振り飛車

新・振り飛車党宣言! 3

新・振り飛車党宣言! 3
著者 :千葉 幸生
出版社:(株)マイナビ出版
出版日:2006-08-01
価格 :¥621(2024/09/01 01:03時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

振り飛車党の若手が最新の研究を発表するというコンセプトのシリーズ。今回は相振り飛車について書かれている。

講座の内容は、

  • △3三角戦法対策
  • △3二飛戦法
  • 向かい飛車vs三間飛車
  • 向かい飛車vs四間飛車
  • 石田流対策の△5四歩
  • △3三角戦法対策の居飛車

これにそれぞれの自戦記が掲載されている。
△4四銀型の三間飛車や都成流が発見される前であり、今読むとかなりオーソドックスな印象を受ける。当時の最先端が現在の常識となっていて、その常識に対する最先端がある、ということなのだろう。

2006年8月と少し古い本だが、現在へ続く流れの一つとして押さえておくのは悪くないと思う。
有段者にとっては現在では必須知識である、ということで★を少なくしたが、発刊当時であれば間違いなく★5つだっただろう。これは更新をサボっていた白砂が全面的に悪い。

作成日:2014.06.22 
相振り飛車

将棋・序盤完全ガイド 振り飛車編

将棋・序盤完全ガイド 振り飛車編 (マイナビ将棋BOOKS)
著者 :上野 裕和
出版社:マイナビ
出版日:2012-10-16
価格 :¥93(2024/09/01 13:53時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「序盤」「ガイド」とある通り、振り飛車の序盤についての「概略」を解説した本。もちろん全てを解説するのはムリなので、中飛車・石田流・角交換四間飛車のみに絞った解説となっている。

内容は以下の通り。

  • 「序盤の基礎知識」として、そもそも「序盤」ってなんなのかというところから、振り飛車居飛車双方の基本的な指し方を解説している。
  • 「歴史を振り返る」として、これまでの対抗形の歴史を紹介し、居飛車穴熊退治のために中飛車・石田流・角交換四間飛車が出てきた流れを解説している。その他、棋士の意識変化やインターネットの普及などについても触れている。
  • ゴキゲン中飛車・石田流・先手中飛車・角交換四間飛車のそれぞれについて、戦法の概要や成功・失敗のケースから最新形までを解説する。

特に戦法の解説については、単なる概要だけではなく、狙いや理想形を示すことにより、振り飛車側はその形に向かって指していくし、居飛車側はそれを防止すべく動くという図式がよく判るようになっている。特に初段前後くらいまでの人は、他の定跡書を読む前に、まさにガイドとして本書を読むといいと思った。
また、第1部は、初級者が読むと将棋で使うさまざまな専門用語が判ると思うので、初級者はこれも押さえておいて損はないだろう。

従来の棋書に比べればはるかに「概念」についての説明が多いので、いわゆる「指さないファン」も満足できる内容になっていると思う。また、そこかしこに見られる極度の藤井推し(笑)などを見ても、よくネットを見て研究しているのだなぁ(笑)と思った。とはいえ、いわゆる「指さないファン」は、そもそもこういうことに興味があるのかなぁ……などともチラッと思ったりした。それを言い出してしまうと身も蓋もないのだが。
初段くらいのまでの人であれば一度は読んでみてほしい。3段くらいまでの人も、最新形の確認にはもってこいなので、一回目を通すのはいいと思う。

作成日:2012.12.16 
振り飛車全般

すぐ勝てる!先手中飛車

すぐ勝てる!先手中飛車 (マイナビ将棋BOOKS)
著者 :佐々木 慎
出版社:マイナビ
出版日:2012-08-24
価格 :¥1,650(2024/08/31 18:41時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

▲5六歩と指して中飛車にすれば先手必勝! とでも言いたげな、「おいおい毎コミが創元社になっちゃったよ」本。昔の『なんでも中飛車』のような本、と考えればいいのかな。

内容は、

  • 5筋の位取りを拒否してくる形
  • 5筋の位を取らせてくれる形
  • △6三銀型
  • 相振り飛車型

である。中飛車党であればこの説明だけでなんとなくどの形かは想像がつくだろう。
いろんな本で紹介されている形を丁寧にスクラップしてカタログ化して見せてくれている感じの本である。独創性はあまりないかもしれないが、初級者向けの本なのだからこれでよい。むしろこれだけの内容をよくまとめたなと思う。

全体的に後手の対応がぬるかったり、この対象棋力で「穴熊にして袖飛車」などちょっとなぁ……と(←個人の感想です)いう部分もないわけではないし、この対象棋力であれば相中飛車は入れといて欲しかったななどという要望はあるものの、前述した通りカタくまとめてある教科書としてふさわしい作りになっていると思う。初段くらいまでであれば、本書を読めば立派な振り飛車党になれるだろう。逆に有段者はパラパラ見ればそれでいい感じだ。

