振り飛車

なんでも中飛車

なんでも中飛車 (将棋必勝シリーズ)
著者 :森下 卓
出版社:創元社
出版日:2003-09-01
価格 :¥1,430(2024/08/31 22:31時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

創元社の入門編(白砂命名)シリーズである。
初手▲5六歩という原始中飛車(聞かなくなったなーこの言葉)から、ツノ銀、相振り、矢倉、カニカニ銀といろんな戦形での中飛車を取り扱っている。まさにタイトル通り、なんでも中飛車を指していけば勝てんだよ! という感じの一冊だ。

帯に「有段者は読まないで下さい」とあるように、読んでみると都合のいい手順が多いことは多い。それは否定しない。しかしまぁ本の方向性が「狙いを判りやすく示そう」ということなのだから、それを言ってはヤボというものである。
級位者相手に、難解な手順を経て形勢不明、なんていう手順を見せたって面白くもなんともない(笑)。やはりここは、バッサバッサと斬って落として「ほらすごいだろお!」とみせる本書のやり方が正しいと思う。

初段を少し過ぎた人には、ツノ銀中飛車の項がお勧めだ。駒組みで優位に立ち、そこから終盤へ向けて優位を広げていくための指し方、手筋が解説されている。どこかで読んだような手順ではあると思うのだが(笑)、最近ここまで丁寧に解説している本はなかったと思う。
有段者は、本書を「人に教えるための本」と思って読んでみてほしい。学生将棋や社団戦などでチームを組んで「教える立場」にいる人は必読。『ホントに勝てる』シリーズもそうだったが、人にモノを教えるというのがどれだけ大変なことか。本書を読むとそれがよく判る。
定跡書としての価値は決して高くはないが、教材としての価値は非常に高いと思う。丁寧に作りこまれた良書だろう。

作成日:2003.10.01 
中飛車

加藤流振り飛車撃破

加藤流振り飛車撃破 (プロの将棋シリーズ 6)
著者 :加藤 一二三
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-09-01
価格 :¥235(2024/08/31 15:51時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「棒銀の加藤」が何十年ぶりか(だと思う)に著した棒銀本。対振り飛車の棒銀について、詳細な解説が加えられている。
『加藤流振り飛車撃破』という題名がついていながら何故か対中飛車3八飛戦法が載っているのだが(笑)、これは加藤先生の誠実な人柄によるものだと考えてほしい。棒銀と3八飛戦法を覚えればどんな振り飛車が相手でも怖くないぞという著者のメッセージなのだ。

本書のなにが凄いって、間違いなく著者自身が書いているということだ。
なんでって、

読めば判る(笑)

 あれは加藤先生以外には書けません
その文体はもとより、随所に散りばめられている「加藤哲学」は、これはもう著者独特のものだろう。これがゴーストだったらそれはそれで尊敬する。

カトピンファンの方は、絶対に買うこと(笑)。
そうでない人は、とりあえず「まえがき」と「あとがき」だけでも読んでみてほしい。
そのブッ飛び感についていける人は、買っても損はないと断言する。

作成日:2003.10.01 
振り飛車全般

小倉流向かい飛車の極意

小倉流向かい飛車の極意 (プロの将棋シリーズ 5)
著者 :小倉 久史
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-09-01
価格 :¥850(2024/08/31 22:31時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

向かい飛車党だと語る著者が、向かい飛車について解説した本。

そもそも向かい飛車の本などというものがほとんどないので、それだけでも貴重だろう。手順のいくつか、特に最初の方の手順は『島ノート』丸かぶりだが、変化が変化なので仕方ない。
また、向かい飛車はその性質上必ず指せるというわけではない(相手が△8五歩としてこないと向かい飛車にする意味がない)ので、その点でややインパクトが薄い。
例えばゴキゲン中飛車や藤井システムは「とにかくこちらがその形に組め、しかも相手がどう来ても対応できる」という戦法である。それに慣れていると「なんだよ、書いてある形に全然なんないぢゃん」ということにもなりがちだ。これはもう戦法の持つ宿命ということで諦めるしかない。

惜しむらくは解説部分が少ない。
もう少し詳しく解説をするか、中盤での手筋などについていくつか指針を出してほしかったと思う。
向かい飛車について解説すると言いながら半分以上が実戦譜というのは、少しサギっぽいと思うぞー(笑)。

作成日:2003.10.01 
向かい飛車

新ゴキゲン中飛車戦法

新ゴキゲン中飛車戦法 (パワーアップシリーズ)
著者 :近藤 正和
出版社:マイナビ出版(日本将棋連盟)
出版日:2003-08-01
価格 :¥125(2024/08/31 22:33時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

ゴキゲン中飛車についてはいまさら語る必要もないだろう。縁台将棋然としていながら、タイトル戦にまで登場する本格戦法である。

本書は、そのゴキゲン中飛車とは違う中飛車である(笑)。

サギぢゃねーのか、おい?

 いや、マジでさ。
この戦法をゴキゲン中飛車と言ってしまうのは少し酷いと思う。

内容としては、先手番での原始中飛車と言ってしまっていいのかもしれない。いきなり▲5六歩▲5八飛としてガンガン捌いていく戦法である。もっとも、ガンガンと言っても居玉で▲6六銀から▲5五歩、というホントに縁台将棋ってわけじゃないので、攻め好きの人には参考になると思う。
また、相振り飛車のついても載っている。
こちらは実戦例をもって解説に代える、みたいな感じで少し物足りないが、大体の雰囲気はつかめる。中飛車で相振りを指す時にはこうすればいいのか! みたいな指針にはなるはずだ。

タイトルはウソくさいが、一応中身はちゃんとしている。
中飛車党は買いだと思う。

作成日:2003.08.25 
中飛車

振り飛車ワールド 第4巻

振り飛車ワールド 第4巻
著者 :毎日コミュニケーションズ
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2003-07-01
価格 :¥620(2024/09/01 09:48時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

もう4冊目か……と少し驚いてしまった。なかなかの刊行ペースだと思う。「矢倉ワールド」や「横歩取りワールド」を出したとしてそれくらい勢いが続くんかい、と考えると、やっぱり振り飛車というのはアマチュアの人気戦法なんだな。
今回はインタビューが鈴木大介と加瀬純一、指定局面が棒銀、千葉の講座は5七銀右急戦、その他のエッセイ、講座というラインナップ。

鈴木大介のインタビューはなかなか面白かった。創元社での定跡解説っぷりそのまんまの人である(笑)。いや、誉めてんのね、これ。これからも頑張ってほしいと思う。
棒銀の方はそんなにインパクトがなかった。これは本文にも書いてあったが、指定局面の設定自体がちょっとまずかったと思う。新手爆発、という感じではなかった。千葉の講座は相変わらずのクオリティで、安心して読める。バンカナたんは例によって写真が2枚(笑)。

今後、どういう方向に進むのか(例えば10巻くらい出たとして、なんかその先が続かなそう……)気になるが、そんな先のことは置いといて、十分に楽しめると思う。
正直、本にするような話かなぁ……と、いい意味でも悪い意味でも思うんだけど。

作成日:2003.08.25 
振り飛車全般
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