕方がなかったのだろうが、似ているようで微妙に違う攻め筋がたくさん出てくる。銀が出て行く場所が違ったり飛車先を保留しているだけなのだが、それだけで将棋はガラリと変わってしまう。その「ガラリと変わってしまう」という面白さをうまく出せれば、単なる解説書としてではなく棋書としての厚みも出ると思うのだが(『四間飛車の急所』のような感じだ)、まぁそれを本シリーズに求めるのはヤボというもので。
読む時には、そこらへんにも気を配って読むと、意外と楽しめるかもしれない。
編集の悪さにアタマが痛くなってくるかもしれないが(笑)。

研究したものがすぐ実戦に出る、というくらいプロはよってたかって研究し実戦で使っているので、本書の攻めも「どこかで見た感」が非常に強い。で、よく考えてみると週刊将棋だったり将棋世界で採り上げられていたものだったりして、そういう点では、個人的には新手感があまりなかった。
とはいえ、東大将棋ブックスは辞書事典としての機能が強いので、それらいろいろなところで紹介された記事がまとまっていればそれで十分だろう。

作成日:2004.04.05 
中飛車

振り飛車破り超急戦ガイド

振り飛車破り超急戦ガイド (パワーアップシリーズ)
著者 :深浦 康市
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2004-03-01
価格 :¥401(2024/09/01 09:48時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「振り飛車破り」と名がついているが、全ての振り飛車に対応している本ではない。
ゴキゲン中飛車▲5八金右の超急戦と、対藤井システムに▲3五歩から▲4六銀と急戦で挑む形。それと、かなり古いが後手三間飛車に対する急戦の解説をしている。
こうやって文字にすると「随分とかたよった戦法に絞ったなぁ」という気になるが、しかし、これで振り飛車対策はほぼ万全という現実(笑)。今のプロの目が、いかに藤井システムとゴキゲン中飛車に集中しているかが判る。

本書の特徴は「終盤編」をつけたことです、というのが、本書のウリの一つになっている。
定跡書で「~にて先手よし」となっていても、そこから勝ち切れない人もたくさんいる。そこで、定跡書の終わりから実際に勝ちに持っていくまでの考え方や指し方を解説する、というものだ。
わざと意地悪い言い方をしてしまえば実戦譜をつけただけなのだが(笑)、こういう姿勢は評価していいと思う。高段者は自分で実戦譜を並べて会得するのだろうが、3段くらいまではなかなかそういうことはできない。棋譜の裏側、行間が読めないからだ。こうやって偉そうに言ってる白砂もそんなもん読めないんですけどね(笑)。
だから、仮に実戦譜に解説をつけただけのシロモノであったとしても、文章にして棋書という形で提供してくれるのはありがたいと思う。

本当は級位者にも読んで欲しいと思うが、さすがに採り上げた戦法が難しすぎる。強くは薦められない。そのため、☆1つ少なくしている。
また、本書の内容は東大将棋シリーズとかなりかぶる部分があるので、有段者はそちらを読んだ方がよりいいと思う。そのため、かなり評価を落としている。

作成日:2004.04.05 
振り飛車全般
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