シリーズ化するということなので、第2段の右四間飛車が今から楽しみである。

作成日:2012.09.16 
中飛車

初めてでも指せる! 戸辺流振り飛車で攻め勝つ

初めてでも指せる! 戸辺流振り飛車で攻め勝つ (NHK将棋シリーズ)
著者 :戸辺 誠
出版社:NHK出版
出版日:2012-06-14
価格 :¥1,320(2024/08/31 15:51時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

2011年度後期のNHK将棋講座の内容をまとめたもの。「めぢからあ」や「ほおむらぁん」と共に、「今日の」「戸辺攻め」などとやっていたあの講座である。

内容はいたってシンプルに、

  • ▲5六歩からの中飛車
  • 後手ゴキゲン中飛車
  • 石田流

の三本立て。

超速などの最新対策は載っておらず、精緻な定跡を駆使して勝つというよりは振り飛車側の勝ちパターンを解説して「それを目指して指していこう」という教え方をする本である。最初に概要をまとめたりチャートや成功図などを載せることで、ビジュアル的にも分かりやすく工夫されていると思う。

「目指せ初段」という企画の講座ではあったが、本書をしっかりマスターして実戦を積んでいけば、初段どころか2・3段クラスまではいけると思う。題材を少なくして解説を多くした企画の勝利だろう。なかなかの良書である。

作成日:2012.09.16 
振り飛車全般

ゴキゲン中飛車の急所

ゴキゲン中飛車の急所 (最強将棋21 #)
著者 :村山 慈明
出版社:浅川書房
出版日:2011-12-01
価格 :¥1(2024/08/31 22:33時点)
r1(評価:級位者)
r2(評価:初段~三段)
r3(評価:四段以上)

「序盤は村山に聞け」の村山が書いたゴキゲン中飛車本。全体的に居飛車目線な気がするが、内容そのものは非常に客観的に書かれている。

扱っているのは

  • ▲5八金右型
  • 超速▲3七銀
  • ▲7八金型
  • 居飛車穴熊
  • 丸山ワクチン

の5つ。とはいえ、実質的には▲5八金右急戦と超速の解説書と言っていいだろう。
特に▲5八金右型については、「▲1一龍から▲6六香(そのあと▲6五香打と重ね打つ)」「▲1一龍から▲3三角」「▲7五角」の3つの手について、実戦に現れることなく消えていった研究手なども合わせて書かれておりかなりディープな内容になっている。最後に「ゴキゲン中飛車指せる」の定跡がボナンザによって発見された、というのもなかなか面白い。
また、超速については、△3二金とする形と△3二銀とする形の両方を解説している。ただし、▲3七銀に△4四歩とする「菅井新手」については解説されていない(ちなみに、別の「菅井新手」が紹介されていて、これがまたちょっと笑える新手である)。2012.2現在、菅井新手はvs超速の最後の砦のような感じになっているので、もう少し刊行が遅ければ本書にも解説されていたかもしれず、そうすればもっと「役に立つ」本になっていた気がする。本当にもったいない。まぁ、もし入ったとしたら、第3章はカットになるんだろうな(笑)。
その第3章は「その他の対策」ということで、▲7八金型と居飛車穴熊と丸山ワクチンを軽く解説。いずれも、ゴキゲン中飛車に完膚なきまでに叩き伏せられて衰退した、というより興味が超速に移ったために指されなくなっている感もあり、押さえておいていい変化であることは間違いない。

とても力の入った本であることは読んでいけばすぐにわかると思う。ただ、だからこそちょっと編集に難を感じた。時系列に沿って新手を追いかけていく感じは嫌いではないのだが、せっかく「10年先まで使える本当の基本」と銘打っているのだから、むしろ変化を体系的にきちんとまとめた方がいいのではないかと思った。ちょうど、藤井の『四間飛車の急所』みたいな感じである。せめて『最前線物語2』くらい、各項の最初に取りまとめた説明が入るとか、そういう風になっていれば印象も違ったと思うのだが。
盤駒抜きで読むのは大変だと思うので(まぁ白砂はなしで読んだんだけど(笑))、また、級位者はそもそもゴキゲン中飛車をやるべきではないという古臭い感覚の持ち主なので(笑)、級位者の★は3となっているが、力作であることは間違いない。いつか読むために、また、タイトル戦のお供に手元に置いておくのも悪い手ではないと思う。逆に有段者は買いである。

作成日:2012.02.29 
中飛車
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